海王星と天王星の衛星をとらえる2021/09/20

20210919_16251月
昨夜から今朝にかけて安定した晴れ間が訪れました。宵のうち薄い雲があったものの、2時間もすると消失。その代わり地表の湿度が高くなって結露に悩まされました。空には中秋の名月二日前の月。名月の日を待たなくても秋の月はとても美しいのです。形式にとらわれず、美しいと思った時に眺めるのが一番。

左は19日22:10頃の撮影で、太陽黄経差は約162.51°、撮影高度は約40.2°、月齢は12.51。20日に月面Aデーを迎える位相ですが、残念ながら今回の出現は日本から見えません。月面の見かけの中心と月面座標原点のずれ=秤動量が8°を越えることは少ないのですが、この月は地心秤動量が約8.37°、私の観察地からの測心秤動量なら約8.82°もあり、つまりは数年に一度レベルの「かなり大きく首を振った月」でした。右上が中心に寄る秤動のため、フンボルト海がえぐいほど見えていますね。欠け際にはリュンカー山もよく見えています。

月を眺めて終わろうと思っていたのですが、13°ほど離れたところに海王星がいたため撮ってみることにしました(下A画像)。9月14日に衝を迎えたばかりなのでちょうど見頃ですが、ここで昨夜の運命(?)が変わりました。「海王星や天王星の衛星はどこまで写るんだろうか?」と思ってしまったのです。

海王星に関してはトリトンが13.5等、ネレイドが18.7等、残りは20等以下ばかりなので、今回の装備ではトリトンが限界。重星撮影の要領で撮ったものが下B画像です。右下(南西)に暗く写っていますね。普段は2″以下の重星を狙ったりしますから、17″近く離れている当夜のトリトンは余裕でした。なおAとBで機材は変えていません。露出が異なるだけです。以下、全て同様です(画像上が天の北方向)。

  • 20210919海王星

    A.海王星
  • 20210919トリトン

    B.トリトン
    (露出オーバーで白く飛んでいるところが海王星本体)


お次は東に登っていた天王星(下C画像)。こちらは写りそうな光度の衛星が多かったため、たっぷり露出して捉えてみました(下D画像)。いやぁ、ミランダ(約16.5等)まで写るとは思いませんでした。更に調べてみると結構な速度で公転していることに気付きました。

そこで、4時間かけて19日23:30から20日3:30まで1時間おき5シーンを撮影し、天王星基準でGIFアニメーションに仕上げてみました(下E画像)。また同じ5シーンを比較明合成したものも掲載します(下F画像)。おおぉ、ちゃんと周ってる!途中、シーイング悪化や気温低下によるピンぼけ等で画質が不揃いなところもありますがご容赦を。遠い遠い惑星や衛星の動きが街中から分かってしまうなんて痛快です。

ご存知のように天王星は自転軸が横倒しのため、ガリレオ衛星のような横からの眺めだけでなく、極方向から衛星たちを見ることができるシーズンがあります。地球から見て最も極方向から見えるのは2028年頃。また真横から見ることになるのは前回が2007年頃、次が2049年頃。当面は極方向から見やすい時期と言えましょう。

このあと登ってきたオリオンの1等星なども撮影しましたが、画像処理が追いつきませんのでまた後日に。明け方までたっぷり星月を楽しむことができました。

  • 20210920天王星

    C.天王星
  • 20210920天王星の衛星

    D.天王星の衛星


  • 20210920_0330天王星の衛星

    E.天王星の衛星の公転(GIFアニメ)
  • 20210920天王星の衛星の公転

    F.天王星の衛星の公転(比較明合成)


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