今日の太陽2018/11/10

20181110太陽
昨夜はほぼ曇り、今朝も雲が残っていましたが、午前のうちに青空が広がりました。夜に寒くならなかったため、昼になる頃にはなんと21度まで気温急上昇です。永遠に来ない冬…?

20181110太陽リム
左は10:40頃の太陽。霞が濃くて光量が落ちていました。相変わらず活動領域はありませんが、今日はとても面白いものが見えました。右上リムのプロミネンス、光球からはじき飛ばされたのか、宙に浮いています。下部に残っているプロミネンスの根っことどういう関係があったのでしょうか?他に、一昨日も見えた右下リムのプロミネンスが大きく目立っていました。

こうのとり7号が大気圏再突入します2018/11/10

20181107分離されるHTV-7
幾度かの延期後、9月23日に宇宙へ打ち上げられた補給船HTV-7「こうのとり7号」が、明日11月11日朝に地球へ帰ってきます。帰るとは言っても、こうのとり本体は大気圏で燃え尽きてしまうのですが、今回は小型回収カプセルHSRC(HTV Small Re-entry Capsule)の洋上回収という初のミッションが最後に控えています。

左は11月7日に国際宇宙ステーション(ISS)から分離作業を行っている途中のHTV-7。上側がISSに結合していた部分で、ここにHSRCが取り付けられています。HTV-7は既にISSを離れてどんどん降下しており、晴れていれば明日11日5時過ぎに北海道の北東海上を通るコースで「最後の一周」を私たちに見せてくれるでしょう。次に日本上空に差しかかる6:40頃にはもう大気圏に接する位置まで落ちています。そのときHSRCを放出させるのですが、なんとHSRCには窒素ガスを噴射して姿勢制御を行うスラスタ機能が付いており、最終的にはパラシュート減速して小笠原諸島と南鳥島の中間付近に着水させるという流れです。上空を飛び続けていたHTVも小笠原上空でバラバラになって燃え尽きる予定です。

20181107HSRC組み立て
右はHTV分離前にISS船内で組み立てられているHSRC。全体が組み上がると直径840mm、高さ657mm、ちょうどアポロチョコ…じゃなかった、アポロ宇宙船のコマンドモジュールのような形になります。内容物(ISSでの実験試料)を熱と衝撃から保護するため魔法瓶に使われている真空二重断熱容器になっていて、JAXAとタイガー魔法瓶株式会社の共同開発とのこと。(※各画像はJAXA/NASAより引用。)

こうのとり7号の落下コースを見てみましょう。左下はできるだけ新しい軌道要素を使って描いたHTV-7の11日軌道。0:00から8:00までのコースのうち、日本近辺を切り出したものです。実際の軌道は刻々と変化しており、軌道要素更新の度に東へ移ってゆく傾向です。従って当日は北陸→中部→東海または関東南部上空を通って小笠原方面に向かうものと考えられます。(JAXAの広報でもそうなっています。)

落下する最終周回では既に日本が日の出を迎えているため、HTV本体が青空で光って見えることはないでしょう。また燃え尽きる様子は小笠原近海でないと見えないと思われます。ただ、本州上空でも飛行機雲のような軌跡が出たり、太平洋側の場所によっては爆発し始めの様子が低空に見えるかも知れません。

こうのとり7号軌道・epo58432.00296

こうのとり7号・11日朝の軌道
(軌道要素元期:2018年11月10日 09:04:16JST)
※11日3:30現在:上記後の軌道要素変更はなかったので、これ以降の地図更新はありません。
また非常に狭い範囲ながら、東に輝く朝日の中をHTV-7が横切る場所が西日本のどこかに存在する可能性もあります。「何も見えなかった」ということも含め、多くの人の目で結果を確認することが大切なので、もし晴れたら該当時刻に空を見上げてくださいね。

