月面XとLOVEを観察2018/11/16

20181115月面・欠け際の変化
昨夕は月面Xデーでした。同時に「月面LOVE」の出現も一緒に観察できる日でもありました(→関連記事)。みなさんはご覧になったでしょうか?当地・茨城は晴天に恵まれ、月没まで途切れることなく観察できました。

意識的に月面LOVEを観察したのは初めてだったので、どういうタイミングで出現するのか18時からキッチリ1時間おきに写真を撮ってみました。欠け際を切り出して並べたのが左画像です。日没後暗くなる頃にはもうX地形が見えていました。またO地形とV地形は更に先行して昼間から見えていたはずです。どこに何があるかは前出のリンクをご覧ください。最後の22時は月高度10°未満で見た目に赤く、画質もかなり悪くなっています。

E地形とL地形がいつ頃出現するか見物でしたが、画像を見ると20時には断片的ながら現れており、21時の時点でほぼ完成しています。E地形における太陽高度は20時で約-1.2°、21時では約-0.85°。ということはE地形の完成は現地の太陽高度-0.8°から-0.7°あたりで、-0.5°まで待つ必要はないことが分かりました。

月面ハートなどの例
いっぽうL地形は最後まで見えませんでした。(西日本の観察ならこのあと見えたかも知れません。)11月7日の記事ではE地形のみの計算で作成、L地形との差は無いものとしていました。観察を続けつつ時刻表を修正する必要がありそうです。ひとつひとつ実際の観察を通して知見を得てゆくことは自然科学の基本。こんな些細な観察でも面白く、ワクワクします。

まったくの余談ですが、欠け際の地形には色々と想像が膨らみます。上画像の18:00のものを使って、LOVEならぬハートマークなどを見つけてみました(右画像/南半球のみ使用)。ここに描いたのはほんの一例。みなさんも楽しい月面○○地形を作り出してくださいね。面白いのができたらぜひ教えてください。

月面文字地形の詳しい日照カレンダーを公開しています。右メニューのトピックス→「月面の観察」をご覧ください。



彗星を観察するつもりが超新星観察に2018/11/16

1日前に続いて昨夜から今朝もよく晴れました。体力が残ってないので、明け方のマックホルツ・藤川・岩本彗星(C/2018V1)だけ確認しようと考えていたら、星仲間の(の)さんから「板垣さんが超新星をふたつ発見」とのお知らせが!ふ、ふたつも!?発見された銀河NGC4639とNGC4697の位置を確認すると、なんとC/2018V1のすぐ近くです。うーん、がんばれば三天体全部撮れるかな?と思ったのが運の尽きでした…。

  • 20181116_AT2018imf in NGC4639

    A.AT2018imf in NGC4639
  • 20181116_AT2018imd in NGC4697

    B.AT2018imd in NGC4697


考えてみればC/2018V1ひとつだけでも「薄明間際の低空」という難関です。その近くの天体だって同じ条件なのは当たり前。でも撮っておきたいという思いに駆り立てられてしまいました。おかげで明け方は散々、疲労困憊。慌ただしいったらありゃしない。ま、楽しかったですけどね。

ともかく、撮影はできました。上のAB画像が15日明け方に発見されたばかりの超新星候補AT2018imfとAT2018imd。いずれも15等台で結構明るいです。もっと高い位置なら撮りやすかったんですが、ここは住宅街なので近隣の屋根と電柱と電線の隙間からギリギリ見える程度でした。

発見した山形県の板垣公一さんはひと晩にふたつどころか、三つも見つけたことがあると、(の)さんが教えてくれました。国立天文台サイト内「日本人が発見した超新星一覧」のページに2015年12月7日UTに三つの発見が掲載されている他、それ以外にも立て続けの発見例が多数あります。もう別世界の人ですね。

20181116マックホルツ・藤川・岩本彗星(C/2018V1)
マックホルツ・藤川・岩本彗星を撮影する頃にはもう薄明が始まってしまいました。どうにか導入して撮影したものの、やはりはっきりした尾は分かりません。昨日同様、2時の方向にイオンテイルが微かに写っています。左画像は尾が見やすいよう白黒反転させました。

今後ますます低くなるため、薄明中の導入が避けられなくなるでしょう。どこまで食い下がれるか、自分の能力に挑戦ですね。

20181116_Asteroid9422
【おまけ】
蛇足ながら撮影の待ち時間に、自分の名が付いている小惑星を撮影しました(右画像)。この冬にかけて光度が16等台まで増加中で、初冬の内に撮影したいと思っていたのです。60分あまりの間に移動が分かりました。画像は小惑星基準でコンポジットしています。

一歩間違えば自分が星になっていたかも知れない大病を患って、もうすぐ丸5年。不自由な身体に変わりはありませんが、多くの方々の応援で今なお地上から空を見上げることができます。退院直後の増光は自力で撮影できませんでした。この小惑星を眺めるのは心の支えであり、感謝の象徴でもあり、自分が生きている証でもあります。

今日の太陽2018/11/16

20181116太陽
明け方の天体観察を終える頃から薄雲が広がりました。日が登ってからも、日差し優勢ながら雲が時々多くなる時間帯があります。

20181116太陽リム
左は11時過ぎの太陽。活動領域はありません。今日も中央右側に小さな黒点群があり、この画像でも周囲が少し明るくなっている部分が確認できます。右上と左下にやや大きめのプロミネンスが見えていました。左下のほうは幅が広そうですね。