やっと本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星を捕捉2022/05/24

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目まぐるしく天気が変化した昨日でしたが、午後遅くから宵にかけて穏やかに晴れ、しかも蒸しているにも関わらず透明度がそれなりに良くなりました。「これならいける!」とさっそく準備。何を狙っているかというと、夕空で明るく見えている(はずの)本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P)です。なんと予報より3等も明るいと言うのです。

45Pは現在おうし座の有名なレムナント近くにあって、まもなくふたご座に入ります。お調べいただくと分かる通り、薄暮が終わる前に沈んでしまう超低空なのです。我が家の狭い敷地からはどうやっても重機材を向けられるスペースがなく、住宅密集方向で視界も悪い。できるだけ高さを稼ぐためベランダに小さな機材を設置して狙う選択肢しかありません。北極星も見えず、ちょっと風が吹いただけで振動するペラッペラのベランダは淡い天体撮影向きでないのですが、がんばるしかない…。

実は前夜も狙ったのですが、急速に広がる雲に追いつかれてしまいました。昨夕は安定した天気の中、空がかなり明るい段階からβTauを見つけ、そこから45Pを写野内に導入できました。左上画像は180mm+APS-Cノーマルカメラで10秒×30コマのコンポジット。画面が白くなるくらい露出したらすんなりと彗星の存在がわかって拍子抜け…。こんなに明るいんかい!

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少し前に太陽観測衛星SOHO画像に写っているという情報を何かで見かけたのですが探し出せなかったので、自分で検出してみました。せっかくなのでいつものSOHOサイトの画像ではなく、なるべく劣化が少ない状態の元画像を探してから作業しました。

右画像は4月24日15:10UTのもので、ちょうどコロナの吹き出しがあった中に彗星像がありました(赤丸中心)。確かこの時期の予報は9等後半くらいでしたが、どう見ても7等は下回らない、きっと6等台中盤と思われるかなりの明るさです。なおこの画像は太陽自転軸を上下に揃えた向きになっています。

動画も作ってみました。下は4月23日15:06から25日15:09までの9コマを使ったGIF動画(クリックで再生)。容量圧縮のため色を抑えてあります。中央付近を太陽から離れるように移動する45Pが分かるでしょう。

今後彗星はどんどん暗くなりますが、高度が劇的に上がるということなく見づらいまま宇宙の闇に消えてゆくでしょう。まあ周期彗星ですからね、次回に期待しましょう。彗星とわたしたちが共に元気であれば、2027年夏の明け方に好条件で見えるはずです。

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今日の太陽2022/05/24

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昨夜は宵のうち晴れたもののすぐ薄雲が張り出し、夜半前には空全体が曇ってしまいました。今日は朝のうち雲が多かったけれど、昼過ぎからはよく晴れました。各地で気温が高いようですね。温度計の熱中症注意マークが点滅しています。

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左は13:50頃の太陽。風がやや強く、望遠鏡が揺さぶられては撮影中断…の繰り返しでした。活動領域は昨日のまま。左側の13020と13021の中間に小さな黒点ができ、プラージュが見えます。今日昼時点では採番されていないようです。大きな黒点群はだいぶ右リムに接近し、見かけが小さくなりました。

プロミネンスは昨日より勢いがなくなった感じ。昨日もありましたが、円周方向に伸びた部分が興味深いですね。丸一日観察して動画にしたいです。