夜半から明け方にかけての惑星と彗星を一網打尽2015/09/21

20150920海王星
海王星

20150920天王星
天王星
夜中に起きてみると、久しぶりにハッとするような美しい星空でした。肉眼では高度15度以上の星々がほとんど瞬かず、透明度も抜群です。そこでずっと撮れなかった惑星や彗星たちをできるだけ撮ってみることにしました。

まず9月1日に衝を迎えた海王星と、まもなく10月12日に衝を迎える天王星に望遠鏡を向けます。時刻は日付が今日21日に変わろうとしていたころ。ビックリするくらい像が安定し、念願だった三色分解による海王星と天王星を初めて撮ることができました。左がその画像です。撮影段階から青や緑成分が多いなとは思いましたが、合成してみると惑星探査機の画像のような色が出てきたので、あらためて驚かされます。それなりの機材を使えばちゃんと大きさを持って写るので、「あぁ惑星なんだなぁ」としみじみ実感しました。(外惑星の大きさに関する記事はこちら。

20150921金星
金星
夕方の土星はもう低くなって我が家からは撮影困難なのですが、これから見えてくる明け方の惑星たちは狙い所。9月12日に金星と火星を撮影していますが、明け方再びスタンバイ。ところが結構雲が広がってしまい、雲間からやっと金星を撮っただけに終わりました(右画像)。金星はちょうど最大光度を迎えており、少々の雲でもギラギラ輝いて見えます。肉眼で雲越しに火星としし座のレグルス、それに明るくなったころ超低空に昇ってきた木星を確認しました。

お次は彗星です。天王星・海王星を撮影し終わって日付が変わったころ、ちょうど良い位置にいたのが南東に昇っていたハウエル彗星(88P)と、北空のパンスターズ彗星(C/2014S2)。

下左画像がハウエル彗星。くじら座の頭に載っていて、かつて明け方超低空に停滞していた頃に比べたらずっと撮りやすくなっています。ただ、もう増光のピークはゴールデンウィークごろに過ぎてしまい、かなり暗くなっていました。もう少しかっこいい姿を期待したのですに残念。でも淡いコマの広がりは分かりますね。いっぽう下右画像のパンスターズ彗星はこれから12月頭にかけて増光する期待の彗星です。立派な尾が伸びていて、10等台とは思えないすばらしさ。10月6日明け方には北極星からわずか0.5度弱のところを通っていきます。もうガイドいらずで撮影できるでしょうか(笑)

  • 20150921ハウエル彗星(88P)
    ハウエル彗星(88P)
  • 20150921パンスターズ彗星(C/2014S2)
    パンスターズ彗星(C/2014S2)

明け方にも三つの彗星が互いに接近中です。マスター彗星(C/2015G2・下左画像)はプレセペ星団(M44)をかすめるように移動しています。彗星が分かるように焦点距離を伸ばすとこの星団はまばらになってしまうのですが、なんとか収めてみました。ただ彗星自体は14等程度に暗くなってしまったので、雲越しの空ではほとんど写りませんでした。

彗星探査機ロゼッタが探査中のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P・下中画像)は12等との予想に反してよく写ってくれました。短い尾も分かりますね。いっぽうで、だいたい同じくらいと思っていたマックホルツ第2彗星(141P・下右画像)はほとんど分かりませんでした。拡散しているのでしょうか?また機会があれば挑戦してみたいと思います。

  • 20150921マスター彗星(C/2015G2)
    マスター彗星(C/2015G2)
  • 20150921チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)
    チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)
  • 20150921マックホルツ第2彗星(141P)
    マックホルツ第2彗星(141P)
※この記事内の全ての画像は天の北を上向きにして撮影しています。また各惑星の縮尺は同一です。各彗星も同様です。
※彗星画像は彗星位置基準のコンポジットです。

コメント

トラックバック