台風15号が首都直撃 ― 2019/09/09
首都直下型地震という言葉はよく聞きますが、首都直上型台風というのも珍しい。昨夜から今朝にかけて、いわゆる首都圏を台風15号が直撃しました。速報値ではありますが、「非常に強い台風」クラスのまま東京近郊に達した台風としては初めてのケースです。
左は9日6:00の衛星画像(画像元:NICT/画像処理・地図等は筆者)。朝を迎えた関東にドッカと台風が居座っています。我が家も暴風圏内…というか、台風中心が近くを通過しており、明け方から凄まじい暴風雨に見舞われました。大雨警戒レベル3・竜巻注意情報も発令されています。ずっと空や周囲を監視していますが、雲の流れる向きがみるみる変わってゆくのが興味深いですね。まさにボイスバロットの法則そのもの。
下のA画像は気象庁サイトからの引用で、台風中心が東京湾を横断中だった4:00の降水レーダー。ひまわりの花ように均等な降雨域の広がりがなんだか奇妙。都庁を中心に半径50km以内(下B図・内側の赤線円内)を通過した台風が過去にどれくらいあったか気になったので、朝っぱらから自作プログラムを作り気象庁ベストトラックを調べたら、次の30件が見つかりました。(※使用ベストトラックは今日時点の最新で、2019年5号確定値まで載っているものです。)
1952年台風2号、1954年台風5号、1954年台風14号、1956年台風15号、1958年台風21号、
1958年台風22号、1959年台風6号、1959年台風16号、1965年台風17号、1971年台風13号、
1971年台風29号、1981年台風15号★、1982年台風18号、1983年台風5号、1985年台風6号、
1985年台風14号、1990年台風20号、1990年台風21号、1991年台風14号、1998年台風5号、
2001年台風11号、2001年台風15号、2002年台風21号★、2004年台風22号、2004年台風23号、
2005年台風11号★、2007年台風9号、2014年台風18号★、2016年台風9号、2017年台風21号★
1958年台風22号、1959年台風6号、1959年台風16号、1965年台風17号、1971年台風13号、
1971年台風29号、1981年台風15号★、1982年台風18号、1983年台風5号、1985年台風6号、
1985年台風14号、1990年台風20号、1990年台風21号、1991年台風14号、1998年台風5号、
2001年台風11号、2001年台風15号、2002年台風21号★、2004年台風22号、2004年台風23号、
2005年台風11号★、2007年台風9号、2014年台風18号★、2016年台風9号、2017年台風21号★
番号の後ろに★マークが付いている5件は通過時に「強い台風」クラスだったケース。うち最強は2002年台風21号で、通過時スペックは最大風速70-65ノット(約35m/s)、最低気圧960-965hPaでした。過去にこれ以上の勢力で東京を直撃したものはありません。(※風速データがベストトラックに反映されているのは1977年以降です。)
今回の台風15号は都庁から50km圏内の横須賀に中心が差しかかった9日3:00時点で最大風速80ノット、最低気圧960hPaでした。このとき15号は「強い台風」クラスまで落ちていましたが、それでも過去最強の通過スペックは間違いないでしょう。なお、同じプログラムを使い、場所を日本各地に拡張させて調べたところ、50km圏内通過件数は記事下の表の通りでした。南西諸島と本州内陸・日本海側・北海道は別格として、本州太平洋側・四国・九州では個数にあまり差が無いようです。通過時の強さ分布は少し個性が出ますね。みなさんのお住まいではいかがですか?兎にも角にも異常気象・甚大災害に弱い首都なので、来年のオリンピックはもちろん、今後の日本運営そのものが心配です。
【各地の50km圏内を通過した台風個数と勢力による個数内訳】
中心 | 通過 総数 | 無印 | 強い | 非常に 強い | 猛烈な | 中心 | 通過 総数 | 無印 | 強い | 非常に 強い | 猛烈な |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
北海道(稚内市) | 8 | 8 | 0 | 0 | 0 | 滋賀県(大津市) | 27 | 26 | 1 | 0 | 0 |
北海道(根室市) | 10 | 10 | 0 | 0 | 0 | 京都府(京都市) | 25 | 24 | 1 | 0 | 0 |
北海道(札幌市) | 6 | 5 | 1 | 0 | 0 | 大阪府(大阪市) | 26 | 25 | 1 | 0 | 0 |
北海道(函館市) | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 兵庫県(神戸市) | 28 | 26 | 2 | 0 | 0 |
