横たわる有明月を観よう・Part22021/09/01

20210227満月の向きと弦傾斜
★弦の傾きはどう変化するのか
観察者から見た地平座標系による月と太陽の位置が算出できれば、過去でも未来でも、月齢も可視不可視も関係なく、弦の傾きが計算可能です。でも実際の観察で計算値に画像を合わせるのでは意味がありません。工夫を凝らしながら天頂・天底を上下に、水平を左右に揃えた上で、実測・実感することこそ重要なんです。

カメラに水準器機能があればそれを使うもよし、無ければシューや台座などに外付けの気泡水準器を付けるのも良いでしょう。どちらにしてもプラスマイナス1°程度の誤差は生じますからご注意。Part1に掲載した三日月画像のような「季節に応じて細い月の傾きが変わる」ことを示すには、何度観察しようが正確な水平を担保する必要があります。

左は2021年2月27日23:30過ぎに撮影した満月直後の月。この画像は意図的に回転させて月の北極方向を画像上方向に揃えていますから、肉眼で見たままの向きになってません。描かれてる通り、水平方向など他の様々な軸の向きがエライことになっちゃいます。とは言え、何らかの軸を同一方向に揃えておくと比較に便利。当ブログのアーカイブ「月の形」に掲載してある多数の月面も全て北極方向を画像上方向にしてあり、満ち欠けや秤動の比較がしやすいように配慮してます。ただ、当記事で注目しているのは水平に対する弦の傾斜ですから、この画像のように南北を合わせる必要はありません。経緯台にカメラを水平にセットしてそのまま撮影すればよいだけです。(※赤道儀追尾では像に対して水平方向が回転してしまうのでNG。ごく短時間ならOK。)

さて、私のように満月好きでしょっちゅう撮影していると気付くのですが、月食時以外の満月は必ず北極か南極がほんの少し欠けています。上弦のころ欠けていた西側(北極を上にするなら左側)が下弦の東側へ移行するとき、「欠けた部分」が満月の北や南をすり抜けるわけです。左上画像もよく見ると確かに太陽方向と反対側がほんの少し欠けており、少し東寄りであることから、満月を少し過ぎてから撮った画像と判断できます。

20200804_18001月
影の様子は補助線など描かなくても分かりますから、満月直前か直後かまで分かってしまうのです。(推理小説でアリバイ崩ししてる気分…)比較のため2020年8月4日ほぼ満月瞬時に撮影した画像を右に載せました。これは欠けた部分が北極側をすり抜けたケース。見えないけれど、新月近くでも同様のことが起こっていると推測できます。新月時はちょうど金星の内合のような感じで細く光った部分が北や南をすり抜けていくのですね。

「欠けた部分」が月の北極側や南極側をすり抜けるとき、それに伴ってカスプが東西方向を通過し、一瞬だけ弦が水平になります。これは新月と満月の度に発生しますから、弦が水平になること自体は珍しいことではありません。「じゃあ、一ヶ月の間に弦の傾きはどう変わるの?」「ホントは毎日一回転してるんじゃないの?」と疑問に思う方のために、下図を作りました。これは日本経緯度原点における弦の傾きを図化したもの。2021年9月から12月まで月ごとに分けました。(実際は連続してます。)日周運動に伴う約1日周期の変動と、上弦→下弦→上弦…の交代に伴うプラスマイナスの大きな入れ替えが見て取れるでしょう。プラス(上弦側)マイナス(下弦側)の入れ替えは、観察者から見た月に対して太陽が南を通るか北を通るかで異なり、0°を挟んで入れ替わるケースと180°(-180°)を跨ぐケースに分かれます。意外かも知れませんが大半の日々は1日の間に半回転すらしていないんですよ。

同様のグラフをみなさんの観察地で描いたとき、「上弦前あるいは下弦後で傾斜が0°に近いとき」かつ「日没後または日出前の空で見つけ易い条件のとき」があれば、弦がほぼ水平になった月を観察できることになるでしょう。

