秋彼岸の中日です2015/09/23


白花ヒガンバナ
今日は秋彼岸の中日、つまり秋分です。暦の上では秋の折り返し点。空の世界では太陽がほぼ真東から昇ってほぼ真西に沈むために昼と夜とがだいたい同じ時間となる日ですね。例年に比べ夜に冷え込む日が続くせいかは分かりませんが、9月16日の記事で紹介した隣家のヒガンバナも昨日見たら溶けかかっていました。

白花ヒガンバナ
この記事を読んでくださった古くからの友人が「近くのお寺に白花ヒガンバナが咲いてるよ」と、9月21日にわざわざ撮ってきてくれました。画像をいただいたのでご紹介します。なんと、先日に決壊した鬼怒川の現場近くにある千姫ゆかりの由緒あるお寺でした。(決壊とは反対側だったので被害は免れたようです。)こんな近くに咲いていたなんて、もう大感動。季節の節目にこうした自然にふれあって喜べることは、この上なく幸せに感じます。

天文学では天球に定められた天の赤道と天の黄道が二つの交点「春分点」「秋分点」で交わっています。このうち秋分点に太陽が達した日時が本来の「秋分」の定義。もし太陽が常に天の赤道上にいれば、毎日真東から日が昇って真西に沈み、昼夜は一年中同じ長さです。季節も生まれませんから二至二分という発想もなかったでしょうし、ヒガンバナは別の呼び名になっていたかも知れません。

20150715・20150922地球比較
でも実際の太陽は春分点と秋分点という交差点で赤道を一瞬横切るだけで、あとは別ルート(黄道)を進みます。黄道は赤道に対して南に下がったり北に上がったりして、日本ではそれを「夏の太陽は高い」「冬は低い」と体験するわけですね。当ブログの「空のこよみ・今年の二十四節気」によれば本日17:20が正確な秋分。以降、2016年3月20日13:29の春分までは太陽が天の赤道の南側に輝きます。

8月18日の記事で気象衛星の可視画像を比較しました。では秋分近くにどう見えているでしょうか?昨日9月22日の画像で比較してみました(左上画像・画像元:NICTサイエンスクラウド)。上下段とも右側から2時、6時、12時、18時、22時の画像を使っています。光の当たり方がだいぶ違いますから地球が向きを変えたようにも見えますが、静止衛星画像なのでいっさい変わっていません。太陽光が当たっている向きが変わっているだけです。どの地球も真上が北極点、真下が南極点、中央少し上に日本があります。前記事同様に6時の画像で図解すると右図の様になるでしょう。

20150715・20150922地球比較
前述の通り秋分の太陽は天の赤道上にいます。天の赤道とは地球赤道を空へ延長したものですから、そこにいる太陽からやって来る光は赤道に平行に差し込むのです。それから、秋分や春分は北極と南極が同時に太陽の恩恵を受ける日、白夜が切り替わる日、ということも分かりますね。

地球は赤道と黄道がほどよい角度で交わってるおかげで、ほとんどの地球面で生物が暮らしていける環境を保っています。この角度がもう5度、10度と違っていたら……どれほど違う文化、いや、違う世界、あるいは違う生命体だったろうかと想像せずにはいられません。古来から美しいヒガンバナが季節を告げてくれること、私たちがつつがなく毎日を送れることは、宇宙のほんの小さな気まぐれが紡いだ奇跡なんです。

20150922_1500熱帯低気圧
さてさて…あらためて昨日15時の気象衛星画像を見てください(左)。実は日本の南の海上に発達した熱帯低気圧があったんですが、本日23日3:00に台風21号として発表されました。この台風は猛烈に発達しながら、週末の名月や満月のころ日本にかなり接近する予報が出ています。このタイミングでヒガンバナは確実に散ってしまうでしょうから、鑑賞したい方はお早めに。

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