明け方に木星と火星が大接近、宵はカラフルな彗星たちも2018/01/07

20180107木星と火星の大接近
当地・茨城県南部は本日いちばん遅い日の出となりました。その太陽が昇る2時間ほど前、南東の空を飾ったのが大接近した木星と火星です(左画像)。

このところ日々近づいていた両惑星ですが、本日が最接近日。一緒の空に見えていた下弦前の月と比べると、月直径の半分も離れてないことがよく分かりました。肉眼可視惑星(水星から土星までの五つ)がここまで接近することは滅多に無いため、貴重さも手伝って美しさ倍増です。

左画像は低空から登ってきたさそり座頭部と共に両惑星を撮影したもの。星座を見慣れている方にとっては、いかに大接近なのか分かるでしょう。左下の赤く明るい星はアンタレス。火星と「赤さ比べ」ができますね。ほぼ2年前の1月9日にも金星と土星が超接近したのですが、同様にさそり座と一緒に撮影したので比較してみてください。

今回も「超接近一歩手前」で、焦点距離の長い望遠鏡でもギリギリ一緒に撮れたのですが、無理に拡大せずに引き気味で撮りました。下A画像は1月4日昨日1月6日と同じ、500mm+APS-Cの画角。いずれもノートリミング画角なので比較可能です。マニアックな見方が得意な方は、「背景の星に対してそれぞれの惑星が違う速さで動いている」ところも見てあげましょう。

下B画像は、撮影後ふと水星が出ていることに気付いて撮ったショット。ステラナビゲーターのさそり座イラストも薄くオーバーラップしました。実はこの水星の下(地平下)に土星もいて、今週末13日に水星と約0.8°まで大接近します。また11日から15日まで細くなった月も南東の空へやってきますから、およそ50°の間に4惑星+月が並んでしまう豪華な眺めとなるでしょう(→アーカイブ「多天体の接近現象」参照)。ただし土星と水星は超低空のため、南東の地平が完璧に開けている必要があります。

  • 20180107木星と火星の大接近

    A.木星と火星の大接近(拡大)
  • 20180107登るさそり座と水星

    B.登るさそり座と水星

さて時間は戻りますが、6日夜には月の出が21時以降になってきたので、月明かりの無い状態で彗星が撮れるかも知れないと挑みました。ただし当地の夜半前は月が出ているかのような光害地ですので、あまりコントラストが上がりません。また夜半前から強風が予想されており、予想通りになってしまいました。

ハインズ彗星(C/2017 T1)は地球から遠ざかりつつありますが、天球上の動きがほぼ西向きになりました。約6時間後に赤緯が最も高くなる(天の北極に一番近づく)ためですね。下C画像は上方向が天の北方向です。尾の向きもまたまた変わってしまいました。この撮影後半に何度も強風が吹き、30分露出(1分×30コマ)のうちブレずにコンポジットできたのは20コマだけでした。撮影が下手なだけかも知れませんが、緑のコマが偏った広がり方になっている気がします。

月の出までまだ時間があったので、パンスターズ彗星(C/2016 R2)にも望遠鏡を向けました。ヒアデス星団を通過中で、下D画像左側のオレンジ輝星はγTauです。相変わらず「青い彗星」の姿が通常の三倍くらい美しく、不思議な印象でした。spaceweather.comの2017年12月31日記事によると、この青い色はCO(一酸化炭素)イオンのせいらしいです。一酸化炭素は宇宙空間の極低温でもわずかな熱があれば気化し、尾の成分となるのでしょう。両彗星とも10等台と明るいので、空が澄んだ観測地に行ける方はぜひカラー撮影してみましょう。不思議とパンスターズ彗星撮影中は風の影響が少なかったのですが、撮影が終わったころから6m/s越えの風が吹き始め、望遠鏡が倒れるかとヒヤヒヤしました。

  • 20180106夜・ハインズ彗星(C/2017 T1)

    C.ハインズ彗星(C/2017 T1)
  • 20180106夜・パンスターズ彗星(C/2016 R2)

    D.パンスターズ彗星(C/2016 R2)


参考:
ハインズ彗星(C/2017 T1)に関係する記事(ブログ内)
パンスターズ彗星(C/2016 R2)に関係する記事(ブログ内)

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