虹の入り江が美しい2023/11/24

20231123虹の入り江、プラトー、雨の海
昨夜は少し雲が通過する程度の快星。パッと見た目には安定していましたが、望遠鏡で月惑星を見ると前夜ほどの好シーイングではありませんでした。それでもついついじっくり見てしまうのが天文屋の性。

撮影したなかから月面を四枚掲載しました。左画像はおなじみ虹の入り江からプラトーにかけて。入り江はもう少し前、半分くらい影になっていたほうが好みなのだけれど、入り江の奥までようやく光が届いたこのような景観も素晴らしい。湾の北側には「小さな月面X」が鮮明に見えています。上弦側では白X、下弦側では黒Xになります。

プラトー谷もきれいに伸びていますね。クレーターを挟んで反対側にも小さな谷が見えるのですが名前が分かりません。雰囲気はアペニン山脈のコノン谷に似てます。別構図で撮ったものでは、アルプス谷のなかの細い谷があまり見えませんでした。シーイングの影響も大きいけれど、月齢が進み影ができにくくなったのでしょう。画像右下、アリスティルスからの光条が目立つようになりました。

20231123ティコ、クラヴィウス、ロンゴモンタヌス
こちらは南部の様子。中央の上下にティコとクラヴィウスが並んでいます。クラヴィウスの北西側にも細身の小さなX地形が見えるのですが、やや不完全。画像左上、ハインツェルの内部はまだ夜のようです。その下のミーも暗いですね。シラーの向こう岸が少し光ることを期待していたのですが、ほとんど見えませんでした。多分数時間見ていれば見えたのかも知れません。

南極付近まで構図に入れたのですが、モレトスを見るとずいぶん潰れていて、秤動が不利なのだと分かります。ニュートンあたりは辿れませんね。クラヴィウスのすぐ上にマギヌスが明るく見えています。これだけ明るいと、いったいどこがマギヌスの魔女のパーツなのか分かりづらいでしょうか?

下A・B画像二枚は上画像の一部を含む縦構図の画像。Aは虹の入り江の南東に広がる雨の海。ひと晩前にも見えた溶岩流の別ポイントが見えるかと期待しましたが、思ったほど写りは良くありません。大気の細かい振動が多かったのでそのせいなのかどうか…。オイラー北側などの溶岩流は位置が分かっているので凝視すれば見えるけれど、明確じゃありません。なんとか炙り出す方法はないものでしょうか?月面N付近はすっかり明るくなりました。

Bはブリアルドゥスやカプアヌス、そしてハインツェルあたり。明暗境界から離れてしまいましたが、キースπやカプアヌス内のドームが確認できます。そう言えばひと晩前(22日宵)にはキースπがちょうど明暗境界にあったのを思い出しました(下C画像)。画像左辺やや下、卓球ラケットのようなキースを特定できると、その左に寄りそう小さな小高いドームが分かるでしょう。ヒッパルス谷やラムスデン谷もクッキリしてますね。アヒルの親子も夜明けです。

  • 20231123虹の入り江、雨の海、カルパチア山脈

    A.虹の入り江から雨の海をのぞむ
  • 20231123ブリアルドゥス、カプアヌス、ハインツェル

    B.雲の海西部から病の沼付近
  • 20231122雲の海

    C.22日の雲の海付近


20231123木星
調子に乗って月の東に輝いていた月も撮影してみました。これと同じフォーマットでの撮影は10日ぶりでしたが、導入して真っ先に感じたのは「小さくなってる」ということ。衝の頃に比べて小さいのは当たり前ですが、10日見てないと大きさの変化が分かるのかと自分にビックリ。

シーイングはやはり細かな揺れが大きいけれど、ときどき落ち着いた模様が見えました。大赤斑に続いているふたつの明るい模様や、大赤斑とほぼ同じ経度にあるNEBとEBの境目の明るいところなどよく見えました。NTBの細い筋とか極域の細かい渦は全く写りませんね…。晩秋や初冬はこのあたりが分解能の限界みたいです。

【情報】あまり興味を持つ方は少ないでしょうが、今夜半過ぎ(25日0:30ごろから1:00ごろまで)、イオの影が木星の大赤斑を通過する「きょろきょろジュピター」が見えます。前回私が見たのは8月9日未明でした。

今日の太陽2023/11/24

20231124太陽
昨夜は晴れ。今日も朝から晴れています。昼前から20度を越して暖かいのですが、そのぶん透明度は低くシーイングも悪いようです。

20231124太陽リム
左は10時ごろの太陽。だいぶ活動領域が追加され賑やかになっていますが、更に左下リムから新たな黒点が入ってきました。これ、ひょっとして立体的に見ると太陽のこっち側と向こう側とで黒点の有無が二極化されている?左下や右下のプロミネンスが奇妙な形で目を引きます。