ユーティリティ解説:ダイヤモンド富士山マップを描く1971/01/01

私の住む茨城県では冬を中心に遠方の富士山が見られます。良く晴れた日の富士山はたいそう美しいものです。地球が丸いため下半分が地平下に隠れていますが、それはそれで茨城ならではの趣き深い眺めです。

茨城からの富士山
ところで、ダイヤモンド富士山(以下、ダイヤ富士)は、富士山頂に太陽が輝く姿を言います。空と大地が織りなす造形として大変美しい自然現象ですね。 見た目が美しいため、写真愛好家を中心に根強い人気があります。厳密には皆既日食で見られるダイヤモンドリングのように「富士山頂に太陽の最初(最後)の輝きがこぼれる」ことです。でも広義には「山頂に太陽が差しかかる」程度に考えてよいでしょう。1日の間に日が昇るときと沈むときの2回、ダイヤ富士のチャンスが訪れます。

ところが富士山が見えるからといって、どこでもダイヤ富士が見えるという訳ではありません。山の位置は変わりませんが、太陽が昇る(沈む)方角は毎日変わるからです。大雑把に言えば太陽は東から昇り西に沈みますので、朝のダイヤ富士が見えるのは必ず富士山の西側、夕方は逆に東側のみです。富士の南北、特に南側では見えません。例外的に、富士山麓の五合目あたりでは冬至ごろ北側斜面で見える可能性があります。懸垂曲線に近い形で知られる富士山の形は、五合目以上で山頂までの傾斜が30度ほどになり、これは冬至頃の太陽の南中高度に極めて近いからです。実際に冬の富士に登れるかどうかは別問題ですが。。。

ダイヤ富士マップの概念
日本付近での太陽が昇る(沈む)位置は真東(真西)を基準にプラスマイナス30度近くの幅があります。だから、地図を広げて富士山を中心に東西を基準に+30度、-30度の2本の線を引けば分かります。でもこれでは大雑把すぎますね。時期も分からないし、球体としてのずれや大気補正などが考慮されていません。せめて太陽が間違いなく山頂に見え、ダイヤを見たぞと納得できるくらいの地図を作りたいと2012年秋頃パソコンに向かい始めました。毎年県内のダイヤ富士を求めてロケハンに苦労していた頃です。2013年に一部のサイトで発表し、その後改良を重ねてこのブログに掲載した次第です。

ネット上には、主に写真愛好家や観光好きな方々が実地で場所を調べ、「ダイヤポイント」として詳しくまとめたサイトが多数あります。 また優秀なシミュレーションソフトなどもいくつかあります。ところが、ダイヤポイントをきちんと計算して地図で示しているような情報は2014年現在見当たりません。そこで、できるだけ正確に天文計算してデータを作り、Web地図に描いてみることにしました。

考え方は単純です。富士山の位置に標高と同じ高さの棒が立っていると考え、日時計のように地面(楕球体)に映った棒の影をたどればよいのです。厳密な計算は私にはハードルが高いので、次のような緩めの条件で行うことにしました。

  • 地球は楕円体と考え、より正確に地球を表すジオイドモデルの起伏などは考慮しません。

  • ダイヤポイントの実際の高度も考慮しません。高度0mとして計算します。(このため富士山頂に極めて近いポイントは富士山自身に埋もれます。)

  • 現実には富士山頂と自分との間に山々があって見えないかも知れませんが、その奥行き判定もしません。

  • 大気差による太陽位置の浮き上がりは近似式で考慮します。

  • ダイヤポイントは本来滑らかな曲線ですが、計算はある程度間引いた地点を直線で結ぶことにしました。

  • 「太陽中心が富士火口中心に極めて近くなる」という条件で判定しました。富士山最高地点ではありません。現実には太陽も山頂も幅を持っていますので、ダイヤポイントも幅を持つことになります。


これらに基づいて計算したのが「ユーティリティ:ダイヤモンド富士山マップ」です。この地図が示す位置と日付で日出(日没)時刻の近くに富士山を見れば、ダイヤ富士が見えるという訳です。ポイントでの出没時刻まで描き込むと地図が数字だらけになるので、割愛しました。

20121207ダイヤ富士
冬至の日(12月21日頃)は太陽が最も南寄りに出没しますので、ダイヤポイントラインは最も北寄りになります。 逆に夏至の日は最も南寄りですね。いっぽう、春分や秋分近くはラインが東西にほぼ真っ直ぐなことも分かります。このラインの変化幅を1年に1往復するので、最北(最南)以外は1年に2度ダイヤ富士を見るチャンスがあります。表示がごちゃごちゃになるので「ダイヤモンド富士マップ」は夏至前と夏至後で地図を分けました。ラインの両端が切れていますが、これはその地より外側で太陽や富士山が見えなくなる点です。あくまで標高0mでの計算なので、観察地点の標高が高いほど位置や日付の調整が必要になります。

シミュレーションソフトや実際のダイヤ写真などで検証してみると、ラインそのもののずれは最大でも平地で南北方向数百m程度に収まっているようです。 このずれは観察標高によると考えて良いでしょう。徒歩で補正できる距離ですが、実際にご覧になるときはほとんど気にならないと思います。

また、年ごとに変わらないのか気になるところです。(今回のデータは2014年冬至から2015年冬至までの計算に基づきます。)カレンダー上でうるう年に日付が加わったり外されたりするので、短期的には太陽出没方角は4年周期で微少な位置ずれをくり返します(→2016/2/29の解説記事参照)。これも大きなずれではありませんから、年ごとにラインを計算し直さなくても十分でしょう。気になる方は、観察日を一日ずらせば済む話しです。それに、仮にどんなに正確な計算結果があっても、現実には障害物のない観察場所を探すほうがずっと困難を極めます。

「ダイヤモンド富士山マップ」は、観察のざっくりした見当を付けるためのものとしてご利用いただければ幸いです。あとは皆さんの“足”で、ご自身のダイヤ富士マップを完璧なものにしてくださいね。(マップは予告なく更新や削除することがありますのでご了解ください。)

ユーティリティ:ダイヤモンド富士山マップ(冬至→夏至)
ユーティリティ:ダイヤモンド富士山マップ(夏至→冬至)

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