宵の45Pから明け方の月惑星接近まで欲張る2022/05/25

20220524_45P
昨夕から今日明け方にかけて雲がほとんどない状態が続きました。一晩中星空を見ていたかったけれど体力的に無理なので、睡眠を挟んで宵空と未明の空を楽しむことにしました。

宵には観察した本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)に再挑戦。前日は透明度が良くてすんなり導入できたけれど、今回は低空が霞んでいて苦戦しました。まずβTauが見つからないぞ!何とか写野にβTauを導入し、そこから彗星までまた一苦労。何とか写野に入れて撮影開始できたのは前日より15分くらい遅い時間でした。

今回は近くにM35がいたため、これも一緒に収めてみました(左画像/上方向が天頂)。M35近くにはNGC2158があって、彗星光度と比較できるかも知れないと思ったからです。両方写ることは写ったんですが…画像を見てどう感じますか?彗星のほうがギュッと集光していて…というより、両天体とも周囲に広がっている部分が薄暮で削ぎ落とされてしまって…、彗星のほうが明るく感じます。核光度を比べてるみたいになっちゃってますね。まぁとにかく緑のコマが美しい。撮影時の彗星高度はわずか9°。建物に隠れそうだったけれど、M35も意外に写ってくれました。

夜半からは2彗星を撮影。まずは下A画像のパンスターズ彗星(C/2017 K2)。尾がしっかり伸び始め、彗星らしい良い姿になってきました。めきめき成長しており、今後が楽しみ。もうひとつは下B画像のZTF彗星(C/2022 E3)。こちらは今のところ彗星っぽくありません。大望遠鏡で拡大すればぼうっとしているのでしょうか?南西に向かう尾のような光が見えるんですが、尾かどうかはっきり分かりません。計算上は西南西方向になるようで、少し向きが違っているような…?

  • 20220525パンスターズ彗星(C/2017 K2)

    A.パンスターズ彗星(C/2017 K2)
  • 20220525ZTF彗星(C/2022 E3)

    B.ZTF彗星(C/2022 E3)


彗星を撮ってる最中に月が昇ってきました。お供に木星と火星を連れています。もう少し高くなったら撮影しようと思っていたら、いつの間にか雲が襲来。合間を狙いつつ何カットも撮ってみました。雲のないカットも撮れたけれど、雲が月にかかって減光したほうが趣深い絵面だったので、下C画像はそれを採用。D画像は月のみの拡大です。

月はまだ細くは無いけれど、下弦を過ぎていい塩梅ですね。コペルニクスが明暗境界でした。カメラ水平を正しくしてあり、昨年秋の水平月からずいぶん変わったことが感じられるでしょう。木星には衛星も写っていますよ。火星も木星も、もう少し高くなる時期を迎えたら表面を観察してみたい。特に火星は今年12月1日に地球接近ですからね。

二日後の5月27日には月と金星が接近します。この日は九州最南から南西諸島で金星食になりますが、昼間の現象ですからご注意。エリア外でも「昼間に月を使って金星を見つけるチャンス」ですからトライしてみてください。また7月22日(日付が22日になる前後)には火星食もあります。梅雨の動向が観察成果を大きく左右しそう…。

  • 20220525月・火星・木星

    C.月・火星・木星の接近
  • 20220525月

    D.月


今日の太陽2022/05/25

20220525太陽
明け方に空を飛び交うようになった雲が空を覆う一日となりました。昼過ぎに晴れ間が出てきたので急遽太陽観察。

20220525太陽リム
左は14:10過ぎの太陽。昨日生まれていた左やや下の小黒点群周囲は活動領域13022と採番。さらにその左、リム近くにもプラージュが見え、ここにも少し大きめの黒点群が新たに出現しました。プロミネンスは一気に寂しくなりましたね。

202205_SOHO写野と水星
ところで、2022年5月22日記事に書いた通り、現在太陽とすばる、水星がほぼ同一方向に見えています。このうち内合を迎えて見えなくなっていた水星が、一昨日から昨日にかけて太陽観測衛星SOHOが撮影した写野で確認できました。

右画像は23日16:30UTから24日22:30UTにかけて撮影された8枚を比較明合成したもの(SOHOサイトから引用)。急速に光度を増す水星が見えています。左下の恒星密度が高くなっているのはヒアデス星団です。水星はこれから明け方の惑星たちに加わってゆき、にぎやかになるでしょう。

20220624明け方
面白いことに、6月23日から26日まで、太陽に近い順に「水金月火木土」という並びになります。…あれ、どこかで聞いたことあるようなフレーズでは…?

そう、月を地球の代わりにすれば太陽系惑星の実際の配列と同じ順になるんです(左図/6月24日明け方/Stellariumによる)。なかなか珍しい?天王星と海王星は空気読んでほしかった…。梅雨時ではありますが、晴れたら早起きして観察してみてください。(→詳しい解説はこちらの記事をどうぞ。