リュウグウの母天体候補を観察 ― 2019/04/28
科学雑誌サイエンスの4月19日発行号に小惑星リュウグウに関する3編の論文が掲載され、またはやぶさ2が撮影したリュウグウ画像が表紙を飾ったとのこと(→参考1・参考2)。なかなか素早いですね。
論文によると、リュウグウの母天体とされる小惑星がかなり絞られたようです。候補に挙げられていたエリゴネ(163 Erigone)、ポラナ(142 Polana)、オイラリア(495 Eulalia)のうち、ポラナかオイラリアの可能性が高くなったということです。
調べてみると、三つとも明け方に昇ってくるやぎ座に見えているようで興味が湧いてしまいました。今朝方は気温がなんと3度まで下がって良い天気になったので、かなり低空ですがチャレンジすることにしました。(※夏になれば衝を迎えるので、もっと見やすくなるでしょう。)
ひとまず撮影できたのが小惑星オイラリア(左上画像)。16等より少し明るい程度で、1時間ほど露出したら移動がはっきり分かりました。撮影開始時の高度は約24.5°。大気の揺らぎが激しく星像がボテッとしています。右図は目標三天体の位置をステラナビゲーターで描いたもの(黄道座標系で作図)。マーカーは5日おきです。当面はこのあたりをウロウロしています。やぎ座を脱するのは今年末から来年初め頃です。なおリュウグウはもっと東側で、現在はうお座にいます(→2019年2月21日記事の星図参照)。今はとても暗いので撮影できません。
リュウグウは地球接近小惑星(NEAs:Near Earth Asteroid)ですから地球近くまでやって来る軌道ですが、母天体候補たちはすべてメインベルト小惑星、つまり火星と木星の間から飛び出ることはありません。…ということは、リュウグウが母天体から分離したとき、かなりの力が加わって大きく軌道が変わった(または母天体分離後に惑星の影響を強く受ける軌道に入ってしまい、だんだん変化した)ということになるのでしょう。その変化の過程はいったいどんな…?ひとつ解明されると、芋づる式に次の疑問が増えるので、際限がありませんねぇ。
今回はやぎ座のど真ん中に下弦過ぎの月があり、またオイラリアを撮影しただけで明け方になってしまったので、残りのふたつはまた次の機会に。
参考:
リュウグウの母天体候補を観察・その2(2019/05/05)
リュウグウの母天体候補を観察・その3(2019/05/16)
論文によると、リュウグウの母天体とされる小惑星がかなり絞られたようです。候補に挙げられていたエリゴネ(163 Erigone)、ポラナ(142 Polana)、オイラリア(495 Eulalia)のうち、ポラナかオイラリアの可能性が高くなったということです。
調べてみると、三つとも明け方に昇ってくるやぎ座に見えているようで興味が湧いてしまいました。今朝方は気温がなんと3度まで下がって良い天気になったので、かなり低空ですがチャレンジすることにしました。(※夏になれば衝を迎えるので、もっと見やすくなるでしょう。)
ひとまず撮影できたのが小惑星オイラリア(左上画像)。16等より少し明るい程度で、1時間ほど露出したら移動がはっきり分かりました。撮影開始時の高度は約24.5°。大気の揺らぎが激しく星像がボテッとしています。右図は目標三天体の位置をステラナビゲーターで描いたもの(黄道座標系で作図)。マーカーは5日おきです。当面はこのあたりをウロウロしています。やぎ座を脱するのは今年末から来年初め頃です。なおリュウグウはもっと東側で、現在はうお座にいます(→2019年2月21日記事の星図参照)。今はとても暗いので撮影できません。
リュウグウは地球接近小惑星(NEAs:Near Earth Asteroid)ですから地球近くまでやって来る軌道ですが、母天体候補たちはすべてメインベルト小惑星、つまり火星と木星の間から飛び出ることはありません。…ということは、リュウグウが母天体から分離したとき、かなりの力が加わって大きく軌道が変わった(または母天体分離後に惑星の影響を強く受ける軌道に入ってしまい、だんだん変化した)ということになるのでしょう。その変化の過程はいったいどんな…?ひとつ解明されると、芋づる式に次の疑問が増えるので、際限がありませんねぇ。
今回はやぎ座のど真ん中に下弦過ぎの月があり、またオイラリアを撮影しただけで明け方になってしまったので、残りのふたつはまた次の機会に。
参考:
リュウグウの母天体候補を観察・その2(2019/05/05)
リュウグウの母天体候補を観察・その3(2019/05/16)
今日の太陽 ― 2019/04/28
久し振りの鮮やかなハロたち ― 2019/04/28
今日は西からゆっくりと巻雲が日本を覆ってきたため、各地で気象光学現象が観察できたようです。レアな「ひとつなぎの幻日環」や「最大長に近い環水平アーク」などたくさんの画像がネットを飾っていました。当地・茨城県南部でも環天頂アークと幻日が見えました。
左は16時過ぎに見えてきた環天頂アーク。20分ほど見えていました。ユーティリティ:太陽高度とアークの時刻表を見るとちょうど一番濃くなるタイミングで見えたようです。とてもくっきりした色合いでしたが、空を覆う雲に斑が多くて頻繁に見え隠れしました。
30分ほど経つと雲が少なくなりましたが、西空低くなった太陽の左側に小さな幻日が見え始めました(下A画像)。程なく猛烈な明るさになり、幻日らしい姿になりました(下B画像)。このとき太陽右側は雲が全くありませんでした。また上空の雲の一部に淡い彩雲が確認できました。
更に40分ほど観察すると、今度は太陽左が厚い雲で完全に覆われましたが、右側には隙間が残り、そこに縦長の大きな幻日が出てきました(下C・D画像)。久し振りのハロたちは心躍らされますね。
左は16時過ぎに見えてきた環天頂アーク。20分ほど見えていました。ユーティリティ:太陽高度とアークの時刻表を見るとちょうど一番濃くなるタイミングで見えたようです。とてもくっきりした色合いでしたが、空を覆う雲に斑が多くて頻繁に見え隠れしました。
30分ほど経つと雲が少なくなりましたが、西空低くなった太陽の左側に小さな幻日が見え始めました(下A画像)。程なく猛烈な明るさになり、幻日らしい姿になりました(下B画像)。このとき太陽右側は雲が全くありませんでした。また上空の雲の一部に淡い彩雲が確認できました。
更に40分ほど観察すると、今度は太陽左が厚い雲で完全に覆われましたが、右側には隙間が残り、そこに縦長の大きな幻日が出てきました(下C・D画像)。久し振りのハロたちは心躍らされますね。