夜明けに多天体接近が見える時期です2017/09/14

20170909明け方
アーカイブ「多天体の接近現象(2017年)」をご覧頂くと、いまちょうど明け方の空で惑星や月による「多天体の接近」(3つ以上の肉眼可視天体による相互接近)が見られる時期になっています。ここ数年に比べ今年の多天体接近は少ないので貴重なチャンス。運悪く台風が襲来してるため天気が不安ですが、万が一晴れたときのために見所をピックアップします。

左は5日前の9月9日明け方わずかな晴れ間で撮影した東空の惑星たち。空がかなり明るくて見辛いけれど、金星と水星、それに火星、しし座のレグルスが確認できました。連休となる9月17日の明け方にも三惑星は見えるはず(下A図)ですが、実はこのとき「水星と火星の超接近」が起こります(下B図)。

当ブログでは「両惑星の模様や形が同一視野で拡大観察できるほどの接近」を「超接近」と呼んでいます。具体的には「離角0.1°(=6′)程度以内」です。肉眼二重星で有名な北斗七星のミザールとアルコルの離角は約11.8′、またおうし座θ1とθ2の離角は約5.6′ですから、星座を見慣れた方なら超接近がいかに近いかお分かりになるでしょう。17日の超接近は3:43に水星と火星が3.3′まで近づくので、紛れもない超接近。今年起こる3回のチャンスの最後になります(→参考記事1→参考記事2)。

とはいっても、17日3:43に両天体が登っているのは北海道のごく一部だけ。多くの地方ではもう1時間くらいしないと低空に輝く惑星たちを確認できないでしょう。薄明が始まってしまうので、いかに早く見つけ出すかが勝負所。左上画像はその練習のつもりで撮影しました。点線円が描かれていますが、17日に同じ位置・同じ時刻なら点線円の位置に水星と火星がいるはず。その状態で電線や建物など障害物が来ないよう機材をセットすれば良いことになります。様々な障害がある街中の天体観察では、普段からこのような障害物・光害リサーチが欠かせません。もしみなさんがご覧になるときは低空まで良く開けた場所でチャレンジしてください。

超接近の翌日18日明け方には細くなった月が金星と接近します。このときの接近はアーカイブ「昼間に月と金星が近い日」にリストアップしてあるなかで最も離角が小さい接近です。もしも台風一過の秋晴れとなったら、明け方はもちろんのこと、日の出後の青空の中で輝く月と金星もぜひ探してください。

更に、翌19日明け方にはその月が水星と火星の間までやってきます(下C図)。月齢28.0ですから明るくなってしまうともう見つけられないほど細いでしょう。この見事な月・惑星の会合は全体が2°内に収まってしまうコンパクトさ。やはり低空ですから、東が開けた場所でご覧ください。なおこの際に月が水星を隠してしまう惑星掩蔽(水星食)が起こり、紀伊半島、四国南部、九州中部以南で見ることができます。ただし日の出前後の時間帯であり、また太陽から15°程度しか離れていないため、とても見辛いでしょう。

兎にも角にもお天気次第ですから、何とか晴れて欲しいですね。

  • 20170917明け方の惑星接近

    (A) 2017年9月17日 4:30
    金星・水星・火星の接近
  • 20170917火星と水星の超接近

    (B) 2017年9月17日 4:30
    水星と火星の超接近
  • 20170919月と惑星の接近

    (C) 2017年9月19日 4:30
    月・水星・火星の接近

※各図はStellariumによるシミュレーションです。B図の上下画角は約0.08°で、2惑星は実際の視直径で描いてあります。

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