たくさんのハロ現象が見えました(午前編)2016/01/02

20160102幻日
午後編はここをクリック。
昨夜は夜半まで晴れていたものの、日付が2日になってからは完全に曇りました。朝からもずっと雲が多かったのですが、太陽観察できるか確認するため2階の窓から顔を出すとこんなものが空に!一気にテンションが上がりました。

最初に見えたのは太陽左の幻日と、そこから左方向へ長く伸びる幻日環でした。このとき右側には何も見えず、また内暈もあまりハッキリしませんでした。(いちおう120°幻日の位置も確認しましたが見えていません。)雲行きから察すると、もっと前から色々見えていたと思います。我が家からは近所の建物があって南東方向が見えないので、朝の数時間はどうしようもありません。惜しいことをしました。

雲がどんどん流れていたので、少し経つと内暈がはっきりして、右の幻日も見えてきました(画像a)。更には内暈にフタをするように上部タンジェントアーク、そのずっと上の天頂付近には環天頂アークまで見えてきたのです(画像b)。正月初っぱなにハロ現象特異日だなんてラッキー!今日の上部タンジェントアークはMの字を思いっきり横に引き延ばしたような形でした。(太陽高度により多様に変化します。)

  • 20160102内暈と幻日

    (a)
  • 20160102内暈と環天頂アーク

    (b)

画像cは環天頂アークの強拡大。このとき太陽高度は約28°で、アーク直径を計算すると天頂から測って半径約15°弱(赤光側)と、かなり小さな円です。この条件での環天頂アークはとても淡くて幅広く見え、なかなか見られない貴重な形状なのです。今日のようにちゃんと写真に残せるのは、私自身1、2年に一回くらいしかありません。

また幻日も素晴らしいですね。特に左側は色形ともにクリアで見応えがありました。画像dは画像処理で色彩とコントラストをかなり上げていますが、内暈と離れているのが分かります。そして幻日の赤側が内暈に沿うように上下に伸びて見えますね。もう少し異なる気象だとここにローウィッツアークという現象が生まれるのですが、今日ははっきりしませんでした。

  • 20160102環天頂アーク

    (c)
  • 20160102幻日

    (d)

画像eのように左右の幻日を比べると、右側幻日のほうは氷粒が足りなかったのか、暗いようでした。幻日環もあまり伸びていません。それに比べて左側は、雲が切れて見えなくなる直前までとても良く見えていました。今日の空模様をHaloSimというソフトでシミュレートすると、画像fのようになります。一連の観察は10:30前後のおよそ20分ほど。このあと全ての現象は消え去り、青空が広がりました。

  • 20160102幻日

    (e)
  • 20160102シミュレーション

    (f)

今日の太陽2016/01/02

20160102太陽
たくさんの気象光学現象を観察したあと青空が広がって、太陽も観察することができました。

左は11時の太陽。いろいろ面白くなっていました。まず右下リム近くに迫った活動領域12473がとても明るく、確認すると3時間ほど前にM2.4クラスのフレアがあったようです。うーむ、見たかった…。

20160102太陽リム
それから左端少し下と少し上それぞれに活動領域(下が12476、上が12477)が見えてきました。どうやら黒点も見えているようで楽しみです。プロミネンスは左右それぞれのリムに幅広いのが見えましたが、それ以外にも左下のブロッコリーみたいなのや、左上のスプラウトっぽいもの、右下の正体不明のものまで色とりどり。数日間パッとしなかっただけに、一気に賑やかになりました。

たくさんのハロ現象が見えました(午後編)2016/01/02

20160102午後のアーク
午前編はここをクリック。
午前中にいったん晴れた後、すぐ曇ってしまいました。雲は厚めだったので気象光学現象は期待できません。でも13時半過ぎに薄日が差してきたので空に目をやると、雲が薄くなっていました。こんなダラダラと似た気象が続く日は昼を対称軸に午後にも現象が再発する確率が高いです。

案の定、内暈がだんだん出現、頭上には環天頂アークも見えてきました(左画像)。んん?環天頂アーク??よく見ると「逆さ虹」になってないような…?微妙な見え方です。何枚も写真を撮ってみて、その中の一枚について画像処理したのが右画像です。

20160102ふたつのアーク
少し淡くなってしまいましたが、環天頂アークの下にへばりつくように「上部ラテラルアーク」が見えていました。このふたつはセットで見えることがあり、曲がっている方向が正反対のためしばしば「どちらに曲がっているか分からない虹」に見えます。

下画像aは見えていた内暈です。午後は幻日がさっぱり見えませんでしたが、辛抱強く探すと、画像bのようなとても小さい幻日(太陽右側のみ)が見えました。また上部タンジェントアークは全く見えません。午前中に比べて氷粒の形状や比率、運動状態が変化したのだろうと推測できます。この見え方になるべく近くなるようHaloSimでシミュレートしたのが画像cです。この後30分もすると快晴になりましたが、今日は本当に色々なものが見えて充実した一日でした。

  • 20160102午後の内暈

    (a)
  • 20160102午後の小さな幻日

    (b)
  • 20160102午後シミュレーション

    (c)