One SMALL step for mankind2019/07/21

アポロ計画
当時、世界中の人々が固唾をのんでアポロ11号を見守ったことでしょう。1969年7月16日13:32:00UTに打ち上げられたサターンV型ロケット。その先端に取り付けられた小さな月着陸船(Lunar Module)が月面に着陸したのは20日20:17:40UT(21日5:17:40JST)。そして人類最初の一歩が月面に標されたのは21日2:56:15UT(11:56:15JST)でした。

50年も経ったのですね。当時を覚えている方、まだ生まれてもいなかった方、今日生まれる方…それぞれの世代が集まり、また新しい1日が紡がれてゆきます。

初の人類月面輸送に成功した11号ばかりが取り上げられますが、火災事故で始まったアポロ計画は無人飛行から17号まで積み重ねがあります。米ソ宇宙開発競争が繰り広げられ、良くも悪くも相手を出し抜こうという競争が強固な技術を育てた時代でした。どのような背景であれ、優秀な人を育て、技術と叡智を手にするには何十年という年月がかかります。地道な一歩一歩の積み重ねをせず、一足飛びの成長なんてありえないでしょう。

誰かの足跡を必死で辿り、その人が行けなかった先まで到達することは容易ではありませんが、いま生きている私たちも、これから生まれてくる人たちも、迷ってもいいから誤ることなく、諦めることなく、そして大いに楽しみながら、道を進んでいけますように。

  • アポロCSM

    アポロ・Command/Service Module(CSM)
  • アポロLM

    アポロ・Lunar Module(LM)


月面活動中の宇宙飛行士
【余談】
アポロ計画で月面から撮影された写真を見ると、飛行士や宇宙船の影がずいぶん長いことに気付くでしょう。試しに11号の月着陸船が着陸した瞬間の太陽高度を計算すると10.70°でした。他のアポロでも着陸時は全て15°未満です。これが意図したものかどうか公式な資料を探したのですが見つかりませんでした。着陸時の視認性、太陽放射による暑さ寒さのバランスなどの理由から、着地や月面活動は太陽高度12°あたりが望ましいとの情報を聞いたこともあります。

月面で1時間活動しても太陽高度は0.5°程度しか変わりませんので、11号の彼らは長い長い“朝日”の中で活動したり写真を撮っていたことになります。つばの長い麦わら帽子ですら防げないような低空の太陽。金色に輝く減光フィルターを施したバイザー付きヘルメットが無ければ目をやられてしまったことでしょう(右上画像参照/私が唯一お会いしたことがあるユージン・サーナンさんです)。一般的な金の薄膜は赤外線を90%以上、紫外線を40%近く反射します。ヘルメットやバイザーはポリカーボネート製とのこと。

17号までに活動時間が増えたので、最後の頃は太陽高度40°を越える環境で月面調査することになりました。なかなか太陽位置が変わらない空って、一種の閉塞感みたいな感覚を覚えるものでしょうか?誰も気にしないようなことかも知れませんが興味があったので、アポロ各LMにおける着陸/出発時の月齢や太陽高度をすべて計算し、アーカイブ「アポロ着陸地点の観察」に記してあります。参考にしてください。

※記事内画像は全てNASAのライブラリから引用。