光害地での天体撮影(しし座の三連銀河) ― 2017/03/01
昨夜から今朝にかけて、珍しく一晩中晴れました。透明度はかなり低いものの春先に長時間晴れるのは貴重です。彗星たちが気になりましたがグッと我慢して、機材調整にあてることにしました。
当地はそれなりの街中なので、光害が結構あります。特にこれからの季節は寒暖の差が大きく、昼間大量に気化した水分が夜間に結露してガクッと透明度が落ち込みます。(今朝は猛烈な霜でした。)そういう夜は光害がいっそう際立ちます。いかにして光害地で天体写真を撮るか、というテーマに長いこと取り組んでいますが、光害カットフィルターなどで簡単に済むことは決してありません。多くの空好き、星好きにとって、かなり深刻な悩みと思います。
左上画像は昨夜日付をまたいで2時間以上露出した、お馴染み「しし座の三連銀河」。玄関先で撮りました(笑)。番号はM65(左下)、M66(左上)、NGC3628(右)です。都合により右方向を天の北方向にしています。元々はカラー撮影ですが、長時間にわたる撮影中に光害カブリやカラーバランスがかなり変化したためフラット補正が一筋縄では行かず、白黒処理しました。何の工夫もない試験撮影のため目標の画質には程遠いですが、画像に現れる色々なエラーから「次にどういった対策が必要か」ということが分かってきます。
ちなみに右画像は同エリアを約2ヶ月前の1月26日に撮影したもの。このときはフラット処理が良好でカラー処理できました。ただ露光が今回の4分の1ほどと短いため画質が荒れ気味、そのぶん限界等級も浅いですね。
天候や都市環境ばかりはひとりの人間がどうこうできませんし、どんなに注意しても撮影中にエラーが発生することはあるので、全体がそこそこうまくまとまるよう工夫が必要です。撮影準備から事後の画像処理に至るまで、光害地撮影ならではのフローを何年もかけて試行錯誤中です。
当地はそれなりの街中なので、光害が結構あります。特にこれからの季節は寒暖の差が大きく、昼間大量に気化した水分が夜間に結露してガクッと透明度が落ち込みます。(今朝は猛烈な霜でした。)そういう夜は光害がいっそう際立ちます。いかにして光害地で天体写真を撮るか、というテーマに長いこと取り組んでいますが、光害カットフィルターなどで簡単に済むことは決してありません。多くの空好き、星好きにとって、かなり深刻な悩みと思います。
左上画像は昨夜日付をまたいで2時間以上露出した、お馴染み「しし座の三連銀河」。玄関先で撮りました(笑)。番号はM65(左下)、M66(左上)、NGC3628(右)です。都合により右方向を天の北方向にしています。元々はカラー撮影ですが、長時間にわたる撮影中に光害カブリやカラーバランスがかなり変化したためフラット補正が一筋縄では行かず、白黒処理しました。何の工夫もない試験撮影のため目標の画質には程遠いですが、画像に現れる色々なエラーから「次にどういった対策が必要か」ということが分かってきます。
ちなみに右画像は同エリアを約2ヶ月前の1月26日に撮影したもの。このときはフラット処理が良好でカラー処理できました。ただ露光が今回の4分の1ほどと短いため画質が荒れ気味、そのぶん限界等級も浅いですね。
天候や都市環境ばかりはひとりの人間がどうこうできませんし、どんなに注意しても撮影中にエラーが発生することはあるので、全体がそこそこうまくまとまるよう工夫が必要です。撮影準備から事後の画像処理に至るまで、光害地撮影ならではのフローを何年もかけて試行錯誤中です。
光害地での天体撮影(かみのけ座のNGC4565) ― 2017/03/02
昨日の記事に続き、3月1日に試写したものから。左はかみのけ座にある有名なエッジオン銀河NGC4565。アマチュアの小型望遠鏡でもそれなりに大きさが分かる系外銀河です。2時間近くかけて撮ったものをコンポジットしています。これもカラーでのフラット補正がうまく行かなかったので白黒で処理しました。比較のため右下に1月26日撮影のカラー画像を掲載しました。露光は約4分の1の30分ほどです。
長時間に及ぶ露光はフィルム時代には「一発勝負」でしたが、デジタルの現代では「短時間露光×多枚数」が主流となりました。ケースバイケースですが、例えばひとつの天体を10分露出で撮影するとして、「1分×10枚」でも「5分×2枚」でも「1秒×600枚」でもいいのです。撮影後にかなり大規模な処理をできるため、その手間暇(ソフト面・ハード面とも)との折り合いを、撮影時の負担軽減に回すと言うことですね。
でもそれ以外に、「1分×10枚」にも「5分×2枚」にも「1秒×600枚」にもそれぞれ「撮影上の」メリットとデメリットがあり、そこも考えなくてはいけません。街中の撮影ではノーフィルターで5分も露出をかけたら画面が真っ白になるため、最初から「5分×2枚」の選択肢がないのです。
