ダイヤモンド富士山マップを公開2014/11/01

20011214日没後の富士山
11月になりました。初日の今日は雨がパラついています。これから晴れて涼しくなると空気が澄んで、より遠くまで見えるようになってきます。私の住む茨城からは富士山が見えますが、これが見えるようになると「あぁ、お蜜柑がおいしい冬がやってきたな」と感じます。

ところで10月末頃から茨城県南部は「ダイヤモンド富士山」のシーズンに入ります。ダイヤ富士というと富士山近くのポイントが有名ですが、遠く離れていても見える場所は結構あります。遠く離れているからこそ面白い光景にもなります。

ただ、自分で見に行くときに「いつ、どこで」見えるかを探すのにとても苦労するのです。その経験から、ダイヤ富士マップを2012年頃に作りました。その改良版を当ブログのユーティリティ第一号として下記に公開しました。もちろん他県の方も使えます。ロケハンに困っている方、なかなか撮影時期が合わなくてお困りの方など、ぜひご利用ください。お友達にも教えてあげてくださいね。


※時期に応じて二種類あります:
ユーティリティ:ダイヤモンド富士山マップ(冬至→夏至)
ユーティリティ:ダイヤモンド富士山マップ(夏至→冬至)

※詳しい解説はこちら:
ユーティリティ解説:ダイヤモンド富士山マップを描く

皆既月食のターコイズフリンジ2014/11/02

2018年1月31日の皆既月食について、ターコイズフリンジ発色を検証考察した記事を2018/02/02記事として掲載しました。本記事と併せてお読みください。

ターコイズフリンジ説明図
一ヶ月近く前に皆既月食がありました。そのとき「ブルーベルト」あるいは「ターコイズフリンジ」と呼ばれる現象が話題になりました。簡単にいうと左図のイメージように、月を隠す地球の影(本影)の中は独特の赤味がありますが、外縁近くは少しだけ青光や緑光の成分が強いよ、というものです。(※残念ながら肉眼では確認できません。デジカメでRAW撮影して画像処理する必要があります。)日本ではブルーという表現ですが、元々これを言い出した海外ではターコイズ色、つまりトルコ石の青緑色と表現されていたそうです。これまで「月食は赤銅色」と刷り込まれていた多くの天文ファンは驚き、見た目にも美しいので色彩強調した画像があちこちのサイトを飾りました。

正直、私はこの現象に少し懐疑的です。正確に言うと二つの点が挙げられます。ひとつは「現象は起こっているかもしれないけど、サイトに出回っている多くの画像は『ブルーを出すために作られた』画像じゃないの?」ということ。ブルーベルトは月食画像を適当なソフトで色彩強調すればすぐ見えてきます。でも「青のトーンカーブを引き上げて云々…」というやり方はちょっと乱暴な気がします。月面の色ってとても繊細、加えて皆既中は低輝度。カメラに組み込まれた画像処理エンジンにしても後付けのソフト処理にしても、小さなパラメーターの変化が大きな差を生みます。絵の具で青く染めてしまうようなやり方ではなく、科学的に間違いのない手順を研究すべきでしょう。左上図は色々な意味で間違っています。最初からこういうイメージを抱いて「写真作り」してしまうと、それはもはや天体写真ではなく美術写真になっています。

もうひとつの懐疑点は「この現象の説明が『既成事実』のように扱われてる」違和感です。むろん、間違いだと言いたいのではありません。自然現象ですから最近の月食だけ特別に青くなったということは考えにくく、今になってこの現象が取りざたされるのはしっくり来ないわけです。成層圏が赤い光を吸収するなんて聞いたこともないし、事実だとしてもそれが画像に写るレベルなのかも疑問です。少なくとも目ではっきり確認できるものではありません。以前からあったけど説明されてこなかったことなのか、最近になって発見されたのか、最近になって地球に変化があったのか……もっとたくさんの検証をしてほしいと思っています。(※個人的にはデジカメのせいだと考えます。これも2018/02/02記事を参照してください。)