  • 2021年9月・弦傾斜

    2021年9月
  • 2021年10月・弦傾斜

    2021年10月


  • 2021年11月・弦傾斜

    2021年11月
  • 2021年12月・弦傾斜

    2021年12月


★場所や時刻の影響を受ける傾斜角
20210807月の弦の傾き
弦の傾きが予測可能とは言うものの、地平座標を定めるのに場所と時刻の情報は不可欠。日本経緯度原点の精密な予報値を掲載したところで、他の場所で観察する人にはあまり参考になりません。大雑把に言うなら同緯度であれば概ね同じ様な傾きになりますが、緯度経度とも計算地点から離れるほど無視できない差が生じます。特に東西の空を観察するときの緯度差は致命的。

右画像上部分は2021年8月7日に自宅で撮影した明け方の細い月。弦の傾きが左上がりで、計算では傾斜角がマイナス15.22°でした。ところが同じ月を同じ時刻に北緯80°と南緯20°で見ると右画像下部分のようになります(Stellariumによるシミュレーション/背景光は無し)。シミュレーション像をよく見ると月の模様が見えますから、「左右反転像(鏡像)」ではなく「視線方向に対して回転した像」だと分かるでしょう。この記事で観察しようとしてるのは「同じ観察地から見た細い月が時期によってどれだけ回転してしまうか」ということなんです。

この例は分かりやすくするため極端な緯度差にしました。南半球へ旅行したことがあるなら分かりますが、太陽が登る方向もオリオン座やさそり座の向きも、空がひっくり返ったかのように感じるのと同じ原理です。日本付近を通る北緯36°から37°付近で見ると、オリオンの三ツ星が垂直に登ります。それより北では少し右に倒れ、南では左に倒れた姿勢で登ります。この理由は何でしょう?同様に、北緯26.5°付近で水平に沈むふたご座のカストルとポルックスでも考えてみてください。オリオン座やふたご座が変わったからでしょうか?違いますよね。天体が変化したのではなく、見ている私達の足元が(宇宙に対して)違う角度関係になったことに気づかず、(地面に対する)天体の向きが変わってしまったと思いこむんですね(左下図)。

「北へ行くほど北極星(あるいは天の北極)が高く見える」ということはご存知でしょう。言い換えれば「北ほど天の南極は低くなる」です。では天の北極と南極を結ぶ線(=天球上の子午線)のうち、観察者の東方向を通る線はどうなりますか?北半球でこの線は左上がりに見えますから、北上するに連れて子午線左端(天の北極)が上がり、右端(天の南極)が下がることになり、見かけの傾斜がキツくなりますね。南下すればゆるい傾斜になり、地球赤道上では水平になるでしょう。西方向の子午線であれば左右逆のことが起こります。水平に対する月の弦の傾きとは、月と太陽が宇宙空間で起こす位置変化だけでなく、この観察緯度の影響が見えているのです。日本は南北20°以上の緯度幅がありますから見かけの違いは大きいですよ。実は水平な細い月、沖縄付近ではそう珍しくもない風景。それでも敢えて取り上げたのは、めったに見えない本州付近の緯度で今秋に水平になるチャンスがあるからです。

観察者の数だけ月がある
なお、この現象を比較観察するのに時間縛りは適切ではないでしょう。月の出没時刻は日々かなり変わりますし、弦の傾きも時々刻々変わることは前出グラフのとおりです。また低い空での観察ですから、関東で見える時間に関西で見えない等の状況が当たり前に起こります。

これらを避けるため、高度○°に達したときに観察する「高度縛り」の比較をお勧めします。5分10分で急激に変わりませんから、特定高度になる時刻をみなさんの観察地で調べ、プラスマイナス5分以内に撮影するといったマイルールで挑めば十分良質な比較になると思われます。低空は天気の影響を受けやすいですから、多少の幅を許容するのは必要でしょう。また、同一高度でも日々方位角が変わりますから、異なる季節に同じ場所から観察しようとしたら建物に隠されていた…等のトラブルにならないよう気をつけてください。東から登る星座や西に沈む星座を撮影して「見晴らしパノラマ」を用意し、高い障害物や電線、邪魔な街灯などが無いか事前に把握すると良いでしょう。