NGC4565の面白いところはいろいろありますが、私は「エッジの暗黒帯」に魅力を感じます。ところがここをうまく表現したいと思っても元々非常にコントラストが低いので、光害の程度によっては写し取れないんです。光害地前提で考えたとき「光害でかき消されないギリギリの露光時間」を見極める経験を積む必要がありますね。
また当然ながら、無光害地での撮影に比べてはるかにS/N比が悪いので、それを補えるほど大量のコマ数が必要になります。左上画像は上の2枚の中心付近を原寸大で切り出したもの。右は2.5分×12枚、左は3分×40枚。ガイドが少々流れているのはさておいて、暗黒帯の滑らかさが違いますね。しかしながらこんな描写ではまったく物足りません。おそらく2、3分の露出で数百枚必要になるのでは?と考えています。そうなるとひと晩での撮影は無理ですから、何日もかけて一つの天体を撮ることになりますね。…フィルム時代は考えもしなかったことですが、今はそれが可能な時代なのです。光害地での条件探求はまだまだ先が長そうです。
長時間に及ぶ露光はフィルム時代には「一発勝負」でしたが、デジタルの現代では「短時間露光×多枚数」が主流となりました。ケースバイケースですが、例えばひとつの天体を10分露出で撮影するとして、「1分×10枚」でも「5分×2枚」でも「1秒×600枚」でもいいのです。撮影後にかなり大規模な処理をできるため、その手間暇(ソフト面・ハード面とも)との折り合いを、撮影時の負担軽減に回すと言うことですね。
でもそれ以外に、「1分×10枚」にも「5分×2枚」にも「1秒×600枚」にもそれぞれ「撮影上の」メリットとデメリットがあり、そこも考えなくてはいけません。街中の撮影ではノーフィルターで5分も露出をかけたら画面が真っ白になるため、最初から「5分×2枚」の選択肢がないのです。
NGC4565の面白いところはいろいろありますが、私は「エッジの暗黒帯」に魅力を感じます。ところがここをうまく表現したいと思っても元々非常にコントラストが低いので、光害の程度によっては写し取れないんです。光害地前提で考えたとき「光害でかき消されないギリギリの露光時間」を見極める経験を積む必要がありますね。
また当然ながら、無光害地での撮影に比べてはるかにS/N比が悪いので、それを補えるほど大量のコマ数が必要になります。左上画像は上の2枚の中心付近を原寸大で切り出したもの。右は2.5分×12枚、左は3分×40枚。ガイドが少々流れているのはさておいて、暗黒帯の滑らかさが違いますね。しかしながらこんな描写ではまったく物足りません。おそらく2、3分の露出で数百枚必要になるのでは?と考えています。そうなるとひと晩での撮影は無理ですから、何日もかけて一つの天体を撮ることになりますね。…フィルム時代は考えもしなかったことですが、今はそれが可能な時代なのです。光害地での条件探求はまだまだ先が長そうです。
今日の太陽 ― 2017/03/03
今日の太陽 ― 2017/03/04
昨夜から今朝にかけてはほぼ快星でしたが、一時前面曇ってしまった時間帯もありました。朝からも晴れていますが、所々に薄めの雲が湧き、今ひとつはっきりしません。昼近くなるとまた強い風も吹き始めました。
左は10時過ぎの太陽。薄雲越しの撮影で、コントラストが落ちています。ちょっと分かり辛いですが、中央上やや右寄りに活動領域12641と12642があります。12638は右リムに到達して見えなくなったようですね。目立ったプロミネンスはありませんでした。
ここ数日は目鼻がとてもかゆいので、スギ花粉が飛散していると思われます。ただ、今年はまだ花粉光環が姿を見せていません。量が少ないのでしょうか。あらためて空を見渡すと、太陽の上側に半分だけの内暈が出ていました(右画像)。太陽の南中高度がだいぶ上がりましたが、太陽下側に見える環水平アークが見えるまで、関東ではあと1ヶ月以上待つ必要があります。
月曜にかけてお天気はゆっくり下り坂の予報です。
左は10時過ぎの太陽。薄雲越しの撮影で、コントラストが落ちています。ちょっと分かり辛いですが、中央上やや右寄りに活動領域12641と12642があります。12638は右リムに到達して見えなくなったようですね。目立ったプロミネンスはありませんでした。
ここ数日は目鼻がとてもかゆいので、スギ花粉が飛散していると思われます。ただ、今年はまだ花粉光環が姿を見せていません。量が少ないのでしょうか。あらためて空を見渡すと、太陽の上側に半分だけの内暈が出ていました(右画像)。太陽の南中高度がだいぶ上がりましたが、太陽下側に見える環水平アークが見えるまで、関東ではあと1ヶ月以上待つ必要があります。
月曜にかけてお天気はゆっくり下り坂の予報です。