大寒波の気温を振り返る2016/01/26

20160124正午の気象衛星画像
今日の明け方は-6度近くまで冷えました。冬の明け方に定期的な天体観察をすると分かりますが、星空は寒いほど透明度が上がります。当地茨城での経験では、明け方の最低気温が「-2、-3度程度」と「-5度以下」とでは透明度が格段に異なり、このあたりに「冬季最高の星空」の境界がありそうです。

今朝の最低気温は当地茨城県のアメダスポイント16ヶ所中11ヶ所で「今季最低」となりました。茨城のみならず、今季最低を記録したのは広範囲に及んだようです。いっぽう一昨日24日前後に日本を覆った大寒波のとき、茨城ではさほど下がった気がしませんでした。寒波の影響を受けたのは主に西日本だったようです。

気温は「一日の中で明け方最も低くなる」とは限りません。太陽が出て昼間に十分地表近くが温められれば、それが冷めきる明け方が相対的に最低気温となることは多いけれど、昼間悪天だったり、上空に強い寒気がやってきているときはセオリーが崩れて「明け方より寒い昼間」になることもありますね。実際、このことは24日前後の寒波の時、西日本の多くの方が体験したことでしょう。左上は24日12:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド)です。近畿から関東にかけての太平洋側や東北、北海道は晴れ間が多いです(白っぽいのは雪)が、その他は雲に覆われています。そして上空には強い寒気がやってきていました。

20160124前後の気温推移
1月24日前後の気温推移がどうだったかをご覧いただきましょう(右図)。23日0:00から26日0:00までの気象庁発表10分観測値を使ってグラフを描いてみました。「初めて雪が降った」と話題の沖縄県を代表して那覇、ニュースで引き合いに出された久米島、名瀬(奄美大島)、そして九州代表として福岡の各ポイントです。また比較参考として当ブログ基点の茨城県つくば市と北海道旭川市も入れました。

少なくともこの三日間、沖縄近辺は20度未満でした。23日0:00から気温は右肩下がりで、25日に上向きに転じるまで昼夜問わず下がり続けています。福岡も関東より寒かったんです。対して、つくばや旭川は24日、25日とも概ね晴れて、明け方に下がって昼間に上がる波が見てとれます。また冒頭にお話しした通り関東で雪となった23日夜から24日明け方の気温は、その後二日続く快晴日の最低気温より高いことも分かるでしょう。ぜひ他にも色々なことを読み取ってください。昨日のブログ記事「日本最低気温の日」に掲載した平年値グラフも合わせてみると更に深くまで思考が進むと思います。参考までに記事末尾に気象庁サイトのアメダス気温全国マップ(グラフと同期間の3時間おき抜粋)も引用しておきます。全国の傾向が分かるでしょう。

「明け方が一番寒い」「雪が降る日はいつもより気温が低い」といった思い込みは、きちんと気温を分析すれば間違いを含む先入観であることが分かってきます。深く探れば地域性に結びついた法則も出てくるでしょうし、ご存じのように地上の気温や雲の有無だけで天候判断はできないことも見出せるでしょう。気象は実に多様で奥深いですね。

※地図下部のボタンで手動アニメーションできます。24:00は翌日0:00です。


参考:
今日は「日本最低気温の日」
越冬する昆虫たち(※この寒波後の気温推移グラフあり)

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