ビーバームーンのリム地形を楽しむ2023/11/28

20231127_18156月
昨夕は度々雲が飛来したものの、満月を楽しむことができました。

満月瞬時は18:16頃。それに合わせて望遠鏡で見てみるとかなり欠けていました。2022年2月17日記事下のほうにある「満月瞬時の月黄緯」グラフをご覧頂くと分かりますが、昨夜の満月は黄道から3°ほど北に離れていました。地球と太陽がある平面から上側(北側)にずれ、南極側を曝していたということです。これにより南極域の陰影が普段より奥まで見えていました。

左画像は少し月が高くなった27日21:20頃の撮影で、太陽黄経差は約181.56°、撮影高度は約58.74°、月齢は14.12。南極付近のクレーターに影があり、また満月を過ぎたため右リム側にも影ができ始まっていますね。

シーイングは3/10程度と良くありませんでしたが、雲間を狙って拡大撮影も試みました。実は滅多に見えない地形が見えるかも知れなかったからです。「月世界への招待」サイトの東田さんによる撮影日記で、2023年2月28日記事を拝見し、「フンボルト連鎖クレーター」が本当に見えるのか、見えるならいつか、ということに興味を持ちました。2022年5月11日記事に書いた「ヒラヤマ・クレーター」の見ごろを算出した際に作ったプログラムで計算したところ、昨夕の満月過ぎが比較的良い条件だと分かっていたのです。

20231127フンボルト連鎖クレーター
なにしろフンボルト・クレーター自体がリム近くの地物ですから、更にその奥を見るなんて無謀なのですが、取りあえず撮ってみたのが下A画像。暗斑を持つフンボルトはしっかり写ってます。その奥の地形を判別するため、NASA・LRO画像を引用して目立つクレーターを対比させつつマーカーを付けたのが右画像です。いかがですか?赤矢印に挟まれた細い溝のような地形が分かるでしょうか?

周囲との位置関係から、この溝がフンボルト連鎖クレーターで間違いないでしょう。月中央付近にあるアブルフェーダーやデイビーなどの連鎖クレーターは粒々の小クレーターがチェーン状になっていると分かりますが、さすがにこれだけ縁に近いと「何となく窪んでいる」くらいにしか見えませんね。それでも南端にある三粒ほどのクレーターがはっきり明暗を作っていたのには感動しました。一朔望月後、12月25日から27日にかけての満月前後も好条件です。腕に覚えの有る方は試してみてください。

もうひとつ、前述したヒラヤマ・クレーターも確かめてみました。欠け始まっているためほとんど影ですが、ヒラヤマの向こう岸(クレーター壁)が光っているのを確認できました(下B画像)。明るくて分かりづらいけれど、この画像には日本人の名前がついたクレーターが合計三つも写っています(マーカー位置)。

天気が弱い下り坂で雲が飛び交う中、せわしないお月見でしたが、十分満足する結果が得られました。

  • 20231127フンボルト、ペタヴィウス、アンスガリウス

    A.フンボルト・クレーター
  • 20231127スミス海、縁の海、ラングレヌス

    B.日本人の名のクレーター


今日の太陽2023/11/28

20231128太陽
昨夜から今日明け方に向かって一時的に天気が崩れました。隣接する千葉県は未明から明け方にかけて雨雲が通ったようですが、私の住む街は雨が降るまでは行きませんでした。朝からは良く晴れています。午後になって少し風が出てきました。

20231128太陽リム
左は10時過ぎの太陽。活動領域の大群もまた右半球へ偏りつつあって、左リム側がガラ空きになってきました。今日は細くて濃いダークフィラメントが目立っています。左上、左下、北極それぞれ背の高いプロミネンスが目を引きますね。