暑さ寒さも彼岸まで2015/09/20

20150919薄明光線
彼岸の入りを迎えました。少し湿気があって蒸し暑く感じることもあるけれど、このところ総じて気温が低めで過ごしやすい日々。時々とても寒く感じることもあるほど。今年は「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句より季節の歩みが早いようです。

ところで「暑さ寒さも彼岸まで」って数字に表れるのでしょうか?人間の感覚を数字にするのはなかなか難しいことですが、ちょっと考察してみました。以下は気象庁発表の茨城県つくば市・アメダスポイントによるデータを使用しています。(温度は全て摂氏です。)また、記事を書く上で「アーカイブ・茨城県の気象平年値」を別途にまとめました。そちらも参考にしてください。

2014平均気温・つくば
グラフA
★「暑さ寒さ」は気温の値を言っている?
同じ人でも20度を暑いと感じることも寒いと感じることもあります。右のグラフAは昨年2014年の日平均気温と、平年値(=1981-2010年の30年平均値)を描いたもの。上下の振動はありますが、概ね平年値に沿った気温になっています。

3月・9月各下旬に何かが極端に変わったようには見えませんが、春彼岸の平年値が8度前後の頃に「寒くなくなった」のに対して、秋彼岸は20度前後の頃に「暑くなくなった」と言っているわけです。ただ、この慣用句を言い始めた昔の人と今とでは、暮らし(特に屋外での活動時間や室温環境、ヒートアイランドなど)が全く違うはず。同じ感性で言葉を判断できないのが何とももどかしいです。

2014最高気温と最低気温・つくば
グラフB
★最高気温と最低気温の感じ方は?
冬日、夏日という用語がありますね。それぞれ「最低気温が0度未満の日」「最高気温が25度以上の日」のこと。彼岸のころはどうでしょうか?左のグラフBは2014年の最高気温と最低気温を描いたもの。ただし計測値そのものだとグラフAのようにギザギザで見辛いので、ひと工夫して「2日前から2日後まで計5日間の平均」(いわゆる単純移動平均)をプロットしました。こうすると突出した値は滑らかになり、傾向が掴みやすくなります。(統計期間の最初と最後の2日間は省きました。以下「5日平均」とあるものは同様の計算です。)グラフBの濃赤と濃紫は5日平均の線、参考に元の値も淡赤と淡紫の線で描き加えてあります。

最高・最低気温ともクリーム色の範囲に収まっていれば「冬日でも夏日でもない」ぬるい日々です。グラフBの5日平均線を見ると、2014年は3月中旬から「ぬるい日々」がスタートしています。また10月頭からも夏日を脱して「ぬるい日々」が再スタートです。彼岸とは「ぬるい日々の開始点」なのかも知れません。

2014平均気温と気温差・つくば
グラフC
★気温差が影響している?
「最近夕方がめっきり寒くなった」とよく言います。日中の気温に対して夕方や夜がいつもより冷え込むことを表現しているのですね。私たちは気温差(最高気温と最低気温の差)を敏感に感じて季節の節目を言い表すのでしょうか?次のグラフCは2014年の気温差(5日平均)とその平年値、および2014年の平均気温(5日平均)を一緒に描きました。

これはオレンジ線に対する青線の振れ幅が重要に思いました。季節を問わず1ヶ月に1、2回、気温変動があまりない期間と変動の大きな期間がくり返されています。また夏場には変動が減少傾向、冬は平均4度ほど増大しますね。春彼岸と秋彼岸はその転換期に当たります。そういう時期に「変動が大きくて平均気温が高い」タイミングが合えば急に暖かくなったと感じ、「変動が大きくて平均気温が低い」場合は急に寒くなったと言いたいのではないでしょうか?

単純な気温の寒暖だけでなく、それまで置かれていた過酷な環境から脱したときこそが喜びの瞬間。「暑さ寒さも彼岸まで」とはそんな時期を言い表した言葉なのかも知れません。さて、2015年はどうでしょうか?9月18日までのデータを使ってグラフBとグラフC同様に描いたものを下にご用意しました。みなさんも分析・予想してみてください。なお、つくば市は特に日本の平均的都市ではありません。こういった統計は地方ごとに特徴があるはずです。そういった比較もおもしろそうですね。

  • 2015最高気温と最低気温・つくば
    グラフD
  • 2015平均気温と気温差・つくば
    グラフE


参考:
アーカイブ・茨城県の気象平年値

今日の太陽2015/09/20

20150920太陽
さわやかな昼間です。午前中は雲が多めでしたが、午後にはほとんど無くなりました。

左は13:00頃の太陽。大きな黒点は真ん中を過ぎ、西へと向かい始めました。この黒点は太陽観察メガネのみで何とか存在確認できました。

20150920太陽リム
いっぽう東から入ってきた太いダークフィラメントは中央に向かっています。左上のプロミネンスは根っこの部分が光球面に入り込んできましたね。その少し下、リム付近に明るい部分がありました。新しい活動領域でしょうか?