新月のとき、月はどこにいるの?2017/07/23

20170723新月
今日は空のどこを探しても月が見つからない新月の日。そしてこの月が満ち欠けを1周期終えた来月に北米を中心とした皆既日食が起こるのです(→参考記事)。

ところでみなさんは新月の月が「本当はどこにあるか」考えたことありますか?新月時に実物の月がなくなってしまうわけではなくて、「太陽近くにあるから空が眩しく、また月の光っている部分もほとんど無いから見えない」ということはご存じでしょう。では太陽から何度くらい離れているんだろう?来月に日食が起こるというなら、今月もかなり近くじゃないのか?…そんな疑問が湧いてきませんか。

左上は今日23日18時(ほぼ新月)、日没前の太陽に対する月の位置をStellariumで表示させたシミュレーション。地球の空気が薄くて、日没前でも月や星々がうっすら見えているという想定です。ご覧のように月は太陽の下側にあり、火星も近くに見えています。なるほど、今回の新月の状態が分かりました。じゃあ新月同士を比べたら、この新月は太陽に近いの?それとも遠いの?今ひとつピンときません。

そこで、新月近くで太陽と月が見かけ上もっとも近づいた時の地心離角(注:黄経差ではありません)を自前で計算してみました。新月の瞬間に離角が極小になるとは限らないため、この手のプログラミングは勘違いしないよう作らなくてはいけません。今年を含む前後5年間の全ての新月について結果をグラフにしたものが右下図です。地球上のどこかで日食になる新月には赤丸を付けました。

新月時の太陽−月離角
うむ、周期性があるようです。離角が約1.5°以内にならないと日食にはならなそうですね。しかも皆既日食や金環日食の場合はさらに約1°以内と厳しい。月も太陽も視直径が約0.5°ですから、当然の結果なのですけどね。むしろ、もっとシビアなのかと思い込んでいました。地心計算と地表面での観察とのずれまで考慮した場合、漠然と思っていたよりも条件幅が緩いなぁと感じました。

ということで、今月の新月は「それなりに太陽に近い」ことが分かりました。2018年・2019年とも3回ずつ日食があります。このなかで日本から見えるのは2019年の2回。楽しみですね。
参考:
連続する半影月食のヒミツ(2016/08/17)
    …満月と月食の場合でも、隠すもの(地球の影)と隠されるもの(月)とが異なるだけで、上記に似た性質があります。

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