マダガスカル近海を通るダブル・サイクロン2019/02/10


20190210ダブルサイクロン
南半球の「夏」はそろそろ終わろうとしていますが、サイクロンの活動は依然活発です。マダガスカル島の東沖で一週間ほど前から発生していたふたつの熱帯低気圧は、その後強いサイクロンへ発達しました。島や大陸への上陸はないものの、周辺の小さな島や、付近を航行する船舶・航空機に被害が及びそうです。

左は2月9日(日本時間10日になった頃)の地球観測衛星Terraによる画像(NASA・WorldViewから引用)。サイクロンが二つ、かなり接近して見えますね。FUNANIのほうは7日12:00UTから8日6:00UTまで最大風速115ノットの勢力を維持しました。またGELENAは今が最盛期で、なんと120ノットも出ています。なおFUNANIの南西にある渦はサイクロンではなく、一般的な寒冷渦です。

日本に住んでいるとなかなか南半球まで思いが及びませんが、時折世界中の衛星画像を見たり、地震や火山活動をモニターすることで地球の活動を積極的に調べるようにしています。

空から氷の贈りもの2019/02/10

20190210明け方の雪
昨日関東にもたらされた雪は東側ほど多かったようで、当地・茨城県南部で比較しても東側の街のほうが雪がこんもりしていました。昼過ぎにいったん止みましたが、夜に入ると再び降り始め、夜半過ぎまで続きました。明け方には美しい星空が広がっていたけれど、地面はツルツル。もちろん機材を出して天体観察などとても無理でした。

雪が降るたび可能な範囲で雪粒を観察するのですが、左画像は10日1時頃の撮影。日中の降り始めから粒が小さい雪でしたが、夜の雪もまた小さいものでした。小粒状の氷が雷おこしのように集まったものや針状のものが大部分を占めていましたが、一部に綺麗な雪模様も見られました(左画像中の赤○印など)。夜が明けて正午前まで日陰に残る結晶を確認できました。

20190210上部タンジェントアーク
昼を過ぎると太陽の上側にアークが見えました(右画像)。空全体に巻雲がかかっていましたが、アークは上側だけだったので、内暈ではなく上部タンジェントアーク(または外接ハロ)と判断しました。

空に気象光学現象をもたらすのも氷の結晶です。白い雪とは違い、水分子が六角構造を保ったまま透明な粒に発達したものです。上部タンジェントアークは鉛筆のように「柱状」になった粒が作るアーク。結晶の形や密度が変われば、違うアークが現れたり色が濃くなったりします。空にできる氷は様々な自然の一面を見せてくれるので飽きることがありません。

【追記】
気象衛星から見ると降雪範囲が一発で分かりました。下A画像は今朝9:00JSTのひまわり画像(画像元:RAMMB/画像処理は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、水色の部分はよく冷えている雲や地面に降った雪を表しています。また下B画像は地球観測衛星Terraの本日画像(画像元:NASA-WorldView)。日本上空を通過した11時前後の撮影と思われます。これを見ると、東側が多く降ったというよりも、降雪が南西−北東向きのベルト状になっていたと考えるほうが正しいでしょうか。利根川沿いに雪が多いのは何か深い理由があるんでしょうかね?

  • 20190210-0900JST気象衛星ひまわり画像

    A.気象衛星ひまわり画像
  • 20190210Terra

    B.地球観測衛星Terra画像


明後日12日は月面LOVEデー(ただし昼間)2019/02/10

2019年2月12日当日の観察記事も併せてごらんください。

20180720月面LOVE
明後日2月12日は月面Xデーですが、月の出時点で既にX地形に日が当たっているため、夕方にはX地形周囲にも日が当たり始めています。2月5日の記事に18:00のシミュレーション図を載せていますので参考にしてください。

ところで、月面Xデー近辺には「月面LOVE」も見える場合があると、2018年11月7日記事で紹介しました。同じ画像を左に再掲載しましたが、今回「L・O・V・E」に見える各地形に太陽光が当たる時刻を計算したところ、とても条件が良さそうなので告知しておきます。

「L・O・V・E」各地形は一ヶ所に固まっているわけではないため、出現完了時刻(概ね全体に光が当たり、字の形が認識できる最早時刻)はバラバラです。また、各地形に対しどんな条件なら出現完了と言えるか、まだ事例が足りません。前出記事のあと三ヶ月かけて上弦前後の月写真をしらみつぶしに調べ、おおよそ条件を絞り込んだので、今回はその条件で右下表を計算しました。

月面LOVEの「条件が良い」というのは、『文字全てに日が当たる時間幅が短い』かつ『全て出そろったとき月が空高く見えている』ということです。O地形は他の地形よりやや東に位置するため、どう計算しても早くから日が当たってしまいます。O地形以外の三文字「L・V・E」は順序も時刻もかなりばらつきます。早いケースだと1時間以内に収まりますが、遅いと優に7時間を越えてしまうのです。出そろうまでに時間がかかると、月が没したり、最後の文字が見えるころ最初の文字が明るすぎたり…という可能性が高くなりますね。

【月面LOVE出現予定時刻】
計算対象:2019年2月12日
出現完了時刻地形名
1:51O地形
11:44E地形
12:04V地形
12:36L地形

  • この表は2018年11月7日記事と異なる基準で算出しています。(より正確な時刻になるよう改良をしています。)
  • 時刻はあくまで目安です。
右表の通り、今回はE→V→Lの順に僅か52分ほどで出そろいます。しかも(昼間ではありますが)全て出そろったころには東空の月が次第に高くなってくる時間。雲さえ無ければ地形の確認ができるでしょう。ただしこの時刻は私が勝手に定めた条件なので、「もう少し早くから見えていたよ」とか「まだ断片的だったよ」ということも考えられます。観察を計画するなら余裕を持ってトライしてください。

なお何時まで見え続けるかは考慮していません。冒頭で述べた月面Xと同様、夜になる頃は太陽光が地形周囲におよんで、字がたどれなくなる可能性もあります。特にE地形とL地形はシビアですよ。晴れたらぜひみなさんご自身の目で確かめてくださいね。