★弦の傾斜マップを使って観察しよう
各地での予報を表形式で書き出すときりがないため、地図にまとめることにしました。記事下に一挙掲載しておきます。地図作成にあたり観察日を絞るため、日本経緯度原点で上弦以前または下弦以降の期間において予備計算を行い、以下の条件を全て満たす日付のみ対象としました。

  • 大気補正込みの月高度が5°以上。(あまり低いと月が変形したり低空のモヤで見えない。)
  • 太陽高度が地平下6°以下。(市民薄明・市民薄暮より暗い状態。空が明るいと細い月が見えない。)
  • 上弦以前なら弦傾斜が10°以下(ほぼ水平)になる時間帯がある。
  • 下弦以降なら弦傾斜が-10°以上(ほぼ水平)になる時間帯がある。

今年2021年に関して計算すると夕方のケースは無く、明け方のみです。日付は9月5日、9月6日(逆転)、10月2日、10月3日、10月4日、10月5日(逆転)、10月31日、11月1日、11月2日、11月3日、11月4日の11件。この中からほぼ-10°付近で変化しない10月2日と10月31日を除く9件について、「月高度が5°瞬時における弦の傾斜マップ(2°ごとの黄色ライン)」「月高度が10°瞬時における弦の傾斜マップ(2°ごとの水色ライン)」の二種を作図しました。

たとえば2021年9月6日・月高度5°の地図を見てください。福島県と宮城県の県境や佐渡ヶ島などから見た有明月が高度5°に到達したとき、弦の傾きが0.0°(水平)になるということです。「佐渡によこたふ天の川」ならぬ「佐渡によこたふ有明月」。海上で詠むことになりますが…。同日で高度10°の場合、水平月が見える位置が岩手県や秋田県まで北上することも分かるでしょう。月が高くなるとともに各ラインが北上するとは限らず、11月3日・4日のように南下することもありますからご注意。また各ラインは必ずしも緯線と平行ではないことに留意してください。弦傾斜が-10°を上回ればかなり平坦に感じるでしょうから、今秋は国内どこでも期待大ですよ。

20130411_01163月
明け方の月ですから通常なら日本の大部分で左上がり(弦傾斜マイナス値)なのですが、地図でプラス値の地域から観察すれば右上がりの逆転月になります。Part1のグラフで示したとおり、東京同緯度付近で有明月が逆転月になることはとても珍しく、貴重なチャンスと言えましょう。そもそも低空の細い月を見つけること自体が難しいですからね。(右画像は私が撮影できた中で最も細くて水平の月。2013年4月11日夕方撮影、弦傾斜は約10.96°。)

地図を見る限り東北北部や北海道の方は絶望してしまうかも知れませんが、来年2022年9月25日明け方には函館の緯度でも逆転月が見えますし、2029年3月16日夕方には札幌の緯度で逆転月、宗谷岬でさえ弦傾斜1.23°のほぼ水平月になります。諦めることはありません。ともかく、少しでも晴れ間があったらぜひ観察を試みてください。くれぐれも機材の水平垂直を正しく確認して観察や撮影に臨んでくださいませ。(→Part1へ戻る

