厚い雲にも内暈2015/06/05

20150605内暈
昨夜、宵のうちはとても良く晴れていました。寒く感じるほど気温が下がり、なんと13度台でした。この10日ほど最低気温が17-18度前後で推移していたので驚きの数値です。上空に寒気が流れ込んでいたようで、5日朝には北海道・十勝岳温泉でなんと積雪5cmというニュースも流れていました。6月なのに雪が降るとは…。

せっかくの晴天なので昨夜に惑星などを撮影予定しましたが、大気の動きが激しかったので諦めました。日付が今日5日に変わる前から薄雲が湧き、夜明けまですっきり晴れることはありませんでした。

20150605内暈
左上は10時過ぎの空。ベタッと曇っていて、太陽が弱々しいですね。目を凝らすとなんとなく内暈が分かりますが、こういうのはなかなか写りません。一応記録として撮影し、強調処理したのが右画像。雲がおどろおどろしい…

天気は下り坂で、夕方から雨になる予報です。向こう一週間の予報では半分以上が曇りや雨。梅雨入り間近ですね。明日は二十四節気の「芒種」。そして、雑節「入梅」の11日まであと6日となりました。

こっそり日本の空に帰ってきてるマスター彗星2015/06/05

マスター彗星星図1
今年2015年の4月上旬に発見されたマスター彗星(C/2015G2)。4月中旬に日本の明け方超低空で光度を増しながらも下旬には日本の空から消えて南天に移ってしまいました。私も4月16日に1回見ただけです。オーストラリアなど南半球では6等台となり話題になったようです。

全天では、現時点でラブジョイ彗星(C/2014Q2)を抜いて一番明るい彗星です。日本で見えないなんて不公平と思われる方もいるでしょうが、これはもう仕方のないこと。ラブジョイ彗星だって、最盛期以降は南半球から見えない彗星でしたからね、痛み分けです。

さてそうは言っても、わずかでも見えるチャンスがあるなら最大限活かしたいところ。「2015年秋以降すっかり暗くなって日本の空へ帰ってくるまで見えない」と言われているマスター彗星ですが、よく調べるとちょうど今わずかながら日本から見えるのです(左上星図)。まるでお忍び旅行…。

マスター彗星星図2
最初の星図を見るとだんだん条件が良くなるように見えますが、年周運動によって星空全体が日々少しずつ沈むことを考えるとかなり厳しいことが分かります。右星図のように日没後1時間(※まだ明るい)の時点で考えると、5月27日頃から日本(茨城)の地平に顔を出し始めていました。右星図の青線目盛りは10度間隔ですが、彗星高度は5度を上回ることなく、常に超低空をキープしながら6月20日過ぎに地平へ隠れます。

南緯が低い地方や、本州でも高度1000m以上稼げるなら条件が良くなりますが、沖縄地方以外の国内では大差ないでしょうね。ですから、今週が唯一のチャンスなのです。春霞、梅雨、薄明終わりと共に沈んでしまう超低空、光度のピークを過ぎて8等台に下がっていること…こういった悪条件が重なるので、あまり告知されないのですね。

20150604マスター彗星(C/2015G2)
昨夕6月4日はまれに見る「冬のような」透明度の高い空でした。マスター彗星チャレンジは今日しかないと思い、リハビリで疲れた体に鞭打って、近くの見晴らし良い場所へ出かけました。低空過ぎるので事前に入念なチェックをし、彗星方向に障害物や街灯が無いことを確かめてあります。ただ街中なので電線などは避けられません。

マスター彗星は左画像の緑四角の中央あたりのはず。画像上辺右寄りの明るい星はプロキオン。この星とカメラ写野角をたよりに彗星をフレーミングしました。場所は確かに捉えましたが、状況は極めて厳しいです。

20150604マスター彗星(C/2015G2)
持参した小型赤道儀がうまく動かなかったため、短時間露光+コンポジットに方針変更。様々な条件で撮影した画像の同一エリアを重ね、散々処理し直してようやくそれらしい像が出てきました。左上画像の緑四角を拡大処理したのが右画像で、矢印の先が彗星位置です(白黒反転)。画像内には9等近くの恒星まで確認できますが、彗星像はノイズと変わらないレベル。100%確かにマスター彗星だとは言えないでしょう。

でも結果がどうであれ、許される環境でのこうしたチャレンジこそがアマチュアの楽しみなのです。自宅から徒歩1km圏内しか動けない体調と限られた機材。なによりこの時期に望めない、心洗われるような快晴だったことに感謝したいですね。

※記事中の星図はステラナビゲーターver8を原画として加工しています。