今日の太陽2021/02/03

20210203太陽
二十四節気の立春を迎えました。地球が残り45°を回り終えると原点の春分となります。今日は朝からよく晴れて、遠くに見える真っ白な富士山が美しい。明け方の気温はさほど下がりませんでしたが、昼の気温もさほど上がっていません。まさに冬と春とがせめぎ合う感じ。風は強く、昼前から5m/s超えです。

20210203太陽リム
左は10:30過ぎの太陽。右上リム近くに活動領域12800のプラージュがまだ確認できます。その左やや上の小さな黒点もまだ消えてないようです。(夜追記:この黒点周囲のエリアは12801と採番されました。)右上リムからとんでもない長さのプロミネンスが伸びていることに気が付きました(右画像のインサート参照)。

20210203-002150UT_Bh
淡いプロミネンスやフレアの経過確認でいつも利用しているNSO/GONGのHα履歴にも前述の長いプロミネンスが確認できました。いやいや、それよりもビックリしたのは、飛行機が写り込んでいたこと(右画像)。なんだか親しみを感じました。これを見る限り、GONGの画像は短時間で複数枚撮影したものを加算平均してるようですね。

近傍銀河の不思議な天体2021/02/04

20210204_AT2021biy
系外銀河の中でも比較的私達に近いもの…Mpc(メガパーセク=約3.26×106光年)換算でたかだか一桁台程度の銀河に、立て続けに超新星候補天体が発見されたということを、星仲間の(の)さんが教えてくれました。そのうちのひとつ、「Whale Galaxy」ことNGC4631に出現したAT2021biyが撮影しやすかったので、今朝方挑戦してみました。

昨夕から今朝までは割と頻繁に雲が飛来し、撮影していても度々中断を余儀なくされる落ち着かない空模様でした。断片的ながらようやく画質が保てる程度の露出を済ませ、仕上げたのが左画像。17等近くまで増光している対象天体がしっかり写っています。色補正が十分ではないけれど、極端に赤いとか青いと言った特徴はなさそう。

(の)さんによるとこの星の正体はまだ分からないそうで、スペクトル分析ではLRN(高輝度赤色新星)の一面もあるし、LBV(青色超巨星)の可能性も否定できないとのこと(→ATel#14360参照)。どっちつかずですなぁ。研究者のみなさんは興味津々でしょう。我々の銀河までの近さからすると一般的な超新星としては暗すぎます。今後の増減光が気になりますね。

20210203ネオワイズ彗星(C/2021 A2)
夜半前にはネオワイズ彗星(C/2021 A2)にも挑戦。1月末に初撮影したとき移動が速すぎたためもう少し小刻みに撮影しようと思っていたのに、慌てていたのか倍の設定にしたまま撮っていました。気がついたときはもう遅く、撮影し直す余裕もありません。そのまま仕上げ、右に掲載しておきます。彗星、のびちゃってますね。

なんとなく北東側(左上側)に光の偏りが感じられます。尾?が伸びてるのでしょうか?暗くならないうちに再々挑戦しましょう…。

今日の太陽2021/02/04

20210204太陽
朝からよく晴れていてますが、透明度が若干落ちたようです。(昨夜から感じてました。)遠くの富士山が余り見えません。気温は昼前に10度を超え、日向がとても暖かい。でも昼前から風が強くなり、12時以降は8m/s前後に達しています。昼現在はまだ宣言されていませんが、実質的に春一番と言えましょう。

20210204太陽リム
左は11時頃の太陽。活動領域12801が右上リムギリギリに見えますが、黒点は消えたようです。昨日見えた長いプロミネンスはもうありませんが、太陽観測衛星SOHOの画像を見ると4日3時頃から右上に向かってコロナが大きく吹き出していました。その他は静穏な太陽面ですね。

追記
各種ニュースによると「気象庁は今日午後、関東に春一番が吹いたと発表した」とのこと。これは関東地方の観測史上における最も早い春一番です。ところで上記の文は二通りの意味に解釈できてしまい(「午後に吹いた」のか?「午後に発表した」のか?)曖昧なのですが、それよりもずっと重大な問題がありました。

試しに適当な検索サイトで「気象庁 関東 春一番」などのキーワードで検索してみてください。たくさんのニュースが出てきますね。ところが肝心の「気象庁からの発表」が出てきません。一次ソースが見つからないのです。キーワードを変えても、検索サイトを変えても、やはり出てきません。本来なら一次ソースがトップに出なくてはならないものでしょう。

直接気象庁のサイトや公式SNSで探しても「気象庁からの春一番の発表」は見つかりませんでした。気象庁は国民に向けてではなく、報道機関へ直接発表したのでしょうか?

春一番程度ならスルーしても命に関わることは無いでしょうが、本当に必要な防災関連の一次情報、危険を知らせる大元の情報が見つからない/下位に埋もれてしまってることはよくあります。(少なくとも私は何十回も経験してます。)他の一次情報を担う国の各省庁サイトや行政サイトも同様ですが、とりわけ気象庁サイトは迷路のようで、探しづらいサイトの筆頭ではないでしょうか?

また、官公庁サイトの構成だけが原因ということでもなく、検索サイトやSNSの結果表示の順位や、ニュースサイトに一次ソースアドレスを明記してないなど、多数の問題点が交錯してます。これらが適切でない限り、多くの人がいつまでもフェイクニュースや根拠のないデマに踊らされ続けるのです。情報立国が聞いて呆れますね。


小惑星アポフィスが北上に転じました2021/02/05

20210205小惑星アポフィス(99942/2004 MN4)
地球に衝突するリスクが大きいと度々話題に登る小惑星アポフィスが着々と地球に接近しています。ちょうど今朝、赤緯の南下が北上に転じたので撮影してみました。

夜通し天気は良かったのですが、昨日観測史上もっとも早い春一番を記録した関東ですから、夜も風が強い状態。結局朝まで風に翻弄されました。左画像は1.5時間あまりの露出。1月26日に撮影したときよりかなり明るくなっており、はっきりした像を結んでくれました。現在の光度は17等前半。2月26日の衝までもう1等ほど明るくなるでしょう。地球最接近は3月6日ごろ。今回はぶつかりませんからご安心を。

夜半過ぎに下弦を迎えたばかりの月が南中しつつあったので、これも撮ってみました。ふつう明け方は凪になる時間帯なのに、なぜか風が強まり、月がモニターの中で踊り狂っていました。どうにか仕上げたけれど(下A画像)、シャープネスが足りませんね…。撮影時の太陽黄経差は約271.52°、撮影高度は約39.3°、月齢は22.64です。月が低いというのも像に締まりがない要因のひとつでしょう。

計算上では今朝の下弦が「今年最大の下弦」とのこと。先月21日の上弦は「今年最小の上弦」だったので、両者を同縮尺で並べてみました(下B画像/※上弦・下弦の瞬時ではありません、ご容赦を)。単独で見ると大きさの差など全く感じないのに、こんなに違うんです。秤動も異なるから、地形が繋がりません。太陽が照らす向きも真横ではありませんので、それぞれの明暗境界が月の南北(画像の上下方向)に対して微妙に傾いているのが分かるでしょうか?奥が深いですね。

  • 20210205_27152月

    A.2月5日・下弦
  • 2021年最小上弦と最大下弦

    B.2021年内の最小上弦と最大下弦