雲間に辛うじて見えた木星と土星2020/12/19

20201218木星と土星の接近
左画像は昨日18日宵の木星と土星。ガリレオ衛星も4つすべて揃っています。カリストの暗さが際立ちますね。木星本体の北赤道縞(NEB)らしき赤いベルトが淡く写ってますが分かるでしょうか。ついに合成焦点距離2000mm(+APS-C)の壁を越えました。撮影時の惑星間離角は約23.5′角。

昨日は日中いっぱい良い天気だったものの、夕方から雲が湧いてしまいました。日没後に見え始まった月がおぼろげで、やがて形がわからなくなりました。向こう一週間は木星と土星の接近を見ようと思っていたため、昨夕も準備万端。でも観察・撮影のコアタイムにしている17:20-17:30は一番雲が厚い時間に重なってしまい…。

不思議なことにベガ方向は晴れ間がたくさんあるのに、西方向よりも南側の空は雲がどきません。ほんの20度ほど動けば惑星たちが見えるのに…。雲の移動が遅く何度も諦めかけたものの、完全に隣家へ没する時間までしつこく待つことにしました。その甲斐あって5分ほど雲が薄い時間に巡り合い、冒頭の画像を取得できた次第。望遠鏡で見たままのシンプルな構図ですが、光度差がありすぎて撮影や仕上げのなんと難しいことか…。撮影時の木星高度はわずか11°。低空の悪シーイングもろ被りです。明日はもっと早く撮りたいなぁ。

氷山が欠けた!2020/12/19

0201218氷山A-68Aの動き
二日前の当ブログ記事でも取り上げた氷山A-68Aですが、17日の画像ではサウスジョージア島に一番近い領域が大きく欠けてしまいました。

左画像は18日の地球観測衛星Terra画像をベースに、16-18日までの氷山位置をトレースしたもの(画像引用元:NASA-WorldView/地図・トレース等は筆者)。17日と18日は欠けた氷山が本体から離れ、独立した運動を始めたことが分かるでしょう。欠けたと言っても大きい!長方形で近似すると約20×10kmもあります。みなさんがお住いの市町村面積と比べてみてください。(私の住む市の3倍以上…。)

周囲には欠けたとき一緒に砕けた細切れの氷山が散乱しています。これひとつとってもタイタニック号を沈めたものより遥かに大きいでしょう。現在A-68A本体は少しずつ遠ざかる動きですが、決定的ではありません。欠けた部分とともに注視していきましょう。

今日の太陽とSOHO画像内のエラスムス彗星2020/12/19

20201219太陽
昨夜から今朝は宵のうち雲が多かったものの、その後はほぼ快星でした。今朝からゆっくり雲が出始め、午前中の太陽観察は中止。午後のわずかな晴れ間に何とか観察できました。

20201219太陽リム
左は13時過ぎの撮影。かなり甘い像ながら、なんとか活動領域12792と12793の場所が分かります。可視光でも黒点は見えないようですね。右上と右下リムにプロミネンスが出ているようですがはっきりしませんでした。

大きな黒点があった12786が左リムに現れた11月22日から今日で27日目。同じ活発な領域がまもなく現れるでしょう。どうなってるか楽しみです。

20201218_2142_SOHO-C3
ところで、明け方の超低空で大化けしていたエラスムス彗星(C/2020 S3)が、太陽観測衛星SOHOのLASCO-C3カメラに写り始めましたので右に引用します。履歴を確認すると18日3:06UT(12:06JST)の画像から写り始めていたようですね。

大幅な増光で、一時は「崩壊するかも」と囁かれたようですが、無事生き残っていました。しかも想像より明るいじゃありませんか。彗星はまだ日本から見える位置なのですが、日の出30分前にようやく地平線上に顔を出すので、事実上は見えません。今後夕空側に回るけれど、やはり低いまま暗くなってしまうでしょう。見えていれば今年何個目かの肉眼彗星になったかも知れないのに残念…。

それから画像に写っている水星もこれから夕空にまわり、2012年1月10日ごろ木星と土星と共に相互3°未満まで大接近します。ただし日没時でも10°程度の高度ですから、惑星三つ巴の観察はかなり困難でしょう。