今日は年間でもっとも台風が少ない日2019/02/15

台風存在度数・日集計
台風が多いシーズンはひっきりなしにニュースや気象情報が流れますが、今は台風が息を潜める時期。統計を取ってみると本日2月15日は「年間で最も台風が少ない日」になります。

気象の知識がある方なら、「台風発生が少ないのは、年末ではなく年度末に近い2月である」ことをご存じでしょう。ただこの統計は「発生月」であることに注意しなくてはいけません。例えその台風がすぐ消えてしまっても、あるいは何週間も続いても、発生月の統計に影響しません。「実際に台風が多いのはいつなのか」という問いに答えられない統計なんです。

そう思って、気象庁が公開している台風ベストトラックを元に、1951年年始から6時間ごと台風が存在したかどうかをカウント、日単位に串刺し集計したグラフを2018年11月1日の記事に掲載しました。左上図はこれに2018年の全台風を追加、更に平滑処理したグラフも描き加えたもの。過去の同じ日を見てゆくと、2月15日前後だけ「台風が全く存在しない時間」が何度か登場するのです。

台風ACE値・月集計
2018年の台風蓄積エネルギー(ACE:Accumulated Cyclone Energy)を振り返ってみると右図のようになりました。(※これは月毎の集計です。)7月から9月にかけて平均よりもかなり上昇しましたね。2018年8月25日の記事に書きましたが、長期に渡って台風が途切れなかったことが大きな原因と思われます。塵も積もれば何とやら…でしょうか。なおこれは気象庁・台風監視区域全体の集計であり、日本に接近/上陸したかどうかは区別していません。ACE値は位置情報と併せて見ることもできるため(→参考記事1参考記事2)、「台風ACEマップ」の変遷を描いたら年ごとの日本へのダメージが理解しやすいかなぁ…などとぼんやり考えています。

参考:
アーカイブ:台風による月間ACE値の一覧

不安定な天気ながら二彗星を観察2019/02/15

20190215岩本彗星(C/2018Y1)
昨日昼から多くなった雲は宵まで続いていましたが、夜半前頃から星が見え出しました。久し振りに気温がぐんぐん下がり、明け方はマイナス5度近くまで到達しました。上弦を過ぎた月が残り、また時々通過する雲があったものの、天候が不安定になった2月のなかでは貴重な晴れ間。ということで、急きょふたつの彗星を撮ることにしました。

まずはいつもの岩本彗星(C/2018Y1)。夜半に子午線を越えるようになったので、月が近隣の建物に隠れるタイミングで撮影開始。約1時間の露出を恒星・彗星静止モードでコンポジットしました(左画像)。彗星の移動が速いため、このコンポジットがやりやすい時期です。尾の向きが大幅に変わっており、イオンテイルとダストテイルが両方とも南東(左下)向きになったようです。2月12日の記事でも指摘しましたが、地球接近前後は尾の向きが大幅に変わります。ちょうど、風になびく鯉のぼりの近くを通過しながら眺めると、鯉の向きがグルッと変わってしまうのと同じですね(鯉そのものはほとんど向きを変えていません)。

20190215ウィルタネン周期彗星(46P)
続いてウィルタネン周期彗星(46P)も撮影しました(右画像)。12日からさほど動いてなかったため、今回も系外銀河NGC2841と一緒の写野になりました。この画像も恒星・彗星静止モードでコンポジットしてあります。撮影が終わる頃から雲が出始め、片付けをしている内にすっかり曇ってしまいました。

ウィルタネン彗星はこのまま3月中旬までおおぐま座をゆっくり移動しながら10等近くまで暗くなる予定です。

参考:
岩本彗星(C/2018Y1)に関係する記事(ブログ内)
ウィルタネン周期彗星(46P)に関係する記事(ブログ内)