強烈寒波通過中の日本と温暖化が加速する世界 ― 2019/02/09
今朝起きてみると、天気予報通り雪が降っていました。降り始めから雪だったようで、既に1センチ程度積もっています。北海道から東北地方を覆うように強い寒気が通過しているようで、ここ数日はそのニュースばかり目に付きました。
今朝9:00までのアメダスデータを使って日最低気温を集計すると、有効地点数926に対して、氷点下になったのは558地点、平年未満は401地点、今季最低を記録したのは132地点でした。氷点下になった地点のみ抜き出して地図にしたのが左図です。四国や九州に至るまで広く点在してますね。北海道は半分以上がマイナス20度以下。関東に住む自分にとっては信じられない世界です。
この寒気はシベリアに滞留していた「極渦」の一部が日本まで到達したもの。極渦は北極圏を取り巻くように見られますが、時々南下して強い寒気をもたらします。一昨年のヨーロッパや今年1月下旬から続くカナダやアメリカの強い寒気もそうです。当記事末に解析気温マップによる北半球の気温変化を手動アニメーションにして掲載しました(画像引用:Tropical Tidbits)。1月24日から本日まで画像下のボタンでコマ送りできます(各0:00UTのみ)。寒色系のエリアが北米大陸や北海道へ到達する様子をじっくり観察してください。(※このマップは地上付近の気温分布であり、極渦をダイレクトに描いたものではありません。極渦の様子は、例えば地球環境研究センターサイト・成層圏極渦予測のコンテンツなどで知ることができます。)
奇しくもNASAやNOAAから「2018年の世界気温は史上4番目の暑さ」という報道が流れましたね。各地で寒波のニュースが流れているのに世界平均気温は上がっているという皮肉さ。でも、極渦が南下する原因はもっと北のエリア、つまり北極域の気温が上昇し、中緯度との気温差が少なくなったためだと言われます。もしそれが本当なら、今後の中緯度気候がますます極端化してしまいそうです。
それはそうと、史上4番目の2018年気温というニュースは違和感を覚えました。2016年が史上最高と言われたときも記事にしたのですが、短期間の順位云々よりも「近年の気温上昇が止まらない」ことのほうが遥かに重要ではないでしょうか。史上4番目のニュースを聞いて、すぐ「1番目はいつだったか」思い出せた方はいらっしゃいますか?2番目、3番目が気になった方は?5番目、6番目を調べた方は?関心が高くなければ素通りしてしまうところに、報道の「切り口の問題」が潜んでると思うのです。特に最近はSNSなど簡素短文傾向が強いですからね。人はどうしても楽なほう、面倒くさくないほう、「タイトルだけ見て終わり」という方向に流されてしまうわけです。
右表はゴダード宇宙科学研究所(GISS)のサイトで公開されている世界の年平均気温・基準値差を使って順位をつけたもの。1880年以降2018年までの集計で、トップ20まで載せてあります。またグラフ化したものが下A図です。表中のピンク字は2000年以降の年。わざわざ色付けするまでも無く、ほとんど2000年以降がトップを占めている状況なんです。
ついでに、気象庁から公開される北極・南極の海氷域面積データが1月31日に更新され2018年末まで出そろったので、グラフにしたのが下B図です。これを描いてて愕然としました。前出の2017年1月20日記事にも2016年秋までの同様グラフがありますが、実は2016年冬以降、海氷面積はずっと低下を続けており、なんと平年値の下限(下図で半旬ごとに描いてある色付きボックス下側)よりも低い状態が度々出現する事態でした。
人の一生は高々百年。その間に様々な気候を体験しながら暑い寒いと言います。人間だけが地球の住人ではありませんし、地球の中の熱収支は人の都合に合わせてくれるわけではありません。私は温暖化論者でも寒冷化論者でもない一般市民ですが、短期的にも長期的にも気象変動が加速して、どうにもうまくいってない実情は理解できます。