20141008皆既月食-1
天体写真の画像処理をやったことがある方はお分かりと思いますが、目ではっきり見えないものを撮っていると、一般写真以上にその色が「正しい」保証が得にくいもの。それゆえ、見たことがある色、お気に入りの色に似せようと意志が働いてしまいます。例えばネット上に山ほどある夕焼け空の画像は、どれが正しい色でしょうか?全部それっぽく見えますから全部正しいでしょうか?夕焼けの色が強調され過ぎてないでしょうか?カメラの差は?レンズの差は?jpegって色を減らしてるんじゃなかった?見ているモニターの差はないの?……全工程で「これが正しい」と言える写真なんて、世の中に無い気がしてきます。

自分なりに極力「意図した着色」を排除した方法で処理した10月8日の月食画像が右のもの(皆既終了直後)です。RAW画像8枚連射から平均化して仕上げました。世に出回っている多くの月食画像より色彩がとぼしいですね。でも、自分が眼視で観察して脳内に記憶された色と案外合っています。もちろん記憶に合わせるよう作ったのでなく、処理は機械的にやりました。

20141008皆既月食-2
この画像を70%色彩強調すると……左のようになりました。これなら処理の全過程を理解しているので、「何らかの自然的(あるいは機材的)な理由で、左上欠け際の周囲に青や緑の要素があるかも知れない」という検討の材料になるだろうとは思います。画像を見る限り、ブルーではなくターコイズのほうが近いでしょうか。いずれにしてももっと突っ込んだ解析が必要です。

別にアマチュアなんだからそこまでしなくても、といえばそれまでのこと。ただ、自分は「本当は何色なんだろう?それはどういう理由なの?」ということを知りたいので、この「ターコイズフリンジ」のような場合は特に自分の好みで事実をねじ曲げないよう、色の管理をしっかり考えます。(もちろん、できる範囲で。)でないと、出てきた色がどんなに芸術的に美しくても、科学的な意味はありません。デジタルっていくらでも着色できてしまうんですから。青緑光の要素が混じるらしい理由の考察についてはまたあらためて考えて記事にしたいなって思います。

(※毎回こんな考えで画像を扱っているわけではありません。意図して色を変えるのはしょっちゅうやっています。私はどちらかというと芸術家肌…笑)

今日の太陽2014/11/02

20141102太陽
数日前まで雨予報だったのに、天気は回復して青空が広がっています。気温もどんどん上がってきました。

画像は9時過ぎの太陽。10月末までここにあった「今世紀最大規模」の大きな黒点も、数日曇って見られなかった間にいなくなってしまいました。右端少し下に吹き上げるプロミネンスはその名残と思われます。裏側に回っても元気なんですね。

明け方の水星/ダイヤ筑波マップ公開2014/11/03

20141103水星
二日前の11月1日に水星が「西方最大離角」を迎えました。明け方の空で太陽の西側(右上)へ最も離れたということです。この「最大離角」の時期を狙えば、普段なかなか姿を拝めない水星を見ることができます。今回の最大離角は今年の明け方の中では一番条件がいいそうです。

左の画像は今朝5時半頃にとなりの垣根から出てきた水星を撮ったもの。もう十分明るい時間ですが、とてもよく見えました。しばらく眺めていたらどんどん雲が増えてしまったのですが…。

20011002筑波山
ところで11月1日に「ダイヤモンド富士山マップ」を公開しましたが、同じ考えで「ダイヤモンド筑波山マップ」も公開しました。地元や近県の方しかお分かりいただけないと思いますが、筑波山とは茨城県にそびえる美しい孤立峰(右画像)です。ふたつの山頂があるため、ダイヤモンドの状況も富士山とはまた違うのです。お近くの方、ぜひマップをご利用ください。


※時期に応じて二種類あります:
ユーティリティ:ダイヤモンド筑波山マップ(冬至→夏至)
ユーティリティ:ダイヤモンド筑波山マップ(夏至→冬至)

※簡単な解説はこちら:
ユーティリティ解説:ダイヤモンド筑波山マップを描く