勾玉星雲に近づく岩本彗星2019/03/03

20190302岩本彗星(C/2018Y1)
昨夕から空に薄雲がはびこり始め、夜半前にはすっかり曇ってしまいました。でも宵のうちはまだ星座が何とかたどれるくらいに見えていたため、早々に望遠鏡を準備して岩本彗星(C/2018Y1)に向けました。ちょうどぎょしゃ座の勾玉星雲(IC405)近くを通りかかるタイミングだったのです。

1日前の撮影では拡大率を下げすぎて彗星のディティールがうまく出なかったため、今回は3倍ほど焦点距離を上げて撮影しました。ずっと薄雲がかかっており、彗星や星雲のディティールどころかファインディングすらままなりませんでしたが、どうにかカメラに納めることができました(左画像)。街中の光害や雲に屈せず、わずかでも撮影チャンスに恵まれたことに大感謝。天の恵みは自分ではどうしようもありませんから。

彗星頭部に広がるエメラルドグリーンの部分は「コマ」とも呼ばれますが、髪の毛を意味するcomaというラテン語が語源とされるそうです。ふわっとした様子が髪に見えたのかも知れませんが、どちらかというと伸びた尾のほうが長い髪に見えるような…。髪を結ったり盛ったりするのは今に始まった文化ではなく、何千年という歴史があります。長い宇宙の時を刻む彗星の輝きには負けますが、髪型にも相応の伝統や様式、考え方などが絡んできて面白いものです。

古代の装飾品であった勾玉にも様々な意味合いがあったと言われます。この画像にあるような赤い勾玉には「健康であるように」との願い。青い勾玉なら生命の源である水の恵み、白い勾玉なら長寿…といった具合。原石の色を見て使い分けるとは、なんと繊細な工芸魂なのでしょうか。私も5年ほど前に大病で入院した際、お守りの勾玉を知人のお子さんから頂きました。「色々な意味があるんですよ」と教えてもらい、感心したことを思い出します。いわゆるパワーストーンなどは信じませんが、有形物であれ無形物であれ、そこに人の想いが込められているという事実こそ大切で、尊いことだと感じます。

どんどん雲が厚くなるなか大慌てで撮った空のワンシーンですが、その割にあれこれ思い耽ってしまう時間を過ごせました。ふと我に返ると、すっかり雨が降り出しそうな空模様…。

参考:
岩本彗星(C/2018Y1)に関係する記事(ブログ内)

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