地球に大接近する岩本彗星2019/02/12

20190212岩本彗星(C/2018Y1)
昨日明け方から再び降り始めた雪は午前のうちに止みましたが、たった数時間なのに車の塗装面が見えなくなるほど積もりました。天気は夜までずっと曇ったままでしたが、日付が今日に変わるころ星が出ているのに気付きました。幸運なことに少し待つと快晴になったので、連休中一度も拝めなかった岩本彗星(C/2018Y1)に望遠鏡を向けました(左画像)。

本日12日ごろ地球に0.3天文単位まで最接近なのですが、改めて計算してみると日本時間で13日明け方(世界時ではまだ12日)が一番近いようです。(採用する軌道要素によって少し差があります。)ただ、今夜の天気は曇ってしまいそう…。一足早く一番近い状態を観察できて本当にラッキーでした。

20190212岩本彗星(C/2018Y1)
岩本彗星は、やはり見かけの大きさも速度も明るさも今まで見た中では断トツでした。6等台に入ったという観測も聞きました。やはり近づいているとき見ると迫力あっていいですね。

画像を詳しく見ると細い尾が出ているようです。右は左上画像を白黒反転・高コントラスト化したもの。上方向が天の北方向ですが、西南西(右方向やや下向き)に細長く伸びる筋が見えるでしょうか?光害の多い街中なのでこれで精一杯だけれど、以前から報告で聞いていた尾を初めて確認できました。なお地球接近を境に尾の向きが急変化すると考えられるので、写真を撮る場合はよく調べて構図に注意してくださいね。

20190212ウィルタネン周期彗星(46P)
明け方まで安定した晴れ間が続いたので、ウィルタネン周期彗星(46P)も撮影しました(左画像)。こちらは7等台後半まで暗くなり、移動も遅くなりました。ふたつの彗星画像は同一機材で露出もだいたい同じなのですが、2ヶ月前の両彗星が入れ替わったような印象です。

ウィルタネン彗星は系外銀河NGC2841に接近していたので一緒に撮影しました。画像右側やや下寄りに見える渦巻きがそうです。彗星よりも銀河のほうがインパクト強いですね。

【追記】
恒星と彗星核の両方を止めるモードで再度画像をコンポジットしたら、南東(左下)方向に伸びる尾も見つかりました。岩本彗星は現在イオンとダストの二種の尾を伸ばしていることは確認されていましたが、まさか街中で撮れるとは思いも寄りませんでした。通常のメトカーフコンポジットの場合、星像が流れる方向に尾が重なっていると目立たなくなる傾向があるので、気付けないことがあります。下Bのように恒星を全て取り除くとハッキリしますね。2015年暮れから冬期いっぱい楽しめたカタリナ彗星(C/2013US10)の尾のような「への字」です。

σクリッピングによるコンポジットだと、細かく揺れ動くイオンの尾が弱くなってしまいますから、この合成法は「良い空+明るい光学系+短時間撮影」が大原則。私のように街中の庭撮り長時間露出には向きません。

  • 20190212岩本彗星(C/2018Y1)

    A.恒星&彗星核静止コンポジット
  • 20190212岩本彗星(C/2018Y1)

    B.彗星核静止コンポジット(恒星除外)



参考:
岩本彗星(C/2018Y1)に関係する記事(ブログ内)
ウィルタネン周期彗星(46P)に関係する記事(ブログ内)

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