青森県(青森市) | 11 | 11 | 0 | 0 | 0 | 奈良県(奈良市) | 24 | 22 | 2 | 0 | 0 |
岩手県(盛岡市) | 15 | 14 | 1 | 0 | 0 | 和歌山県(和歌山市) | 27 | 24 | 2 | 1 | 0 |
秋田県(秋田市) | 12 | 12 | 0 | 0 | 0 | 鳥取県(鳥取市) | 19 | 19 | 0 | 0 | 0 |
宮城県(仙台市) | 21 | 20 | 1 | 0 | 0 | 島根県(松江市) | 16 | 15 | 1 | 0 | 0 |
山形県(山形市) | 23 | 22 | 1 | 0 | 0 | 岡山県(岡山市) | 22 | 21 | 1 | 0 | 0 |
福島県(福島市) | 18 | 15 | 3 | 0 | 0 | 広島県(広島市) | 22 | 22 | 0 | 0 | 0 |
茨城県(水戸市) | 24 | 21 | 3 | 0 | 0 | 山口県(山口市) | 28 | 22 | 5 | 1 | 0 |
栃木県(宇都宮市) | 23 | 20 | 3 | 0 | 0 | 香川県(高松市) | 27 | 25 | 2 | 0 | 0 |
群馬県(前橋市) | 18 | 15 | 3 | 0 | 0 | 愛媛県(松山市) | 23 | 22 | 1 | 0 | 0 |
埼玉県(さいたま市) | 31 | 26 | 5 | 0 | 0 | 徳島県(徳島市) | 32 | 26 | 5 | 1 | 0 |
千葉県(千葉市) | 30 | 25 | 5 | 0 | 0 | 高知県(高知市) | 26 | 23 | 3 | 0 | 0 |
東京都(新宿区) | 30 | 25 | 5 | 0 | 0 | 福岡県(福岡市) | 25 | 19 | 5 | 1 | 0 |
東京都(八丈町) | 24 | 16 | 7 | 1 | 0 | 佐賀県(佐賀市) | 25 | 18 | 6 | 1 | 0 |
東京都(小笠原村) | 35 | 26 | 7 | 2 | 0 | 長崎県(長崎市) | 30 | 24 | 5 | 1 | 0 |
神奈川県(横浜市) | 34 | 27 | 7 | 0 | 0 | 熊本県(熊本市) | 33 | 26 | 7 | 0 | 0 |
山梨県(甲府市) | 23 | 21 | 2 | 0 | 0 | 大分県(大分市) | 31 | 28 | 3 | 0 | 0 |
長野県(長野市) | 10 | 9 | 1 | 0 | 0 | 宮崎県(宮崎市) | 38 | 32 | 5 | 1 | 0 |
新潟県(新潟市) | 11 | 11 | 0 | 0 | 0 | 鹿児島県(鹿児島市) | 35 | 25 | 9 | 1 | 0 |
富山県(富山市) | 17 | 17 | 0 | 0 | 0 | 鹿児島県(奄美市) | 37 | 28 | 6 | 3 | 0 |
石川県(金沢市) | 24 | 23 | 1 | 0 | 0 | 沖縄県(那覇市) | 41 | 26 | 9 | 6 | 0 |
福井県(福井市) | 19 | 18 | 1 | 0 | 0 | 沖縄県(石垣市) | 38 | 21 | 9 | 6 | 2 |
静岡県(静岡市) | 30 | 26 | 4 | 0 | 0 | 日本最東端(東京都・南鳥島) | 19 | 17 | 1 | 1 | 0 |
愛知県(名古屋市) | 29 | 26 | 3 | 0 | 0 | 日本最西端(沖縄県・与那国島) | 33 | 22 | 3 | 5 | 3 |
岐阜県(岐阜市) | 24 | 22 | 2 | 0 | 0 | 日本最南端(東京都・沖ノ鳥島) | 33 | 20 | 6 | 6 | 1 |
三重県(津市) | 32 | 27 | 5 | 0 | 0 | 日本最北端(北海道・択捉島) | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 |
中心 | 通過 総数 | 無印 | 強い | 非常に 強い | 猛烈な | 中心 | 通過 総数 | 無印 | 強い | 非常に 強い | 猛烈な |
- 気象庁発表のベストトラックデータを元に、自作プログラムにより集計しました。ベストトラックは2019年9月9日現在の最新(2019年台風5号確定値まで)を使っています。
- 台風の強さによる個数内訳は風速データがベストトラックに反映されている1977年以降のもののみが対象です。
- 各位置代表点(県庁所在地や役所など)を中心とした半径50km圏内を一度でも通過した台風をカウントしています。また勢力判断は設定圏内通過時のもので、台風経路全体の最大値ではありません。
- 距離は地球を回転楕円体としたときの測地線距離として算出しています(標高は無視)。台風位置を10分おきに調べていますが、台風中心が領域円周に接するよう移動するケースは計算誤差でカウントされないことがあります。概算値としてお考えください。