九州豪雨での雨量変化2017/07/07

20170707-0600降雨
九州に降り続いた豪雨は各地に大きな被害をもたらしました。本当に心が痛みます。現在も雨は降り続いており、予断を許さないといったところ。

左は今日7日6:00の降雨状況(気象庁・高解像度降水ナウキャストから引用)。対馬から北九州を通り、伊予灘を通って四国まで、雨の強い領域が連なっています。今回の豪雨で度々耳にする「線状降雨帯」は今朝もまだ活動中でした。線状降雨帯と梅雨前線は位置が近くでも根本的に違うのですが、これを気象に詳しくない人でも分かる言葉で説明してくれる気象予報士さんはいないのでしょうか?言葉ばかりが先行して、今回とても残念に思いました。

さて、こんなに息が長いとどれだけ雨が「積もって」しまったのか気になります。今日明け方に7日0:00までのアメダスデータが気象庁から公開されたので、台風3号が接近した4日から三日間の雨量をグラフにしてみました。島根県、福岡県、大分県、熊本県、佐賀県から、今回総雨量が多かった12地域をセレクトしています。下のA図は10分雨量データを直接描いたグラフ、B図は4日0:00をゼロとして雨量を積み立てたグラフ。県別に色系統を分けてあります。比較参考として、2015年9月10日に当地・茨城県で鬼怒川決壊を引き起こした豪雨についてもグラフを描きました(C図・D図/2015年9月11日記事のグラフを描き直してます)。スケールを統一しましたので直接比較可能です。

これを見ると色々なことが分かりますね。台風3号による雨は4日10時前後に集中してますが、大分以外ではさほど影響が無いこと。4日22時頃から島根で爆発的な雨量増加があったこと。その雨は5日昼前から九州に移り、タイミングを変えつつ各地に豪雨をもたらしたこと。6日22時頃、つまり昨夜からまた急に増えた地域があること、等々。

20150910-0900線状降雨帯
ショックだったのは、今回の雨が鬼怒川決壊時の雨量増加よりはるかに急激かつ大量かつ長時間であることです。これでは河川氾濫どころか街ごと水没してしまうのも無理ないでしょう。同じ線状降雨帯が原因とされた鬼怒川決壊でしたが、今の九州に比べたら規模が小さいものでした。茨城の場合だと大雨そのものは1日で収まったので、雨よりも河川決壊による被害という感じですね。(右は鬼怒川決壊数時間前の高解像度降水ナウキャスト。川と同一方向の南北に伸びる降雨帯が見えます。九州豪雨ではこの倍以上長く太いですね。)

誤解してはいけませんが、下のグラフはアメダスポイントという「点」で測った増減に過ぎず、実際は「面」で降っているということ。当たり前ですが本来の雨は三次元的に溜まるのです。一次元増えるだけでも想像を絶する体積や重量となって、エネルギーは膨大になります。九州では今夜にかけても雨が続く予報なので、残念ながら戦いはまた終わっていません。

  • 20170704雨量1

    (A) 九州豪雨の雨量
    (2017年7月4日0:00から3日間)
  • 20170704雨量2

    (B) 九州豪雨の積算雨量
    (2017年7月4日0:00から3日間)


  • 20150908雨量1

    (C) 鬼怒川決壊時の雨量
    (2015年9月8日0:00から3日間)
  • 20150908雨量2

    (D) 鬼怒川決壊時の積算雨量
    (2015年9月8日0:00から3日間)

蛇足ながら…下図は過去90日の降水量合計平年比(気象庁サイトから引用)。変化が分かるよう1日ごとに4日ぶん引用しました。例えばE図は台風3号や豪雨を含まない7月3日までの90日、H図は6日の豪雨を含む90日です。(※1月1日からの合計ではありませんので、それを踏まえて見てください。)これだけ降ったにも関わらず、降水量合計は「平年並み」なのです。今まで降水が少なかったため、今回の豪雨を足しても西日本で平年値を超えたところ(青緑系のドット)は数えるほどしかなく、地域全体としては足し引きゼロ以下…。いささか極端すぎますよね。

  • 20170703降水量90日合計平年比

    (E)7月3日まで
  • 20170704降水量90日合計平年比

    (F)7月4日まで
  • 20170705降水量90日合計平年比

    (G)7月5日まで
  • 20170706降水量90日合計平年比

    (H)7月6日まで



参考:
秋田県に被害をもたらした雨量の変化(2017/07/23)

