小惑星リュウグウ撮影に備え、似た小惑星で練習しよう ― 2018/09/02
6月27日に小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到着して2ヶ月以上が過ぎました。探査地点やスケジュールが公開されて話題になっています。今後うまく探査が進むのか、どんな映像や成果が届くのか、とても楽しみですね。はやぶさ2は1年以上リュウグウに滞在し、その後地球への帰路につく予定です。
ところで、リュウグウは地球近傍天体(NEO/Near Earth Object)や地球近傍小惑星(NEAs/Near Earth Asteroid)とも呼ばれます。ものすごくたくさんある太陽系小天体の中で、軌道が地球近くを通るグループのひとつと言うことですね。地球に近づいて危険を及ぼす可能性がある小惑星(PHA:Potentially Hazardous Asteroids)という分類にも属しています。はやぶさ2の地球帰還は、リュウグウの地球接近にタイミングを合わせており、航路を節約するような工夫が成されているのです。無事はやぶさ2が地球に戻るとすれば2020年初冬。このときリュウグウも地球に極めて近い位置までやって来るので、地上から観察するチャンスが巡ってきます。
とは言え、直径が高々1km内外の小惑星ですから、夜空に煌々と輝くわけではありません。予想最大光度は16.8等前後ですから、アマチュアが持てる比較的大きめの望遠鏡ですら眼視で確認することは困難でしょう。でも技術を磨いてカメラで撮影するなら、十分手が届くレベルです。ただ、暗いまま移動する小惑星の撮影はいくつかの難関があり、動かない天体の撮影とは一線を画します。このため、普段からの練習がとても大切になるでしょう。ぶっつけ本番でできることではありません。
上画像は地球近傍小惑星ファエトンが昨年12月地球接近した際に撮影した画像。30分の撮影画像を数秒の動画にしてあります。地球に近い天体はこのように高速で写野を駆け抜けてしまうため、先回りして望遠鏡を向けておいたり、移動で写りが暗くなってしまう対処として感度を上げるなど、望遠鏡やカメラの設定を十分把握・吟味しておく必要があるのです。
実は明日9月3日夜にリュウグウと同程度の小惑星が地球接近するので当記事を書いたのですが、全国的に天気が芳しくないようですね。でもリュウグウ接近までには練習対象となりそうな小惑星がいくつかあります(下表参照)。ぜひ、位置算出から撮影、画像処理に至るまで、ご自身の観察フローを極めてみてください。天気まで考えれば機会はそんなに多くありませんから「まだ2年も先だろう?」なんて言ってられませんよ。なお下表は日本から見えるかどうかは考慮していません。まずはその確認からスタートです。慣れているハイアマチュアなら問題ないでしょうが、経験が少ない方はぜひ貴重な機会を逃さず実戦訓練してくださいね。全くやったことが無い方は明るい小惑星や天王星、海王星、冥王星、現在接近中の彗星などから始めるのが良いでしょう。
ところで、リュウグウは地球近傍天体(NEO/Near Earth Object)や地球近傍小惑星(NEAs/Near Earth Asteroid)とも呼ばれます。ものすごくたくさんある太陽系小天体の中で、軌道が地球近くを通るグループのひとつと言うことですね。地球に近づいて危険を及ぼす可能性がある小惑星(PHA:Potentially Hazardous Asteroids)という分類にも属しています。はやぶさ2の地球帰還は、リュウグウの地球接近にタイミングを合わせており、航路を節約するような工夫が成されているのです。無事はやぶさ2が地球に戻るとすれば2020年初冬。このときリュウグウも地球に極めて近い位置までやって来るので、地上から観察するチャンスが巡ってきます。
とは言え、直径が高々1km内外の小惑星ですから、夜空に煌々と輝くわけではありません。予想最大光度は16.8等前後ですから、アマチュアが持てる比較的大きめの望遠鏡ですら眼視で確認することは困難でしょう。でも技術を磨いてカメラで撮影するなら、十分手が届くレベルです。ただ、暗いまま移動する小惑星の撮影はいくつかの難関があり、動かない天体の撮影とは一線を画します。このため、普段からの練習がとても大切になるでしょう。ぶっつけ本番でできることではありません。
