薄雲越しにジャコビニ・ツィナー彗星捕捉2018/09/12

20180912ジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)
ずっと曇りや雨の日が続きました。たまに星が見えても雲越しだったり、短時間だったり…。動向が気になる彗星など観たいものがたくさんあるのに、8月下旬から一向に安定した晴れ間がやって来ません。

昨夜から今朝も雲が多かったのですが、それでもいつもよりは薄く、2等星程度は肉眼でたどれました。いきなり雨が降るような感じではなかったので、薄雲越しにジャコビニ・ツィナー周期彗星(21P)を撮ってみようと思い立ち、準備。撮影開始できる段になったら無情にも雲が厚くなりましたが、諦めずタイミングを待ち、十数分ほど雲越しに撮影できました(左画像)。本来ならこの3倍ほど露出して画質向上を狙いますが、曇りの条件では撮影できただけ有り難いでしょうか。

ジャコビニ・ツィナー彗星は地球に最接近したばかりでとても明るく、観察の最盛期です。また、このところずっと星雲や星団の側を通っており、晴れていればすばらしい光景を毎晩楽しめたでしょう。ひと晩前の11日夜には散開星団M37をギリギリかすめていったはずでしたが、雲が多くて全く見えず。今朝の画像では上側やや右寄りにM37が見えています。そこら中の輝星が雲で見事にボケていて全部彗星に見えてしまいますが、本物のジャコビニ・ツィナー彗星は中央を挟んでM37と対象の位置にあります。右(西)向きに立派な尾が伸びていますね。

今朝方の気温は17度まで下がりました。星月の眼視観察も写真観察も、気温が低いほど条件が良くなります。秋が深まるとこの彗星は南下してやや見辛くなりますので、晴れ間を逃さずご覧くださいね。

1週の間に月より近くなった小惑星が6つも!2018/09/12

201809上旬・接近小惑星(1LD以内)
みなさんは先週1週間のうちに地球すれすれを通った小惑星が6つもあったことをご存じでしょうか?

左図は一昨日9月10日までに発見された小惑星のうち、9月3日から9日までの1週間に地球最接近距離が1LD以下の小惑星が続いたため、その接近距離を描いたグラフです。地球に近づいて危険をもたらす可能性がある小惑星はPHA(Potentially Hazardous Asteroids)と呼ばれます。LDとは地球−月間の平均距離(Lunar Distance/約384400km)。小惑星接近時にひとつの目安となるでしょう。

2017年10月に小惑星2012TC4が地球接近した際に似たような記事を書きました。それから約1年近く経過しましたが、「秋に接近する小惑星が多い」という訳でもないのに時期が集中して不思議ですね。このうち半数は直径が10m−数十mと大きめでした。撮影できそうなものもあったので待機していましたが、悪天続きでいずれもダメでした…。

接近範囲を5LD程度まで広げると、前後1ヶ月の間に27個もの小惑星が人知れず接近しています。正常性バイアスで「ぶつからないだろう」と高をくくっていますが、冷静に考えてみると恐ろしいことです。

【追記】上図の範囲で1LD以下まで接近した小惑星としては、当記事掲載後に2018 RY5(9月12日 17:12UT頃0.47LDまで接近)と2018 RZ5(9月12日 20:08UT頃0.13LDまで接近)が発見されています。