火星と木星が大接近しました2022/05/30

20220530火星と木星の大接近
本日明け方、火星と木星が大接近しました。日付的には昨日夜のイベントですが実際に日本の空で視認できたのは明け方で、昨日の明け方と今日の明け方を比べると今日のほうが近かったわけです。

昨夜から今朝は薄雲が残りつつも良い天気になりました。体調が優れなかったため長時間の観測はできませんでしたが、何とか明け方に起き出して接近した2惑星を観察することができました。前夜より明らかに近いとは感じられず(差は5分角程度)、人間の感覚なんて曖昧だなと思いました。簡単な機材で撮影したのが左画像。木星は4つの衛星が全て写っています。向かって左側にイオとエウロパ、右側にガニメデとカリスト。ガニメデは木星本体の光芒に接しています。

火星はまだ0.7等で明るいとは感じませんが、12月上旬の地球接近のころは-1.8等級より明るくなっているでしょう。色は違えどシリウスより明るいですね。今は周囲に比較星がありませんが、これから半年以上は冬のダイヤモンド内をウロウロしますから、たくさんの1等星と明るさ比べをしてゆくのが楽しいですね。今こそディフュージョンフィルターの出番ですよ。

20040926-224205UT_SOHO-C3
木星の公転周期は12年ほどだから、木星と火星の会合は公転が短い火星の周期(約1.88年)に引きずられます。それを地球から観察する場合、約2年数ヶ月ほどで会合がくり返されるのです。記事下表は実際の会合日時を2000年から50年分計算したもので、離角が3.0°角以内になるケースのみピックアップしました。木星公転の影響なのか、宵空側に見える時期と明け方側の時期とが約12年周期なのが面白い。

最接近時に必ず見えるとは限らず、また見えても夜時間帯とは限りません。例えば表中で最も接近した2004年9月27日の場合は太陽・火星間黄経差の欄を見て分かるように太陽の直ぐ側で起こっています。(※黄経差がマイナスの場合は太陽西側、プラスなら東側。)右画像はこの2004年9月の現象に一番近い日時に撮影された太陽観測衛星SOHO画像。太陽のすぐ右に仲良く見えるのが木星と火星、画像右端で煌々と光るのは水星。

今後直近で起こるのは2024年8月。今朝の離角は満月直径よりやや遠い程度でしたが、2024年はその3分の2まで近くなるでしょう。2033年12月は更に近いですよ。楽しみですね。

【火星と木星の大接近/2000年始から2050年末まで】
最接近日時(JST)惑星離角 太陽・火星間黄経差
2000-04-06 14:42:111.042 °23.616 °
2002-07-03 22:20:070.806 °12.064 °
2004-09-27 09:06:110.179 °-3.831 °
2006-12-12 00:24:350.794 °-15.599 °
2009-02-18 01:13:400.561 °-19.036 °
2011-05-01 13:08:310.362 °-18.127 °
2013-07-22 15:56:040.785 °-23.759 °
2015-10-18 07:38:550.377 °-40.049 °
2018-01-07 09:26:380.202 °-58.724 °
2020-03-20 19:34:370.708 °-67.491 °
2022-05-29 19:21:170.583 °-64.725 °
2024-08-14 23:47:420.306 °-65.642 °
2026-11-16 11:34:051.192 °-87.929 °
2029-07-20 00:02:381.632 °82.065 °
2031-09-29 09:21:162.206 °76.316 °
2033-12-01 19:22:370.183 °80.414 °
2036-02-18 08:54:171.935 °74.898 °
2038-05-23 08:06:441.014 °54.266 °
2040-08-18 10:43:130.579 °36.502 °
2042-10-31 00:30:311.237 °27.806 °
2045-01-04 19:12:440.508 °26.772 °
2047-03-18 17:08:360.876 °26.084 °
2049-06-12 00:03:350.990 °16.602 °

  • 自作プログラムによる計算です。離角3.0°以内のみピックアップ。
  • 離角および黄経差は日本経緯度原から見た測心計算値です。
  • この表だけ見ると「衝付近で接近が起こらないのでは?」と勘違いしそうですが、そんなことはありません。例えば1980年2月28日は衝近くで接近しています(離角3.027°)。火星が衝付近に見えるときは地球に接近していますので黄道からの位置ズレが目立ちます。離角3°以内という制限を設けると弾かれやすいことが原因と思われます。


参考:
明け方に勢ぞろいした太陽系の天体たち(2020/03/19)
明け方に木星と火星が大接近、宵はカラフルな彗星たちも(2018/01/07)
木星と火星の大接近が見えました(2015/10/18)
火星が恒星を掩蔽しました(2015/10/19)

今日の太陽2022/05/30

20220530太陽
明け方まで断片的に点在していた雲は午前中低空でくすぶっていましたが、昼頃からだんだん上空を覆うようになりました。西日本はもう雨が広がり、関東も今夜から明日いっぱいは雨の見込みです。

20220530太陽リム
左は13:30頃の太陽。活動領域13023・13024の黒点が中央近くにやってきたものの、全体的におとなしい太陽面になっています。右上のプラージュは新たな領域13025のものと思われます。プロミネンスもちらほら。左端のものがいちばん規模が大きいでしょうか。このプロミネンスの南側付近から活発な領域が現れる見込みです。