上画像は地球近傍小惑星ファエトンが昨年12月地球接近した際に撮影した画像。30分の撮影画像を数秒の動画にしてあります。地球に近い天体はこのように高速で写野を駆け抜けてしまうため、先回りして望遠鏡を向けておいたり、移動で写りが暗くなってしまう対処として感度を上げるなど、望遠鏡やカメラの設定を十分把握・吟味しておく必要があるのです。
実は明日9月3日夜にリュウグウと同程度の小惑星が地球接近するので当記事を書いたのですが、全国的に天気が芳しくないようですね。でもリュウグウ接近までには練習対象となりそうな小惑星がいくつかあります(下表参照)。ぜひ、位置算出から撮影、画像処理に至るまで、ご自身の観察フローを極めてみてください。天気まで考えれば機会はそんなに多くありませんから「まだ2年も先だろう?」なんて言ってられませんよ。なお下表は日本から見えるかどうかは考慮していません。まずはその確認からスタートです。慣れているハイアマチュアなら問題ないでしょうが、経験が少ない方はぜひ貴重な機会を逃さず実戦訓練してくださいね。全くやったことが無い方は明るい小惑星や天王星、海王星、冥王星、現在接近中の彗星などから始めるのが良いでしょう。
【地球接近小惑星の中でリュウグウと同規模の大きさを持つもの】
小惑星番号 | 最接近日時(JST) | 最接近距離 (LD) | 絶対光度 (mag) | 最小直径 | 最大直径 |
---|---|---|---|---|---|
(2015 FP118) | 2018年9月3日 19:09 | 12.23 | 19.3 | 370m | 820m |
410088 (2007 EJ) | 2018年11月22日 20:07 | 23.98 | 18.1 | 640m | 1.4km |
163899 (2003 SD220) | 2018年12月22日 10:04 | 7.36 | 17.3 | 920m | 2.1km |
141593 (2002 HK12) | 2019年8月17日 9:52 | 24.23 | 18.1 | 640m | 1.4km |
162082 (1998 HL1) | 2019年10月26日 2:21 | 16.17 | 18.9 | 440m | 990m |
163373 (2002 PZ39) | 2020年2月15日 20:05 | 15.02 | 18.9 | 440m | 990m |
136795 (1997 BQ) | 2020年5月22日 6:45 | 16.02 | 18.1 | 640m | 1.4km |
8014 (1990 MF) | 2020年7月24日 8:09 | 21.28 | 18.7 | 480m | 1.1km |
153201 (2000 WO107) | 2020年11月29日 14:08 | 11.19 | 19.3 | 370m | 820m |
162173 Ryugu (1999 JU3) | 2020年12月29日 9:46 | 23.56 | 19.3 | 370m | 820m |
- CNEOSのデータベースから、「2018年9月以降、小惑星リュウグウの地球最接近まで」の期間内に地球接近するものをピックアップしました。
- LD(Lunar Distance)は月・地球間の平均距離384000kmを1とした距離の単位です。
- 各小惑星の軌道要素はJPL Small-Body Database BrowserのSearch欄に上表の小惑星番号(括弧の外の数字列、または、括弧の中の英数字列)を入力すると検索できます。
- 上表のリュウグウ直径はCNEOSデータベースの値です。はやぶさ2プロジェクトで測定したものではありません。
- 地上観測では小惑星直径が一意に決められず、上表のようにある程度の見積もり幅があります。また接近日時や最接近距離などもある程度の誤差が含まれます。
- 絶対光度は最接近時光度とは違います。天文用語を調べて、ぜひ正確に理解してください。