今日の太陽2017/07/07

20170707太陽
昨夕から宵のうちは晴れていた空も、日付が今日になった頃にはすっかり曇りました。今日も広すぎまで雲が残りましたが、夕方が近くなるにつれて青空が広がりました。

左画像は16:20頃の太陽。昨日も見えた右上のダークフィラメントが、浮世絵の雀のように影を落としています。左側に明るく見える活動領域12665はしばらく楽しめそうですね。プロミネンスはほとんど見えなかったのでリム画像はお休みです…。

2017年の新暦七夕です2017/07/07

ちょっと一息 いれましょうか
たまには 空を見上げてください

星でもいい 雲でもいいから

ゆっくり たっぷり 深呼吸しながら


今年2017年の七夕は月が満月に近くて明るいため、晴れていてもなかなか星が結べないでしょう。今の暦の7月7日は月齢と無関係で、完全に月の影響がないチャンスは平均すると4、5年に1回程度。旧暦(太陰太陽暦)なら月の形と日付は対応しています。毎月7日は必ず月齢6前後の上弦前。だから旧暦七夕の月は夜半前に沈み、夜中には満天の星空が確約されてるんです。

下表は新暦七夕で計算した月齢。周期性が分かりますか?表は縦19段にしてあります。日食や朔旦冬至誕生日満月などでも見られる約19年周期です。また19年の中にもパターンがありますね。うまくタイミングを合わせ、天気にも恵まれ、降るような星空で織姫星や彦星、天の川を仰ぎたいものです。

【新暦七夕の月齢】  ※各年7月7日21時の計算値です。
日付月齢
1961年7月7日24.28
1962年7月7日5.50
1963年7月7日16.01
1964年7月7日27.32
1965年7月7日8.30
1966年7月7日18.66
1967年7月7日29.28
1968年7月7日11.57
1969年7月7日22.53
1970年7月7日3.86
1971年7月7日14.58
1972年7月7日26.02
1973年7月7日7.01
1974年7月7日17.29
1975年7月7日27.72
1976年7月7日9.88
1977年7月7日20.73
1978年7月7日2.09
1979年7月7日13.00
日付月齢
1980年7月7日24.64
1981年7月7日5.71
1982年7月7日16.01
1983年7月7日26.31
1984年7月7日8.36
1985年7月7日19.00
1986年7月7日0.30
1987年7月7日11.27
1988年7月7日23.12
1989年7月7日4.29
1990年7月7日14.71
1991年7月7日25.00
1992年7月7日6.99
1993年7月7日17.42
1994年7月7日28.15
1995年7月7日9.47
1996年7月7日21.43
1997年7月7日2.72
1998年7月7日13.34
日付月齢
1999年7月7日23.71
2000年7月7日5.69
2001年7月7日16.00
2002年7月7日26.51
2003年7月7日7.72
2004年7月7日19.65
2005年7月7日1.00
2006年7月7日11.83
2007年7月7日22.37
2008年7月7日4.40
2009年7月7日14.68
2010年7月7日25.03
2011年7月7日6.13
2012年7月7日17.87
2013年7月7日28.84
2014年7月7日10.16
2015年7月7日20.91
2016年7月7日3.04
2017年7月7日13.39
日付月齢
2018年7月7日23.68
2019年7月7日4.70
2020年7月7日16.22
2021年7月7日27.05
2022年7月7日8.38
2023年7月7日19.31
2024年7月7日1.54
2025年7月7日12.06
2026年7月7日22.38
2027年7月7日3.37
2028年7月7日14.73
2029年7月7日25.34
2030年7月7日6.60
2031年7月7日17.56
2032年7月7日29.43
2033年7月7日10.62
2034年7月7日21.06
2035年7月7日2.08
2036年7月7日13.37
  • 水色…月齢4未満か、月齢が25より大きい(新月前後の月が細い時期)
  • 赤色…月齢10以上19以下(満月期)
  • 緑色…上記以外(上弦前後または下弦前後)
  • 表中で1963年、2009年、2028年は「七夕満月の日」となります。

参考:
アーカイブ:伝統的七夕・中秋の名月の一覧
快晴夜の七夕を迎えました(2016/07/07)
今日は旧暦七夕です(2015/08/20)
明日は笹の節句(2015/07/06)