秋田県に被害をもたらした雨量の変化2017/07/23

一昨日夕方に北海道からスタートした前線通過は東北地方北部で長時間の大雨を降らせ、特に秋田県などで大きな被害となっているようです。下に気象庁サイトから降雨ナウキャストを引用し、22日12時から23日6時まで1時間おきの手動アニメーションを載せました。下部ボタンで降雨の変化をご覧ください。




秋田県の各地では降水量が観測史上最大となっています。23日昼現在、雄和、横手、大正寺などで降り始めから300mmを越えました。雄物川が上流で氾濫、避難指示も出ています。九州北部豪雨のとき同様に雨量変化を見るため、気象庁のアメダスデータ(10分間隔の降水量)を使って22日0:00から三日間集計しました(下のA・B図)。参考にしてください。

比較のため、7月7日記事に掲載した九州北部豪雨のグラフも再掲載しておきます(下のC・D図)。スケールを統一してますので直接比較可能です。降り方がやや緩いものの、総量は肉迫していたことが分かるでしょう。逆に、福岡県朝倉の豪雨がいかに突出していたかも分かりますね。一箇所での記録的云々というのもさることながら、水捌けが良くないところでは地域全体での総雨量を推し量ることも大事になってきます。

今日23日昼過ぎ現在、降雨は少し弱まってまばらになったようですが、土砂災害はむしろこれからが大変です。お近くのみなさん、どうかご無事で。

  • 20170722雨量1

    (A) 秋田県各地の雨量
    (2017年7月22日0:00から3日間)
  • 20170722雨量2

    (B) 秋田県各地の積算雨量
    (2017年7月22日0:00から3日間)


  • 20170704雨量1

    (C) 九州豪雨の雨量
    (2017年7月4日0:00から3日間)
  • 20170704雨量2

    (D) 九州豪雨の積算雨量
    (2017年7月4日0:00から3日間)


参考:
アーカイブ:記録的短時間大雨情報のリスト

マイナス1プラス1で、トリプル台風のまま2017/07/23


20170723-1500台風8号
台風7号は華南地方に上陸し、15:00には熱帯低気圧に変わりました。ところがその南西にいた熱帯低気圧が同じく15:00に台風8号「SONCA/ソンカー」になったと発表がありました。直前の7号発生からわずか24時間後です。台風5号と6号は健在なので、トリプル台風のままです。

左画像は本日15:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/経緯線などは筆者)。赤点円は台風中心の直径1000km円です。今年の台風2号と規模・コースとも似たような感じですね。

2日6時間(54時間)の間に台風が4つも発生してしまいました。台風5号は後戻りするなど迷走しているため、4つの中でいちばん強くて日本に近い台風なのに今後の状況が全く見通せません。前線の活動も活発で、今週の空模様はどうなっちゃうんでしょうか?

新月のとき、月はどこにいるの?2017/07/23

20170723新月
今日は空のどこを探しても月が見つからない新月の日。そしてこの月が満ち欠けを1周期終えた来月に北米を中心とした皆既日食が起こるのです(→参考記事)。

ところでみなさんは新月の月が「本当はどこにあるか」考えたことありますか?新月時に実物の月がなくなってしまうわけではなくて、「太陽近くにあるから空が眩しく、また月の光っている部分もほとんど無いから見えない」ということはご存じでしょう。では太陽から何度くらい離れているんだろう?来月に日食が起こるというなら、今月もかなり近くじゃないのか?…そんな疑問が湧いてきませんか。

左上は今日23日18時(ほぼ新月)、日没前の太陽に対する月の位置をStellariumで表示させたシミュレーション。地球の空気が薄くて、日没前でも月や星々がうっすら見えているという想定です。ご覧のように月は太陽の下側にあり、火星も近くに見えています。なるほど、今回の新月の状態が分かりました。じゃあ新月同士を比べたら、この新月は太陽に近いの?それとも遠いの?今ひとつピンときません。

そこで、新月近くで太陽と月が見かけ上もっとも近づいた時の地心離角(注:黄経差ではありません)を自前で計算してみました。新月の瞬間に離角が極小になるとは限らないため、この手のプログラミングは勘違いしないよう作らなくてはいけません。今年を含む前後5年間の全ての新月について結果をグラフにしたものが右下図です。地球上のどこかで日食になる新月には赤丸を付けました。

新月時の太陽−月離角
うむ、周期性があるようです。離角が約1.5°以内にならないと日食にはならなそうですね。しかも皆既日食や金環日食の場合はさらに約1°以内と厳しい。月も太陽も視直径が約0.5°ですから、当然の結果なのですけどね。むしろ、もっとシビアなのかと思い込んでいました。地心計算と地表面での観察とのずれまで考慮した場合、漠然と思っていたよりも条件幅が緩いなぁと感じました。

ということで、今月の新月は「それなりに太陽に近い」ことが分かりました。2018年・2019年とも3回ずつ日食があります。このなかで日本から見えるのは2019年の2回。楽しみですね。
参考:
連続する半影月食のヒミツ(2016/08/17)
    …満月と月食の場合でも、隠すもの(地球の影)と隠されるもの(月)とが異なるだけで、上記に似た性質があります。