月が金星やヒアデスに近づいてきました2017/07/19

20170719明け方の東空
前日の荒れたお天気はどこへやら、昨夜から今朝にかけ穏やかに晴れました。いくつかのシーンを撮影し終え、ふと気付くと東から下弦を過ぎた月が登ってきました。そう言えばそろそろ金星とヒアデスの接近エリア(関連記事1関連記事2)に月が近づく頃です。

金星が登ったのを見計らって見晴らしの良い空のもとへ徒歩移動。北空に時々雲が湧きますが、東は流れてこないようです。残念ながらどこへ行っても光害から逃れられませんが、月も明るいし細かいことは気にしません。

20170719明け方の東空
せっかくなので登っていたカペラも一緒に撮影しました(左上画像)。もう明け方は冬の星座たちがどんどん顔を出していますね。季節が巡るのはとても早いです。何が写っているかは、右のマーカー付き画像をご覧ください。明日7月20日明け方は細くなった月がヒアデス星団に潜り込み、素晴らしい光景でしょう。そのまま朝を迎えた月は、8時台に青空の中でアルデバランを掩蔽します。この現象は望遠鏡がないと確認できませんが、可能な方はご覧ください。潜入・出現ともに全国で見ることができます。また21日明け方の月は金星に約5.5°まで接近しますよ。こちらもぜひどうぞ。

海の中の宇宙[3]2017/07/19

海底地形・季節由来-0
(A)
海の中の宇宙[2]へ戻る

日本近海の海底地形にある「空、自然、季節に関する名前」を持つ地物めぐり、第三回目です。今回は「季節」に関する名前の海山をご紹介。季節と言っても春、夏…ではなく、暦に登場する二十四節気、雑節などです。場所は左のA図、白い長方形のところ。拡大したものが下のB図です。第二回目の七草関連エリアの南西側、硫黄島の南になります。小さいエリアにギッシリとまとまっていますので、B図はいつもより大きく拡大しました。

B図を見ると二十四節気では足りず、雛祭りや七夕、七五三まで実に多彩な海山になっています。初午とか藪入りって久しぶりに出会った言葉ではありませんか?衣更(ころもがえ)は現代風の衣更じゃなく、俳句の季語(夏)にもなってる旧暦四月一日(わたぬき)の意味でしょう。概ね春が北側で、夏、秋、冬まで南下してゆきますから覚えやすいですね。冬関係の海山は冬季海山列というグループ名が登録されていますが、他の季節はありませんでした。

海底地形・季節由来-1

(B)
伊豆諸島から硫黄島付近まで一連の山々が連なっていますが、季節の海山が集まるあたりから左右に分かれています。海溝に近い右の山脈を「中マリアナ海嶺」、海溝から遠い左の山脈を「西マリアナ海嶺」と呼びます。(※中マリアナ海嶺の南半分を「東マリアナ海嶺」と呼ぶことも。)ふたつの海嶺にはさまれたところはバナナのような形ですが、ここは「マリアナ舟状海盆」。連載2回目で述べたように近年ではこの周囲を一緒くたにフィリピン海プレートとは呼ばず、性質の違う中マリアナ海嶺一帯をマリアナプレートとして区別します。

プレートの差異が地震の違いとなって現れることがあります。日本周辺で起こる地震震源をこの地図に合わせて描くとプレートの振る舞いの微妙な差が分かっていただけるかと思い、試しにC図を作図してみました。これはthe U.S. Geological Surveyで公開している地震データを元に、マグニチュードが5以上の地震についてプロットしたもの。丸の大きさがマグニチュード、色が震源の深さを表しています。データは2000年初日以降2017年の昨日までに地図内で発生した全てを対象としました。(気象庁データとは少し違うと思いますのでご容赦を。)

海底地形・震源深度マップ
(C)
本州沿岸から小笠原諸島付近までは赤と青の分離が顕著ですが、硫黄島や季節の海山辺りから南は青系の「深い地震」がほとんど無くなり、代わりに深度300kmから100km位の「中深度の地震」がバリエーション豊かに発生してます。伊豆諸島から小笠原諸島にかけては海嶺位置と震源位置があまり関係ないのに対し、硫黄島以南では中マリアナ海嶺に沿った位置で発生する地震がとても多いです。またマリアナ舟状海盆が一番幅広になった辺りでは深い深度の地震が復活してますね。中マリアナ海嶺と同じように見える西マリアナ海嶺では大地震が全く起こってないのも不思議な感じ。

私たちが常識として知っているプレートの沈み込みは、場所によって沈み方や方向、速度が違って当たり前。地震が必ずプレートの擦り合った部分で起こるとも限りません。文字通り一枚岩とはいかないのでしょう。それにしても見事なくらい、プレートの中ほどでは大きな地震が起こりませんね。海底に家を建てるならプレートの真ん中がお勧めですよ。平坦なので景観は物足りないかも知れませんが…。