  • 月の弦の傾き・2021-09-05・月高度5度

    2021年9月5日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-09-05・月高度10度

    2021年9月5日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-09-06・月高度5度

    2021年9月6日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-09-06・月高度10度

    2021年9月6日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-10-03・月高度5度

    2021年10月3日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-10-03・月高度10度

    2021年10月3日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-10-04・月高度5度

    2021年10月4日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-10-04・月高度10度

    2021年10月4日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-10-05・月高度5度

    2021年10月5日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-10-05・月高度10度

    2021年10月5日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-11-01・月高度5度

    2021年11月1日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-11-01・月高度10度

    2021年11月1日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-11-02・月高度5度

    2021年11月2日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-11-02・月高度10度

    2021年11月2日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-11-03・月高度5度

    2021年11月3日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-11-03・月高度10度

    2021年11月3日・月高度10°


  • 月の弦の傾き・2021-11-04・月高度5度

    2021年11月4日・月高度5°
  • 月の弦の傾き・2021-11-04・月高度10度

    2021年11月4日・月高度10°


  • 上地図は概算によるもので、大気の浮き上がりは気温15度C・1気圧固定です。また観察地の標高補正はしていません。目安としてお使いください。
  • 三日月の傾きが変化すること自体は学生の頃から知っていましたが、水平月が観察可能な日時や条件を計算によって導く具体例は、十年あまり前だったか、知人の上原さんが書かれた記事で初めて知りました(→西中筋天文同好会「平らな三日月」の予報)。以来、いつか自分も自力で予報してみたいと思い続けてきたのです。本記事考察のきっかけを与えてくださった上原さんに深く感謝致します。
  • ちなみに平らな三日月は「受け月」「杯月」と呼ぶそうです。明け方の場合はどうなのかな…?


【参考:水平月や逆転月が見える日時/日本経緯度原点/2007年から2042年まで】
上弦なら弦傾斜が5°以下、下弦なら-5°以上になる日をピックアップしました。観察の目安にしてください。
2007年-2014年・上弦2017年-2024年・下弦
2007-03-20 18:20(3.91°・17.10°)
2007-04-18 18:45(-0.93°・12.19°)
2008-03-09 18:20(3.01°・21.21°)
2008-04-07 18:35(-1.00°・16.24°)
2008-05-06 19:00(2.28°・12.00°)
2009-02-26 18:15(-0.39°・14.61°)
2009-02-27 18:50(3.48°・26.94°)
2009-03-28 18:25(-0.25°・20.82°)
2009-04-26 18:55(4.48°・16.07°)
2010-02-15 17:55(-1.31°・12.74°)
2010-02-16 18:55(2.90°・24.16°)
2010-02-17 19:25(4.99°・35.49°)
2010-03-17 18:20(-4.55°・16.19°)
2010-03-18 18:20(2.27°・27.72°)
2011-02-04 17:50(0.41°・13.17°)
2011-02-05 18:45(4.28°・24.56°)
2011-03-06 18:10(-4.85°・15.63°)
2011-03-07 18:25(2.19°・26.63°)
2011-04-05 18:35(3.05°・18.78°)
2012-01-24 17:35(1.97°・11.96°)
2012-02-23 18:20(-3.32°・15.94°)
