近づく火星に期待を寄せつつ…2022/10/06

20220930土星
早いもので、8月15日に土星が衝を迎えてからまもなく2ヶ月。左画像は9月30日撮影のものですが、土星左上に見える「環に投影された本体の影」がずいぶん目立つようになりました。

この影が環の中で最も幅をきかせるのは11月中旬に差しかかるころ。そのあとは来年2月中旬の合に向かってどんどん減ってゆきます。衝と合のタイミングは視線と太陽光線が重なりますから、環に投影される影はほぼ見えなくなるのですね。

いっぽう黄雲(砂嵐)の影響が心配な火星ですが、いまのところ全域拡大は免れているようです。何人かの観測者画像を見ると、いくらか落ち着いてきたかなとさえ感じます。でも再発生もあり得るから油断禁物ですね。下A・B画像は10月になってから撮影したもの(各画像上方向が火星北極方向)。この他に挑戦した日もありますが、雲に邪魔されたり酷いシーイングに見舞われて、まともなスタックができませんでした。Aは右寄りの欠け際手前、Bは中央に、それぞれ大シルチスがあります。その南半球側、ヘラス付近から西側にかけてくっきりした黄雲が確認できます。この三日間でも変化が見て取れますね。

8月16日に今期最初の火星撮影を始めて以来、拡大率や撮り方を模索しつつ冬の悪シーイングを軽減する条件を模索しています。ずいぶん大きくなったと思っていたのですが、8月16日と10月4日を同縮尺で比較してみたら、それほど極端には変わっていませんでした(下C画像/画像上方向が天の北方向)。写りの違いは空の善し悪しでは無く、接眼部構成や撮影条件の工夫によるものです。印象的なのは晩夏に見えていた南極冠が見えなくなったこと。もちろん大きさ変化もあるのでしょうが、見かけ上10°近く南北方向に回転してしまったため、見づらくなっているのです。(月面の緯度秤動みたいなことです。)12月に入るとまた見やすくなってきますから、地球接近以降に期待するとしましょう。

  • 20221001火星

    A.10月1日1:55ごろ
  • 20221004火星

    B.10月4日1:22ごろ
  • 火星の大きさ比較

    C.火星の大きさ比較