シーイングが悪い夜に重星はどこまで見える?2021/02/25

20210224_14512月
昨夜は宵のうち雲があったけれど、その後は今朝までよく晴れました。満月が近づいていますから淡い天体観察はお休み。二晩前と同じように月面と重星の観察をしました。

左は日付が25日に変わる直前の撮影で、太陽黄経差は約120.50°、撮影高度は約59.0°、月齢12.82です。中央付近はほぼ影が無くなったので、月面文字地形の特定は困難になりました。でもよく見るとL地形だけは何となく辿れます。不思議ですね。

夜半前に気温は0度近くまで下り、明け方はマイナス4.5度。透明度は上がったものの大気はかなり揺れていました。月面もキレがありません。それでも月面や重星を見るのは、「こんな状態の夜はどこまで星が見えるんだろう?」という興味が湧き上がるからです。見えないということを否定的に捉えるのではなく、自然の一面として受け入れ、どんな状態かを把握しておくことは無駄にならないでしょう。

前回にシンプルな機材構成でも意外に撮影可能なことが分かったため、今回の重星撮影もおなじ構成を踏襲しました。まず前回撮れなかったリゲルに望遠鏡を向けると、全く分離しません。二晩前はシリウスでさえ容易だったのに…それだけシーイングが悪化していたということですね。おなじオリオン座のζ星もダメでした。

ではどの程度だったら見えるのでしょう?今回はチェックリストを用意して臨んだので、その中から離角が2″台以上、両星とも8等台より明るいタイプを様々選び、写してみました。下に撮影順に掲載しておきます。全て画像上が天の北方向、縮尺は統一(800px四方=約200″四方相当)してあります。ただし撮影条件はバラバラなので、違う画像同士の等級比較はできません。クリアに分離してないものも載せていますのでご了承ください。またζOriや90 Leoのように、たまたま近くにあった恒星と一緒に写しているものもあります。

この夜は4″台以上なら分離するようでした。でもθAur(離角4.076″ at 2021年)は目を凝らしてもギリギリな感じ。これはPA(方向角)が303.3°のため、右上に向かうスパイダーの影響をもろに受けてしまった可能性があります。中には、39 Boo(離角2.545″ at 2021年)のように2″台にも関わらず、くっつかずに写ってくれるケースもあったし、別の2″台重星で全く見えなかったものも複数ありました。明け方に向かってシーイングが少しだけ改善されたのかも知れないし、方向や高度の影響もあるでしょう。

ピント合わせはしつこいくらい行ったので、ピンぼけは考えにくいです。撮影条件によってスタックソフトが正しくアラインメントしないという可能性もあるでしょう。いろいろ場数を踏んでいけば、掴みどころのないシーイングを簡易的に定量化できるかも知れませんね。

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    41 Aur
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    38 Gem


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    35 Sex
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    γLeo


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    90 Leo
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    2 Com
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    58 Crv


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    54 Vir
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    π1Boo
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    ξBoo


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    39 Boo
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    ミザール
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    北極星


参考:
意外に良く見えた重星たち(2021/02/23)
凍える夜の二重星めぐり(2021/01/10)

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