美しい十六夜の月、小惑星リュウグウはそろそろ見納め2020/12/02

20201201_19342月
昨夜から今朝は曇り予報でしたが、夜半頃まで良く晴れていました。月食から一日経った月が街を照らしています。望遠鏡を向けると意外に像が安定していたため、撮影してみました。

左は23:25頃の撮影で、太陽黄経差は約193.42°、撮影高度は約71.5°、月齢は16.39。秤動のため向かって左側が中央に寄っています。月の裏側に位置するオリエンタレ盆地の一部が見えていますね。3日ほど前に良いタイミングで月面Aが見えたはずですが、天気が思わしくありませんでした。

一晩前の月食を撮っていたときも思ったのですが、月ってやはり大きいですね。しばらく火星を撮っていたからそう感じるのでしょうか。火星は大接近になっても左の月に写っているコペルニクス・クレーターの半径ほどにしかなりませんから、大気のゆらぎに対する視直径の比率が比べものになりません。それだけに、よく整備された望遠鏡で眺める月面は格別です。人間が持つ興味をうまく刺激するような絶妙な大きさなんだなぁと改めて感じます。

そう言えば中国の月面探査機「嫦娥5号」が1日にリュンカー山近くに着陸成功したとのこと。左の画像にもアリスタルコスの北側にリュンカー山が見えてます(影がないから分かりづらい…)ので、嫦娥5号も“写ってる”はず。(※註:その後詳しい時刻を調べたら2日0:11JSTに着陸とあったため、この画像は着陸直前だったようです。)

20201201小惑星リュウグウ
さて、せっかくの晴れ間に望遠鏡を引っ張り出したのは他にも目的があったからです。実は間もなく帰還する探査機はやぶさ2カプセルで有名になった小惑星リュウグウがちょうど光度ピークだったから撮っておこうと思ったのです。

リュウグウはどんどん南下しており、12月3日には天の赤道より南側に到達します。しかも星座とともに西へ西へと追いやられていますから、我が家からの観察は視界的にそろそろ見納め。これが最後かもしれないと思いながら撮影しました。

月光があるため背景が明るすぎて写りが悪いけれど、存在が分かる程度には写ってくれました(右画像中央)。地球との距離は約0.0832天文単位(約1245万km)。かなり近いですが、12月29日の最接近時まであと338万kmほど距離を詰めます。直径約900mもあるため、地球にぶつかったら明るい火球どころの話じゃ済まないやばさですね。(※小惑星リュウグウは「潜在的に危険な小惑星:PHA=Potentially Hazardous Asteroid」であることをお忘れなく。)

せっかくの晴れ間なので欲張って更に観察。11月26日に上田清二さんが発見した増光中のペルセウス座新星に望遠鏡を向けました(下A画像)。月までの離角は20°程度しかありませんでしたが、この新星は明るいから余裕で写ります。8等級であるのは確実ですね。

もうひとつ、12月1日明け方に山形県の板垣公一さんがNGC4454に超新星候補天体を発見したそうなので、天体が登ってくる明け方まで機材をそのままにしておきました。ところが夜半過ぎからどんどん雲が厚くなり、どうにか雲間を狙って銀河を手動導入できたものの、本撮影はできませんでした。下B画像は写野確認のための試写で、中央のぼんやりした天体がNGC4454、画像の限界等級は15.0等です。超新星候補天体は16.3等(発見時)とのことで、もちろんこの画像では確認できません。暗くならないうちに再チャレンジできたらいいなあ。それにしても、満月夜でさえ暗い超新星を見つけてしまう板垣さんの凄さ。

  • 20201201_TCP J04291884+4354232

    A.TCP J04291884+4354232
  • 20201202_NGC4454

    B.NGC4454