2012-02-24 18:55(3.46°・27.57°)
2012-03-24 18:25(2.84°・18.89°)
2013-02-11 17:55(-3.67°・13.05°)
2013-02-12 19:00(4.52°・26.36°)
2013-03-13 18:15(3.35°・18.15°)
2014-03-02 18:15(1.69°・13.45°)
2017-11-17 05:15(-4.59°・342.38°)
2018-09-09 04:50(-3.49°・348.18°)
2018-10-08 05:15(0.83°・343.50°)
2018-11-06 04:45(-3.27°・337.72°)
2019-09-27 05:05(-4.23°・333.43°)
2019-09-28 05:05(7.58°・347.69°)
2019-10-26 04:00(-4.39°・328.09°)
2019-10-27 05:00(1.39°・342.64°)
2020-09-16 04:55(-1.42°・338.31°)
2020-10-15 04:35(-2.31°・332.60°)
2020-10-16 05:10(6.65°・347.08°)
2021-09-06 04:50(4.06°・345.63°)
2021-10-04 04:55(-3.82°・326.39°)
2021-10-05 05:10(0.76°・339.40°)
2022-08-26 04:40(-0.63°・343.60°)
2022-09-23 05:00(-4.56°・324.88°)
2022-09-24 05:00(-1.20°・336.38°)
2022-09-25 05:05(6.52°・348.11°)
2023-08-15 04:30(-4.45°・343.49°)
2023-09-13 04:55(-2.93°・336.41°)
2023-09-14 04:55(2.92°・347.32°)
2024-09-02 04:45(-1.43°・346.96°)
2025年-2033年・上弦2037年-2042年・下弦
2025-03-30 18:30(3.83°・12.29°)
2026-03-20 18:20(1.87°・16.55°)
2026-03-21 18:20(4.97°・30.00°)
2026-04-18 18:45(-2.91°・11.66°)
2027-03-10 18:15(2.16°・22.54°)
2027-03-11 18:30(4.79°・34.83°)
2027-04-08 18:35(-1.22°・16.66°)
2027-05-07 19:00(2.52°・11.80°)
2028-02-27 18:40(0.94°・20.45°)
2028-02-28 18:50(3.89°・31.57°)
2028-03-27 18:25(-7.90°・12.61°)
2028-03-28 18:30(1.65°・24.07°)
2029-02-15 18:40(1.48°・20.94°)
2029-02-16 19:20(4.27°・32.19°)
2029-03-16 18:15(-9.36°・12.27°)
2029-03-17 18:20(0.49°・23.20°)
2029-04-15 18:45(2.62°・15.57°)
2030-02-04 18:25(2.93°・20.32°)
2030-03-05 18:05(-9.21°・12.06°)
2030-03-06 18:20(1.29°・23.69°)
2030-04-04 18:35(1.51°・15.64°)
2031-01-24 17:50(3.79°・15.38°)
2031-02-23 18:45(1.53°・21.90°)
2031-03-24 18:25(0.33°・14.33°)
2032-02-12 18:05(-0.83°・14.85°)
2033-03-02 18:15(4.45°・13.75°)
2037-09-09 04:50(-1.57°・347.59°)
2037-10-08 05:15(1.47°・342.92°)
2037-11-06 04:45(-3.25°・337.51°)
2038-09-27 05:05(-3.00°・334.00°)
2038-09-28 05:05(8.54°・347.69°)
2038-10-26 04:00(-4.33°・327.50°)
2038-10-27 04:55(0.78°・342.01°)
2039-08-19 04:35(-0.94°・348.41°)
2039-09-16 04:55(-4.91°・329.76°)
2039-09-17 04:55(1.84°・341.92°)
2039-10-15 04:20(-4.95°・322.13°)
2039-10-16 04:40(-1.61°・334.94°)
2039-10-17 05:20(7.17°・348.31°)
2040-08-07 04:25(-4.83°・347.58°)
2040-09-05 04:50(-0.47°・340.55°)
2040-10-04 05:00(-2.20°・332.94°)
2040-10-05 05:10(3.18°・344.57°)
2041-08-25 04:40(-3.19°・340.53°)
2041-09-23 05:00(-2.76°・333.30°)
2041-09-24 05:00(1.63°・344.21°)
2042-09-12 04:55(-4.80°・332.38°)
2042-09-13 04:55(-1.08°・343.76°)

