今年二度目の極大を迎えるミラ2018/11/29

20181127ミラ(οCet)
くじら座にある不思議な星「ミラ」が、今年2回目の光度極大期を迎えています。一年で二度おいしい!

今年始め、1月17日の記事でοCet(くじら座オミクロン星=ミラ)をご紹介しました。長い周期で明るさが変わることで有名な星ですが、その周期がだいたい330日ということですから、年始めに極大がある年なら年末にもう一度極大がやって来るというわけです。単純計算だと9年で10周期ですから、ミラが1年に2度明るくなるのは9年ぶりとも言えますね。(実際は微妙にズレていきますが…)

左上画像は一昨日27日夜に撮影したミラ。明るいですねぇ。左上に向かってかなり暗い星(14等)とやや暗い星(9.4等)が並んでいますが、暗い時期のミラはこのふたつの中間くらいの光度になってしまうからビックリ。また、特別に彩度を上げたわけでもないのに真っ赤に写ります。ミラは脈動変光星であると同時に、「赤色巨星」の代表格でもあるのです。「星が赤いこと」と「変光すること」は別のことですが、赤く膨れあがった星の表面は不安定になるため、膨張や収縮に転じやすくなる(=明るさが変わりやすくなる)という間接的な要因があるようです。もちろん「変光する星はみな赤い」と言う訳ではありません。

2018年ミラ(οCet)光度変化
左上画像では同じ写野に光度比較できる星がないため見積もれませんが、星仲間のかすてんさんによれば最近は4等台前半とのこと。右図はアメリカ変光星観測者協会(AAVSO)による観測データを元にミラの光度変化を描いたグラフ。横軸は日付、縦軸は光度で、2017年10月1日から2018年11月今日現在までの14ヶ月間に観測されたものです(Visual Magnitudeのみ)。途中開いている期間はミラが太陽方向に重なっていた欠測期。

全体を見ればほぼ極大光度に達していると言えましょうか。2ヶ月程度でよくここまで変化しますね。明るくなっているミラをぜひ今年中に眺めてみてください。

20181127クリムゾン・スター(R Lep)
27日の観察では日付が変わる頃にうさぎ座R星「クリムゾン・スター」も南中していたので、撮影しておきました(左画像)。この星もミラ型変光星で、「炭素星」に分類される深紅の星です。炭素を多く含んだ星は温度が低くて赤く見える星よりずっと深みのある赤に見えます。科学的な表現でうまく言い表せませんが、この異質な赤さを見るたびに虜になってしまいます。

2018年クリムゾン・スター(R Lep)光度変化
クリムゾン・スターも長周期で変光しますが、なんと本家のミラよりも長く420日以上かかります。右図は前出と同じAAVSOのデータによるもので、期間も同じ14ヶ月間。ミラのように平均値にあまり乱れがないデータと違って、だいぶ散漫になっていますね。クリムゾン・スターの光度変化は単純では無さそうです。

暗くなりつつあるクリムゾン・スターですが、6cmから10cm程度の小型望遠鏡でも十分見つけられます。うさぎ座はこれから見やすい時期を迎えますのでぜひご覧になってください。

今日の太陽2018/11/29

20181129太陽
昨夜から今朝にかけ天気が崩れ、夜半前にはもう雨が降り出していました。朝になってしばらくは雲が多かったですが、少しずつ青空が広がりました。

20181129太陽リム
左は10:40頃の太陽。まだ少し薄雲が残っています。活動領域はありませんが、今日も素晴らしいプロミネンス。しかも左リムの上下ダブルで出ています。地球5個分くらいの高さがあるでしょうか?太陽活動の極小期にこういったプロミネンスが見えるのはとても幸せですねぇ。