やっと見えてきたレモン彗星や明るい超新星を観察2020/07/03

20200702レモン彗星(C/2019 U6)
昨日は梅雨の中休み。風が強かったものの夕方まで快晴でした。夜になったら雲が出てくる予報でしたが、宵空に見えているはずのレモン彗星(C/2019 U6)を何としても見たいと思い、アパートの南西側にある僅かなスペースへ機材を運びました。彗星は低空ですので、建物がじゃまになる東側からは全く見えないのです。

彗星撮影後に超新星撮影(後述)も行う予定だったため、1500mmオーバーの長焦点で正確にガイドできるよう機材を組む必要がありました。このため、「北極星が見えない状態で極軸を正確に合わせる」という作業を初めてやってみました。理屈や方法は頭に入っているものの、実際は地盤の弱さや設置位置の狭さなどが邪魔をして思うように捗りません。日没後早めに準備したものの、彗星撮影開始は航海薄暮終了頃になってしまいました。もっと練習しなくては…。

撮影開始時点で彗星高度は約15°。西側の隣家や電線が十数度角の高さなので、撮影可能な時間はほんの僅かです。日没ころから湧き出した雲の通過もあって、5分しか露出できませんでした。それでもボウッと緑色に広がるレモン彗星が見えたときは感動!南半球で見えていたような立派な尾は見えませんが、ようやく我が家からも観察可能な位置まで北上しました。これから急速に暗くなるけれど、そのぶん高くなるから見やすくなるでしょう。

レモン彗星は7月19-21日にかけて、あの有名なマルカリアンチェーンに大接近。特に20日はブラックホール撮影成功で知られるM87に離角10′角まで超接近、更に翌日はM89とM90の間を通過する前代未聞のショーを楽しめるでしょう。8月に入ると2-3日にかけてパンスターズ彗星(C/2017 T2)に約1°角まで大接近、7日前後にはネオワイズ彗星(C/2020 F3)も加えて10等前後の彗星が3つも10°円内に収まってしまうすごい光景になります。

さてレモン彗星撮影に引き続き、高度を下げつつあるおとめ座の一角に発見された超新星SN2020nvbの撮影に取り掛かりました。山形県の板垣公一さんが7月1日22時過ぎNGC4457に発見したばかりの天体で、発見光度はなんと13等。とても明るいのです。撮影してみたら更に増光しているようでした(下A画像)。既に分光され、タイプIaの超新星とのこと。

雲がだいぶ多くなって月がぼんやりするほどでしたが、続けてM85にあらわれている超新星SN2020nlbにも望遠鏡を向けました。歩留まりが悪かったものの、どうにか使えそうな画像をコンポジット(下B画像)。この天体はハワイ大学のATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム/Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)が6月25日に発見したもの。発見光度は17等中盤でしたが、6月末には14等台に、そして昨夜は12等台になっていました。どちらも「ザ・超新星!!」と言えるような見事な輝きですから、チャンスがあれば観察してください。ぐずぐずしてると暗くなってしまいますからお早めに。(註:なお板垣さんは6月21日にもM31アンドロメダ銀河内に新星候補天体を発見しています。こちらは梅雨空に阻まれてずっと撮影できていません。)

  • 20200702_SN2020nvb in NGC4457

    A.SN2020nvb in NGC4457
  • 20200702_SN2020nlb in M85

    B.SN2020nlb in M85


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