左図は軌道要素更新に従って当日明け方まで不定期更新する予定です。ただ、この図だけでは空のどこに見えるか分からないでしょうから、Heavens Aboveサイトなどで詳しく調べてください。青空で位置が見定めにくいと思うので、余裕がある方は落下の数時間前に起きて、星の位置から方位と仰角を導き、双眼鏡やカメラなどをセットしておくと正確です(※下の囲みに一例をご紹介しました)。実際は左図より10分程度早く通過すると思われますので、早めの観察を心掛けてください。日曜日、晴れると良いですね。

【昼間の通過パス位置を見定めるひとつの方法】

目印のない青空で人工衛星がどこを通るか知るには、専用機器を持ってない私のような一般市民に難しいものです。少々荒っぽいやり方ですが、次の様な方法で絞り込むことができます。

まず上記事内にあるHeavens Aboveで、落下予報の星図を表示します。「可視状態での通過」だと昼間のケースが表示できないので、「含まれる通過」のラジオボタンを「全て」のほうにクリックし直してください。11日6時40-50分頃のパスが表示できるはずです。(下A図は、上空を通るであろう新潟県上越市の例。)併せて、星座早見モードが表示できる星図ソフトで、ご自分が直前に観察可能な夜間の星図を表示してください。下B図ではステラナビゲーターで11日3:00の星図を作りました。このとき、必ず北を上にしてください。Heavens Above星図はピクセル単位で大きさを変えることができるので、両星図の円形視野がピッタリ合う様にしておくと便利ですよ。なおHeavens Above星図は「高度目盛が等間隔の星座早見」ですが、違う図法の星図ソフトは使えませんので注意しましょう。(高度方位目盛を表示できるなら一目瞭然。)

さて、これで「昼間の予報パスと同じ向き・同じ大きさの夜間星図」が揃いました。両方をプリントして透かせて重ねたり、画像ソフトで透かし重ねしてみると、夜間星図の日時にどの星座方向を通過するのか正確に確認できますね。重ねるときに方位を間違わないようにしましょう。天候変化やご自身の知ってる星座にも左右されますが、事前に星座で確認しながらカメラなどをセットできます。下例では11日3:00にオリオン座へカメラや双眼鏡を向けておけば、朝6:49:30頃HTV-7が通過することになります。(※あくまで予報通りなら、の話!)必ずB星図を描いた指定時刻に観察してください。15分でもズレたら星図は作り直しです。当たり前ですが、太陽に近いほうへは絶対に向けないでください。仮眠して待ってる間に収斂火災で全焼…なんて冗談になりませんから!

「新天体をいち早く観察したいけれどまだ地平線下にある場合、いつどの方向に見え始まるか知りたい」「夜のうちに昼間の金星通過位置を確認したい」「日の出のグリーンフラッシュを写すのに、日出瞬間の位置を事前に高精度で特定したい」など、意外にもこの方法は使いどころが多いのです。知っておいても損はない技でしょう。

  • Heavens Above予報星図

    A.Heavens Above予報星図
  • ステラナビゲーター星図

    B.ステラナビゲーター星図
  • 星図の重ね合わせ

    C.星図の重ね合わせ


※この例は10日朝の計算値を元に作っています。当日ここを通るというわけではありません。


20181111朝
【観察結果】
11日朝方はHTV-7「こうのとり7号」最終パスおよび大気圏再突入の観察をしました。最終パス(5時台)は当地・茨城から北空低く見える予定でしたが、その頃まで全天雲が多く、北極星やいくつかの明るい星を断片的に確認するに留まりました。その後はだんだん雲が取れ、大気圏再突入時刻を含む6:35頃から6:50頃まで雲に邪魔されることなく南西−南東の方向を目視&ビデオ監視できました。飛行機雲や火球のようなものは見えませんでしたが、これもひとつの大事な結果です。左画像はHTV-7が飛んでいったであろう方向の空。日が登ったばかりなので、ほぼ真横に寝ている薄明光線が見えています。

JAXAによると、HSRC(小型回収カプセル)は6:24にHTVから放出、HTVは6:38に大気圏再突入、また7:06にHSRCの着水を確認、続いて10:25には船舶による回収を確認したとのことです。良かった良かった。