はやぶさ2も残り数ヶ月で探査終了2019/09/21

小惑星リュウグウの位置
2018年6月下旬に小惑星リュウグウへ到着した探査機はやぶさ2の運用も、あっと言う間に1年3ヶ月が過ぎました。予定通りならあと数ヶ月以内に帰路へ付くことになります。現在はターゲットマーカー分離など最後の数ミッションを継続中。

しばらくリュウグウの星図を作っていなかったので、この9月から来年2020年1月初旬までステラナビゲーターで描いてみました(左画像)。各日0:00JSTの位置で、太陽や月、惑星は描いてありません。星座早見などに照らし合わせていただければ分かりますが、相変わらず明け方低空に位置しており、この状態が来春まで続きます。空を向いてエールを送りたい人は早起きしてくださいね。

小惑星リュウグウの公転周期はおよそ1.3年(474日程度)ですが、計算してみると数日前にここ数年で一番太陽に接近しました。「じゃあ明るく見えるのでは?」と思いがちですが、残念ながら地球との距離が遠い時期ですから、明るくなりません。月や金星の様に位相…つまり光る面積の変化(満ち欠け)が光度に影響したり、表面の明暗模様やいびつな形状のため自転が光度に影響する天体でもない限り、見かけの明るさを決定づける要因は太陽・地球・対象天体それぞれの「距離」が支配的です。

じゃあ、リュウグウが私たちアマチュアでも何とか撮影可能になるのはいつでしょうか?右下はJPL-HORIZONSで計算した光度推算グラフ。光度軸数値が小さくなるほど明るくなります。20cm程度の望遠鏡で撮影可能な18等ラインより明るくなるのは、ちょうど一年後の今頃ですね。

小惑星リュウグウの光度変化
ある程度の機材と撮影技術をお持ちならぜひ試してみてください。特に暗くて移動する天体を写したことがない/経験が浅い方は事前の練習が必須です。速度によりますが、17等の移動天体は17等の恒星の様に写ってはくれません。

待っている1年の間に大きさが似ている小惑星で練習したければ、2018年9月2日記事が参考になるでしょう。特に地球接近小惑星162082(1998 HL1)は、この9月下旬から11月上旬にかけて地球接近離脱しながら光度を18等から12等台まで変化させます。日本から極めて好条件で追えるので、本格的観察対象としても、リュウグウの実験台としても、ドンピシャですよ。


参考:
直径1kmオーバーの小惑星が間もなく地球最接近(2019/05/21)
リュウグウの母天体候補を観察(2019/04/28)
はやぶさ2とリュウグウは空のどこにいるの?(2019/02/21)
降下したはやぶさ2がとらえた衝効果(2018/09/21)