2017年米国の甚大自然災害損失額は過去最高2018/01/09


2017年アメリカ甚大自然災害マップ
まだ2018年が始まったばかりですが、アメリカで起きた2017年の甚大自然災害による被害損失総額をNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration/アメリカ海洋大気庁)が早々に発表しました。素早いですね。元サイトはここここです。それによると、2017年の経済損失は3060億ドルに上ったと言うことです。

日本で言うところの気象庁やら海上保安庁やらを足したような機関ですが、政府としてではなくNOAAが額面を発表するあたり、興味深いなと感じました。(※日本の気象庁も大きな気象災害では災害状況を報告していますが、被害額の発表は内閣府や各自治体が中心のようです。)

左上図は前述サイトからの引用で、2017年の甚大自然災害マップ。国土が広いこともあって多様な災害が起こっていますが、昨年は特にハリケーンによる被害が大きく、総被害額の実に86.6%に及びました。

アメリカ甚大自然災害・損失額の変遷
NOAAでは、10億ドル以上の被害が出た自然災害を7種の原因に分類し、それぞれの件数と損失額、計算手法などの資料を公開しています。1980年以降の年ごとの数値をダウンロードし、グラフにしたのが右図。(同様のものが前述サイトにもあります。)ハリケーン被害はサイクロンの項目になります。 こういったグラフを速やかに誰もが描ける体制を取っていることに、とても感心させられました。日本では発表に時間がかかったり、元データが提示されず小さな図表しか閲覧できないといったケースが多いからです。データは学者先生のためにあるのではなく、一般市民が有効活用するべきものですね。

グラフは見ての通りですが、2017年の発生件数は2011年と同じ16件で過去最大、また青い折れ線グラフで示した損失額は2005年の2150億ドルを抜き、これも過去最大です。ちなみに2005年も三つのハリケーン(Katrina・Wilma・Rita)が大半の要因でした。過去のハリケーン件数や蓄積エネルギー(ACE:Accumulated Cyclone Energy)は2017年10月6の記事を参照してください。

これらは甚大な災害のみの統計ですが、10億ドルに達しないけれど被害がバカにならないケースや、お金に換えられないものを失った災害も多くあったことでしょう。そうした被害に遭われた方々だって忘れることはできません。甚大な自然災害が少しずつ増えていることは一目瞭然。本質は「アメリカ一国のお金の問題」ではないのです。日本も対岸の火事では済みませんね。誰がどんな政治を行おうと、誰がどんな学説を唱えようと、自然災害は世界規模で増加の一途にあります。

さて、日本で同様の統計を取ってみようとしたところでデータが見つからず行き詰まってしまいました。困ったもんだ…。

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