ついに南極ラーセンC棚氷の一部が分離2017/07/13

20170712ラーセンCの氷塊分離
今年2017年1月8日の記事で、南極半島にある「ラーセンC棚氷」の一部が分離しそうだ、というニュースを取り上げました。そのとき棚氷の亀裂は残り数十kmで海岸に到達するような状態でしたが、昨日7月12日までに完全に分離が確認されたとのことです。

南極を詳細に研究している英国Project MIDASによる今までの発表を元に、分離直前までの亀裂の進行を地図化してみました(左図/実際はもっと多くの横道に反れた亀裂で構成されてます)。南極半島は日本とほぼ反対の経度方向にあり、しっぽのように突き出た半島の一角を覆うようにラーセンCと呼ばれる巨大な棚氷があります。棚氷は陸域で凍ったものが海側にせり出したもので、もし分離すれば海水に浮かんで漂流します。亀裂の進行は去年頃から早まり、先週の発表では「残り4.5kmほど」だったのですが、数日の間にそれが割れてしまったのですね。亀裂行程の約半分が一年あまりで完了してしまいました。

まだ崩壊直後で、しかも南極はいま極夜シーズンのため赤外撮影以外が難しと思われ、航空・衛星写真はほとんど発表されていません。今後時間をかけて撮影されることに期待しましょう。右下は2017年3月8日ランドサット8号によるラーセンC亀裂の様子。上半分に写ってる細かく砕けた氷は大部分が凍った海水(海氷/sea ice)で、棚氷(ice shelf)ではありません。(※亀裂が見やすいよう画像処理しました/NASA・USGSから引用。関連記事はこちら。

20170308ランドサット8号によるラーセンC
MIDASの発表では分離した氷の面積が約5800km²、重さは1兆トン以上!面積は愛媛県や三重県より少し広く、茨城県や山口県より少し小さく、東京都の約2.65倍の広さです。この氷はもともと海水に浮いていたものですから、全て溶けても海面には大きく影響しないでしょう。でも小さく崩壊した氷が「氷山」として船舶航行を妨げたり、予期しない別の棚氷崩壊を引き起こす可能性があります。特に陸域境界から海へずり落ちる氷塊は海水の浮力と関係ないため、確実に海水面を上昇させますから注意が必要です。

今回の分離でラーセンC棚氷は約12%を失いました。いつか遠くない将来にラーセンAやBのように完全消失を迎えるのでしょうか…。今後どうなるかしっかり見守る必要がありそうです。

  • 南極地図はNatural Earthのshapeファイルを利用しました。
  • 棚氷のうちラーセンCの該当部分はなるべく現在の海岸線に沿ってshapeファイルを修正しましたが、それ以外は2016年時点のshapeデータのままです。


参考:
分離し、移動する南極の氷(2017/07/28)
大寒に降る雪と地球温暖化(2017/01/20)
南極の棚氷、亀裂が進む(2017/01/08)

今日の太陽2017/07/13

20170713太陽
明け方まで雲が多く、朝になるとだんだん晴れ上がるいつものパターン。今日も10時には30度を超しました。昨日より早いペースで雷雲ができ、茨城県内では昼前から激しい雷雨になったところがありました。でも予想に反し、午後遅くなると県内の雷雲は消えてゆきました。また昨夜から夜通し5m/s近くの風があり、今日午後14時から15時台は7m/s前後に達しました。

20170713太陽リム
左は14:10頃の太陽。待望(?)の新しい活動領域12666が12665の上にできました。ちょっと明るくなっているところですね。この観察時間帯少し前くらいにBクラス程度のフレアがあったみたいです。昨日左端に見えていたシイタケ状のプロミネンスは小さくなりました。右下のがやや目立ちますね。