2018年米国の甚大自然災害損失額がやっと発表されました2019/02/11


2018年アメリカ甚大自然災害マップ
昨年末から続いていたアメリカ政府機関の一部閉鎖により、NOAAが季節毎に発表している米国甚大自然災害(Billion-Dollar Weather and Climate Disasters)の報告更新もストップしていました。ようやく2018年の取りまとめが1ヶ月遅れで発表になりましたので、図版やデータを引用しながらご紹介します。

2017年の被害損失額は過去最高の3127億ドルを記録しました(※2018年のCPIによる換算/→関連記事)。ところが2018年は大幅ダウンの910億ドル。ただし喜べるような数字ではなく、被害10億ドル単位の甚大自然災害回数は14回起こっており、過去4位という多さでした。発生回数が多いのに被害額が少ないケースは、例えば2016年などでも見られます。あくまで1回の発生で被害10億ドルに達したケースの集計なので、被害が10億だろうと100億だろうと1回ぶん。ここは誤解しないよう考える必要がありますね。例えばハリケーンが人口密集都市部を通過するようなケースは、1回の発生でも被害額が跳ね上がるわけです。

左上図は甚大被害が起こった場所と内容の地図(NOAAサイトより引用)。フロリダ州を襲ったハリケーンMICHAELやカリフォルニア州の大規模森林火災など記憶に新しいですが、他にもこんなに発生していたのですね。

下A図は、NOAAサイトにも似たものがありますが、甚大自然災害回数と損失額の変遷をグラフにしたもの。ふらつきはありますが、全体として発生回数が右上がりになっている様子が分かるでしょう。過去4位だとか右上がりグラフだとか言うと、2019年2月9日の記事で取り上げた「世界の年平均気温変動」との関連が気になりますね。ものは試し、災害回数と気温変動とにどれくらい相関があるか計算してみました(下B図)。十分に大きい母集合ではありませんし、正しい比較かどうかも自信がないですが、このふたつの集合から直接得られる相関係数は0.7を越えました。無視できないほどの「強い正の相関」です。みなさんはどう考えますか?アメリカだけでなく、どの国で計算しても似たような結論になると思いますよ…

  • アメリカ甚大自然災害・損失額の変遷(1980-2018年)

    A.アメリカ甚大自然災害・損失額の変遷
  • 気温変動と米国甚大自然災害発生数の分布

    B.気温変動と米国甚大自然災害発生数の分布


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