海の中の宇宙[4]へ進む


【季節に関する名前が付いた海底地形リスト】
海底地形名属名水深
節分海山(Setsubun Seamount)海山(Seamount)2790m
初午海山(Hatsuuma Seamount)海山(Seamount)1260m
八十八夜海山(Hachijuhachiya Seamount)海山(Seamount)1100m
啓蟄海山(Keichitsu Seamount)海山(Seamount)2050m
雨水海山(Usui Seamount)海山(Seamount)457m
立春海山(Risshun Seamount)海山(Seamount)335m
雛祭海山(Hinamatsuri Seamount)海山(Seamount)2450m
穀雨海山(Kokuu Seamount)海山(Seamount)931m
衣更海山(Koromogae Seamount)海山(Seamount)1730m
端午海山(Tango Seamount)海山(Seamount)1890m
清明海山(Seimei Seamount)海山(Seamount)2630m
春分海山(Shunbun Seamount)海山(Seamount)1500m
芒種海山(Boshu Seamount)海山(Seamount)1990m
夏至海山(Geshi Seamount)海山(Seamount)1900m
立夏海山(Rikka Seamount)海山(Seamount)1380m
二百十日海山(Nihyakutoka Seamount)海山(Seamount)2490m
小満海山(Shoman Seamount)海山(Seamount)576m
小暑海山(Shosho Seamount)海山(Seamount)2580m
七夕海山(Tanabata Seamount)海山(Seamount)619m
大暑海山(Taisho Seamount)海山(Seamount)2410m
立秋海山(Risshu Seamount)海山(Seamount)1710m
処暑海山(Shosho Seamount)海山(Seamount)616m
月見海山(Tsukimi Seamount)海山(Seamount)950m
白露海山(Hakuro Seamount)海山(Seamount)552m
寒露海山(Kanro Seamount)海山(Seamount)1270m
秋分海山(Shubun Seamount)海山(Seamount)897m
霜降海山(Soko Seamount)海山(Seamount)1290m
立冬海山(Ritto Seamount)海山(Seamount)515m
冬季海山列(Toki Seamount Chain)海山列(Seamount Chain)
小雪海山(Shosetsu Seamount)海山(Seamount)1520m
小正月海山(Koshogatsu Seamount)海山(Seamount)2200m
大雪海山(Taisetsu Seamount)海山(Seamount)709m
正月海山(Shogatsu Seamount)海山(Seamount)2100m
藪入海山(Yabuiri Seamount)海山(Seamount)1970m
七五三海丘(Shichigosan Knoll)海丘(Knoll)3490m
冬至海山(Toji Seamount)海山(Seamount)2170m
大寒海山(Daikan Seamount)海山(Seamount)2330m
小寒海山(Shokan Seamount)海山(Seamount)2750m

  • 海底地形リストは登録位置が北から南に向かって掲載しています。元ファイルにデータ記載が無い項目は「−」表記です。
  • 季節関連地形のほとんどに承認年の記載が無かったので、省略しました。
  • 元ファイルの地物は点(ポイント)、線(ライン)、面(ポリゴン)のいずれかで登録されています。点の場合は小さな赤丸、線と面(アウトラインのみ)はピンク線に分けて描画しました。
  • 同じ海山でも点登録と面登録があったり、広がりを持つ地物が点登録といったチグハグさが目立ちますが、元データがそうなっています。いずれ改善されるでしょう。
  • 地図左上の段彩凡例は水深/標高です。標高0m以上の陸域は段彩パレットで白色系にしていますが、精度が高くないため海岸線や湖面などの水際でやや不明瞭になります。(意図的に海岸線や等高線は描いていません。)
  • 点の座標が地物の位置から若干ずれて見えるところがあります。これも精度不足が原因と思われます。
  • 幾何学的なくぼみやキャタピラー痕のような凹凸があちこちありますが、主に元データのエラーと思われます。(船の航路やソナーの向きが影響するでしょう。)こういうのを何年もかけて修正しながら、地形データはバージョンアップをくり返してきました。
  • 描画はGMT(ver.5.4.2/Mac版)を使用しました。簡単のため地理的図法ではなく直交座標にしました。詳しく見ていただくため大きな画像にしてます。小さな画面で見ている方、ごめんなさい。


夏土用入りに梅雨明け2017/07/19

20170719太陽
夏土用入りの今日、当地・茨城は明け方の気温がいつもより数度下がり、寒い朝でした。日中雲があって日差しが少なく、気温もやはり3、4度低い推移となりました。夕方には一部でごく少量の雨もあったようです。

20170719太陽
左は13:50過ぎの太陽。昼前後少し晴れた時間に撮影しました。活動領域12665は見えなくなり、12666が辛うじてリム近くに明るく見えます。今日は右下と左上に立派なプロミネンスがあり、見事でした。薄雲があり、解像度が落ちてしまって残念。

今日は四国から関東まで梅雨明け宣言がありました。今日夕方の時点でまだ開けてないのは九州北部、北陸、東北です。と言っても、相変わらず午後にはあちこちで小さなゲリラ雷雨になっていました。昨日ほど広くないのが不幸中の幸い。

20170719-1500雲の渦
そんな中、今朝方は九州南部で激しい雨が降りました。大きな雲がドッカと居座っていたのです。朝のうちは単純に丸くまとまっていただけでしたが、昼過ぎから渦を巻く気配が現れました。右画像は本日15時の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。なんとこの時点では、まるで台風のような姿になりました。もちろん強風が吹くでもなく、朝ほどひどい雨も降っていません。見かけ倒しのエセ台風です。ただ、所々に発達した雨雲を内包してるので気を付けなくちゃですね。

(※付記:9時までの天気図にはありませんでしたが、15時の地上天気図ではこの渦が低気圧になっていました。また、日本の遙か東南東の海上から熱帯低気圧がやってきています。)