意外に良く見えた重星たち2021/02/23

20210222_12050月
昨宵は空全体を薄雲が覆っていましたが、21時過ぎ頃から快晴になりました。早速月面に望遠鏡を向けるも、前夜よりやや悪いシーイング。21時の時点で気温が13度もあったので、昼夜の入れ替えでかなりの対流が生じているのでしょう。

それでも何とかカメラに収めたのが左画像。撮影時の太陽黄経差は約120.50°、撮影高度は約61.5°、月齢は10.74。ずっと薄雲が取れなかったから無理かなぁと諦めていただけに、眺めることができて大満足。一晩前はほぼ欠け際だったコペルニクス・クレーターもすっかり明るくなり、虹の入り江も朝を迎えました。ちょうど『Golden Handle』の別名にふさわしい形に見えますね。昨日の記事にも書きましたが、観察最適日からだいぶ過ぎた月面XやLOVEも、まだかろうじて見つけられますよ。(E地形はそろそろキツイかな?)ちなみに、これくらいの月齢でも周囲にスギ花粉光環が見えていました。

一通り月面を楽しんだので片付けようとしたのですが、つい「この機材の組み合わせでシリウスBは見えるんだろうか?」と思ってしまったのが間違い(?)でした…。8割ほど冗談のつもりで望遠鏡をシリウスへ。すると…なんと、かなりクリアにシリウスBが見えるではありませんか!(下画像参照。)今まではアイピースとかバローレンズなどを組み合わせてかなり拡大していたのに、中間レンズ群無しでもこんなにはっきり見えるとは。ピント合わせや振動対策、光軸保持など、今までの苦労は何だったのか…。むしろ余計なゴーストが出なくて見やすい!シンプル・イズ・ベストとは正にこのこと。(まぁどんな経験も無駄にはなりませんけれどね。)

リゲルはもう建物に隠れていたため、中空のカストルに向けると、カストルABCともによく見えます。目から鱗でした。繰り返しますがシーイングはかなり悪かったのです。しかも対象がずいぶん西に傾いてる時間帯。もちろん拡大率が大幅に落ちますから像自体は小さくなりますが、面倒な中間の調整がなくても見えると分かっただけでも大収穫。肩肘張らずサクサク観察できることは継続に繋がりますからね。

少し時間を置いて、夜半すぎからは暗めの重星や離角が小さい重星を幾つか撮影してみました。限界を知っておくのも大事です。しかしながらおとめ座γ星やうしかい座のプルケリマ(εBoo)まで見えてしまったので、もう自分が知ってる大部分が見えると確信できました。シーイングが良ければなおさらでしょう。下に撮影順に掲載しておきます。すべて同じ拡大率(800px四方=約200″四方相当)・概ね上が天の北方向ですが、重星を見る予定ではなかったため方向角が若干狂っていますからご容赦を。※北極星は大きく方向転換したため、ミラーシフトでピントがずれたと思われます。πBooの時点で再び雲に覆われてしまったので観察終了となりました。少し季節が巡ったら新たな重星に挑戦しようと思います。

  • 20210222_シリウス

    シリウス
  • 20210222_カストル

    カストル
  • 20210223_ιCnc

    ιCnc


  • 20210223_54Leo

    54Leo
  • 20210223_北極星

    北極星
  • 20210223_γVir

    γVir


  • 20210223_εBoo

    εBoo
  • 20210223_σCrB

    σCrB
  • 20210223_πBoo

    πBoo


参考:
凍える夜の二重星めぐり(2021/01/10)

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