ガーネット、ルビー、クリムゾンと言えば?2018/01/17

20180115ミラ(οCet)

ミラ(οCet)  2018.1.15撮影
くじら座のο星は、通称「ミラ」と呼ばれます。ο星の「ο」は英字の「オー」ではなくギリシャ文字「オミクロン」の小文字。ミラとは「不思議な星」という意味だそうで、明るさが大きく変化する恒星として古くから知られていました。恒星とは言っても過去から未来まで何一つ変化しないということはありません。明るさを変える星「変光星」はたくさんあります。

昨年2月以来暗くなっていたミラがちょうど極大期を迎えているということで、数日前に撮影したのが左画像。画像中央の赤っぽい星がそうです。大雑把に見て3等星以下に感じました。ミラの変化は「極めて規則的」とは言えませんが、近年ではおおよそ330日かけて約10等台から最大約2等台まで変化することが知られています。

ミラ(οCet)の光度変化
右図はアメリカ変光星観測者協会(AAVSO)による観測データを元に、同サイトの機能を使ってミラの光度変化を描いたグラフ。横軸は日付で最小目盛は20日幅、縦軸は光度です(Visual Magnitudeのみ)。昨夜から遡って1650日ぶん(約5周期)を描いてみました。極大の前後数ヶ月で一気に明るくなり、また急激に減光する様子が分かりますね。なお所々データがないのは、3月から5月にかけてミラが太陽方向と重なって観測できないからです。極大がこの時期に重なってしまった3周期前と4周期前は十分な観測データが取れず、ピークがはっきりしません。

変光星総合カタログ(GCVS/General Catalogue of Variable Stars, Version 5.1, 2017年版)によると、変光星は主原因に応じた六つの大分類があり、以下のように呼ばれます。

  • 爆発星(爆発型変光星/Eruptive Variable Stars)
  • 脈動星(脈動型変光星/Pulsating Variable Stars)
  • 回転星(回転変光星/Rotating Variable Stars)
  • 激変星(Cataclysmic Variables)
  • 食変光星(食連星/Close Binary Eclipsing Systems)
  • 変光X線源(X線変光星/X-ray Sources)

更に様々な小分類があって、前出のGCVSを調べたところ、新たなタイプを含めて少なくとも120種ありました。ミラは脈動星の代表格で、小分類のひとつ「ミラ型(略称:M)」という分類名にも採用されています。脈動星は変光星全体の半数近くを占め、そのうち3割弱がミラ型とのこと。変光周期が100日から1000日と長いことがミラ型の特徴ですね。恒星進化の最終段階に到達し、温度が低くて赤く見える「赤色巨星」や「赤色超巨星」であると考えられています。

晩秋から冬を飾る星座の中に、「ガーネット」「クリムゾン」「ルビー」といった深紅を象徴する色の名を持つ星々があります。せっかくなので、ミラと一緒に撮影してみました(下画像)。いずれも脈動星で、このうちクリムゾン・スター(うさぎ座R星)は約427日周期のミラ型。残念ながら今はもっとも暗い時期で、12等程度のようです。それでも嘘みたいに真っ赤に写るところが面白いですね。ガーネット・スター(ケフェウス座μ星/約730日周期/SRC型)とルビー・スター(おうし座CE星/約165日周期/SRC型)はファインダーでも見えました。この二星は肉眼等級の範囲で変光するので、見えなくなるほど暗くはなりません。

1月は19時から20時頃にミラも含めて四星全て観察できます。どれが一番赤く感じるか、ぜひ見比べてみてください。

  • 20180115ガーネット・スター

    A.ガーネット・スター(μ Cep)
    2018.1.15撮影
  • 20180112クリムゾン・スター

    B.クリムゾン・スター(R Lep)
    2018.1.12撮影
  • 20180113ルビー・スター

    C.ルビー・スター(CE Tau)
    2018.1.13撮影