夜中をまたいで名月を堪能しました2019/09/14

20190914_17399月
宵のうち雲に覆われていた空も夜半前には晴れ渡りました。南にやや低いけれど、名月が空と街を明るく照らします。清々しい月夜に恵まれました。

満月まで残り半日ほどありましたが、目で見る限りまんまるお月様。南中を少し過ぎたころ望遠鏡で撮影しました(左画像)。撮影時の太陽黄経差は173.99°、撮影高度は約41.8°、月齢14.2です。拡大撮影もしたかったけれど、大気の乱れが結構あったため諦めました。こういうときはあまり拡大せず、全体を眺めるのが楽しいですね。

今夜の秤動は左右がゼロに近く、上下にお辞儀をしています。だから月面座標中央が、見た目の中央より下にあります。お時間ある方は2019年1月20記事を参考に「月面座標中央」を探してみましょう。アグリッパ・クレーターとゴダン・クレーターはすぐ特定できますから、ちょっとがんばればすぐですよ。

2019年の満月最大最小比較
9月は今年最小の満月とのことなので、一足早いけれど2月の今年最大満月と比べてみました(右画像)。こんなに違うんですね。いつも同じ機材で撮影しているとカメラのフレーミング時に「今日は小さいなぁ」とすぐ気が付けるのですが、こうしてあらためて並べるとビックリですよ。

比較は大きさだけに留まりません。例えば、季節が正反対ですから、撮影時の大気状態が大幅に違うため鮮明度に差が出ています。また2月は月中央が北にずれる秤動だったので、今回とは正反対。影が南側を通って下弦に移ろうとする2月満月に対し、9月満月の影が北を通過中なのも面白い対比です。

しばし名月を見ていたら、南からやって来た雲に全天覆われてしまい、お月見終了。明け方前にはなんと雨まで降ってきました。純粋に楽しめたのは1時間足らずでしょうか。どれだけ満月を見ていても新しい発見があって、見飽きることがありません。

201909遠地点付近の月視直径
【参考】
「13日夜の月(名月)と14日夜の月(満月過ぎ)ではどちらのほうが小さいんだろう?」「どっちのほうが丸いんだろう?」と気になる方がいらっしゃるかも知れないので、左の様なグラフを作りました。これを見れば一目瞭然。

今月の遠地点通過は13日22:33JST頃で、満月より約15時間前ですから、記事冒頭に掲載した名月のころが一番小さかったというわけですね。もっとも、このひと晩の差はとても小さく、月全体を3000ピクセルくらいで撮影したとしても2ピクセル程度の違いに過ぎません。肉眼では全く分からないでしょう。

また、丸さは満月に近いかどうかで決まります。月太陽黄経差180°が満月ですから、この満月位置から黄経方向にどれだけずれているかを角度の絶対値で示したのがグラフの緑線。例えば14日0:00と15日0:00とを比較すると、前者が約6.1°、後者が約4.8°となり、15日0:00のほうが真ん丸に近いと言えます。


参考:
アーカイブ:月の形(黄経差144度以上、180度未満)