地球大接近のリニア彗星、週末に見えるかな?2016/03/21

リニア彗星(252P)
海外の情報などによると、周期彗星のひとつリニア彗星(252P)が肉眼等級(5等台)になっているとのこと。

リニア彗星は現在日本から見えませんが、昨日20日に天の南極から3°弱を通過、本日には地球に13.9LD(1LD=月地球間距離=約384000km)まで近づきます。日本の空には今週後半に姿を見せ始める予定です。

左にステラナビゲーターで描いた3月25日から4月30日までの視位置(基点:茨城県つくば市)を掲載しました。明け方の南の空、さそり座からへびつかい座あたりですね。4月に入れば高度が上がりますが、残念ながら小型望遠鏡で見えないくらい急速に暗くなるでしょう。日本で見え始まる時点でかなり暗いでしょうから、観察のチャンスは3月いっぱいと考えたほうが良さそうです。月末はお月様が至近距離にいますから要注意。安定した晴れ間が少ない時期なので、どうしても見たい方は万全の準備でわずかな晴れ間も逃さないでください。

彗星軌道比較
なお軌道が似ていて「双子の彗星」とも言われるパンスターズ彗星(P/2016BA14)は、似ていると言っても見える場所や明るさが一緒という意味ではありません。記事末の表に軌道要素をいくつかピックアップしたので比較してください。またNASA/JPL Small-Body Database Browserで描いた2つの彗星軌道を重ねて右に掲載しておきます。

パンスターズ彗星のほうは今日現在日本からかに座の一角に見えていますが、光度は14等台。23日1時頃に9.2LDまで地球へ大接近します(※このとき彗星はしし座付近)。彗星のような形状ではなく恒星状で、大接近時でも12等台に留まる予想です。相応の機材を使わなければ捕捉は難しいでしょう。両彗星に起因する小さな流星群が見えるかも知れません。

追記:
パンスターズ彗星(P/2016BA14)を3月22日23時台に撮影できました。記事はこちら。
リニア彗星(252P)を3月25日4時台に撮影できました。記事はこちら。



【資料:彗星比較・252PとP/2016BA14】
項目リニア彗星(252P)パンスターズ彗星(P/2016BA14)
周期5.335.24
近日点通過2016/3/15.283866472016/3/15.48012893
近日点距離0.99612248543358941.008520152243297
離心率0.67361918446237310.6655042263065645
近日点引数343.2903535745651351.8425255921593
昇交点黄経190.9812176013072180.5413848237595
軌道傾斜角10.404608271431618.92793227237503
元期2457267.52457424.5
※元データはNASA/JPL Small-Body Database Browserで2016/3/23時点ものを引用。


参考:
リニア彗星(252P)に関係する記事(ブログ内)

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