  • 日単位の5分おき計算による極値で、計算条件は本文同様「月高度が5°以上」かつ「太陽高度が地平下6°以下」です。高原など見晴らしと透明度が良く、もっと太陽に近い月も探せるならこの表よりもチャンスが多いでしょう。
  • カッコ内は該当時刻の「水平に対する弦の傾き」と「太陽黄経差」です。弦の傾きは水平なら0°、右上がりならプラス、左上がりならマイナスです。
  • ピンク文字は傾きが逆転する日時です。(上弦ならマイナスの傾きで逆転、下弦ならプラスで逆転。)
  • 東京近辺以外で観察する場合でも、国内であれば水平や逆転になる日付は変わりません。みなさんの土地に合わせて傾きや観察可能な時刻を調べて、空に目を向けてください。
  • 上に掲載した地図から考察できますが、緯度方向におおよそ10°北上すれば上弦なら傾斜が10°増え、下弦なら10°減ります。南下ならその逆です。したがって、この表の傾斜を見ると緯度方向に何度移動すれば水平月の可視ラインがあるか大雑把に見積もることが可能です。
  • 記述がない年は計算地点において条件に該当する現象が起こりません。


夏の夜の重星観察(2021年8月5日編)2021/09/02

20210805_αPsc

αPsc
一ヶ月近く遅れましたが、8月5日に撮影した重星の画像処理がようやく仕上がりました。撮影時刻順に掲載します。

当夜は二晩前の撮影時より少し気温が低く、夜半からは無風の快晴でした。湿度が低かったのでシーイングが悪いかなと望遠鏡を重星に向けたら、やはりゆらゆら状態。でも貴重な晴れ間ですからできる限り撮影しました。

前回撮り残したみずがめ座やうお座など、天頂から南寄りの空を中心に17個の重星を巡りました。そのうち分離できた14個を掲載します。印象に残ったのはαPsc(左画像)。リボンで結ばれたうお座の、リボンの曲り目の星「アルレシャ」です。一般の荒い星図では“ひとつの星”として3.8等の合成等級が表示されるかも知れません。実際は4.1等と5.2等が1.85″間隔でほぼ東西に並んだ二重星です。

南に低くなるとさすがに大気差の影響がひどく、シーイングの悪さも相まって分離しづらくなりました。最近は架台の調子もすこぶる悪いため、どうにもガイドが安定しません。γCetは光度差が2.6等あるのでちょっと見づらいけれど右やや上に暗く見えてます。95 Cetは離角1.2″あるのにこの日のシーイングでは限界近い状態。主星右側にへばりついて写っていますよ。

写らなかったのはσAqr(3.7″)、101Aqr(1.0″)、29Ari(1.4″)。狭かったり等級差が大きいものならともかく、σAqrは余裕で写りそうなのにダメでした。間違った星を見ていた…という可能性は限りなく低いですが、原因が分かりません。WDSデータのepochが1991年で軌道も分からないようなので、接近して見えなくなってるのかも…。そんな想像を膨らませつつ、機会があれば再度確認観察したいと思います。

(※掲載画像は全て画像上が天の北方向、縮尺は統一[800px四方=約200″四方相当]してあります。 伴星がかなり暗めに写るよう星ごとにゲインを変更していますから、画像同士で光度比較はできません。)

  • 20210805_94Aqr

    94 Aqr
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2021年・8月末までの真夏日と熱中症集計2021/09/03

真夏日と熱中症・2021年途中経過
9月に入ってはや3日目。8月31日ごろから本州にかかり始めた前線の影響で、今日は九州から当地・茨城を含む関東まで幅広く雨雲に覆われています。晴れれば厳しい残暑のシーズンですが、真夏日地点数も8月末から激減しました。

左は当サイトでまとめている真夏日地点数と熱中症搬送者人数の2021年版途中経過。気象庁と消防庁から今日現在までに発表された昨日までの真夏日地点数と8月29日までの搬送者数をグラフ化しています。

8月半ばの大雨が原因で、熱中症の搬送者がとても少ないことが分かるでしょう。熱中症のピークである8月上旬に続く期間に搬送者が100人を切ったのは、2011年以降の統計では2011年と2014年だけ。しかもいずれも1日のみにとどまります(2011年8月21日、2014年8月10日)。今年は8月13日から17日まで連続二桁なので、異質な少なさです。まぁ、搬送者が少ないのは良いことなんですが、豪雨被害や避難者は激増しましたからね。自然相手ではままなりません。

今後もまだ暑さがぶり返す可能性がありますし、長雨後の暑さは湿気を伴って体に悪いです。今月末頃までは十分にご用心ください。

参考:
アーカイブ:真夏日と熱中症

今日の太陽2021/09/06

20210906太陽
9月に入りずっと曇りや雨続きでしたが、本日午後遅く、久しぶりに少し青空が広がりました。9月に入って初めての太陽…。まもなく高度が10°に落ちるというタイミングで太陽観察することができました。

20210906太陽リム
左は16:55ごろの撮影。現在はたくさんの活動領域ができており、北半球中央子午線に12864、南半球は中央右寄りの12863、左のダブルダブルの左側が12868、右側が12866。いやぁ悪天が続くと間が分からなくて、突然変わってしまいますねぇ。左上の大きなループプロミネンスが見事。右上にもありますね。毎日こうだと楽しいですね。