今朝9:00までのアメダスデータを使って日最低気温を集計すると、有効地点数926に対して、氷点下になったのは558地点、平年未満は401地点、今季最低を記録したのは132地点でした。氷点下になった地点のみ抜き出して地図にしたのが左図です。四国や九州に至るまで広く点在してますね。北海道は半分以上がマイナス20度以下。関東に住む自分にとっては信じられない世界です。
この寒気はシベリアに滞留していた「極渦」の一部が日本まで到達したもの。極渦は北極圏を取り巻くように見られますが、時々南下して強い寒気をもたらします。一昨年のヨーロッパや今年1月下旬から続くカナダやアメリカの強い寒気もそうです。当記事末に解析気温マップによる北半球の気温変化を手動アニメーションにして掲載しました(画像引用:Tropical Tidbits)。1月24日から本日まで画像下のボタンでコマ送りできます(各0:00UTのみ)。寒色系のエリアが北米大陸や北海道へ到達する様子をじっくり観察してください。(※このマップは地上付近の気温分布であり、極渦をダイレクトに描いたものではありません。極渦の様子は、例えば地球環境研究センターサイト・成層圏極渦予測のコンテンツなどで知ることができます。)
奇しくもNASAやNOAAから「2018年の世界気温は史上4番目の暑さ」という報道が流れましたね。各地で寒波のニュースが流れているのに世界平均気温は上がっているという皮肉さ。でも、極渦が南下する原因はもっと北のエリア、つまり北極域の気温が上昇し、中緯度との気温差が少なくなったためだと言われます。もしそれが本当なら、今後の中緯度気候がますます極端化してしまいそうです。
【世界年平均気温・基準差トップ20】
順位 | 年 | 基準差 |
---|---|---|
1位 | 2016年 | 1.00度 |
2位 | 2017年 | 0.91度 |
3位 | 2015年 | 0.87度 |
4位 | 2018年 | 0.83度 |
5位 | 2014年 | 0.74度 |
6位 | 2010年 | 0.71度 |
7位 | 2005年 | 0.68度 |
8位 | 2013年 | 0.65度 |
9位 | 2007年 | 0.64度 |
9位 | 2009年 | 0.64度 |
11位 | 1998年 | 0.63度 |
11位 | 2002年 | 0.63度 |
11位 | 2006年 | 0.63度 |
14位 | 2012年 | 0.62度 |
15位 | 2003年 | 0.61度 |
16位 | 2011年 | 0.59度 |
17位 | 2001年 | 0.54度 |
17位 | 2004年 | 0.54度 |
19位 | 2008年 | 0.52度 |
20位 | 1997年 | 0.47度 |
右表はゴダード宇宙科学研究所(GISS)のサイトで公開されている世界の年平均気温・基準値差を使って順位をつけたもの。1880年以降2018年までの集計で、トップ20まで載せてあります。またグラフ化したものが下A図です。表中のピンク字は2000年以降の年。わざわざ色付けするまでも無く、ほとんど2000年以降がトップを占めている状況なんです。
ついでに、気象庁から公開される北極・南極の海氷域面積データが1月31日に更新され2018年末まで出そろったので、グラフにしたのが下B図です。これを描いてて愕然としました。前出の2017年1月20日記事にも2016年秋までの同様グラフがありますが、実は2016年冬以降、海氷面積はずっと低下を続けており、なんと平年値の下限(下図で半旬ごとに描いてある色付きボックス下側)よりも低い状態が度々出現する事態でした。
人の一生は高々百年。その間に様々な気候を体験しながら暑い寒いと言います。人間だけが地球の住人ではありませんし、地球の中の熱収支は人の都合に合わせてくれるわけではありません。私は温暖化論者でも寒冷化論者でもない一般市民ですが、短期的にも長期的にも気象変動が加速して、どうにもうまくいってない実情は理解できます。
【北半球の解析気温変遷・2019年1月24日から2月9日まで・各日0:00UT】
※位置が分からない方は一番最後のコマの全体地図をご覧ください。