今日の太陽2017/04/02

20170402太陽
4月最初の昨日はずっと寒い一日でした。当地・茨城では全てのアメダスポイントで最高気温が10度未満、一日の気温変動は4、5度程度でした。1日午前中の小雨は午後に上がったものの、曇り空は夜をはさんで今日まで続いています。

20170402太陽リム
左は10:20頃の太陽。雲が多かったのですが、隙間から顔を出したタイミングに捕らえました。(薄雲越しでコントラストが悪いです。)光球面はとても賑やかで、中央に見える活動領域12645にはたくさんの黒点、そして右上リムの12644はとても明るく見えました。ここは本日4:30JSTにC3.7クラス、6:35JSTにM4.4クラスの強いフレアが発生しています。プロミネンスもかなり豪華で、右リムや左上リムに立派なものが見えました。うーん、やっぱり太陽はこうでなくちゃ。

今日の太陽2017/04/03

20170403太陽
昨夜から今朝にかけてずっとベタ曇りでした。今日は日が高くなると共に晴れ間が出てきました。少し風が出ており、夕方にかけて不安定な天気の予報が出ています。

20170403太陽リム
左は9:45前の太陽。相変わらず活発のようです。右リム近くに明るく見える活動領域12644では昨日0時JSTから26時間の間にCクラスのフレアが3回、Mクラスも3回発生しました。ここ1年で一番活発かも…。また中央を過ぎた12645でも昨日11:41にC8.0クラスのフレアが起こっています。左リム近くにも新たな領域が見えてきました。いっぽうプロミネンスは落ち着いてきたようです。

サイクロンで洪水被害を受けたオーストラリア2017/04/03

サイクロンDebbieによるオーストラリア・クィーンズランド地方・河川増水の経過は2017年4月5日の記事にまとめました。当記事と併せてご覧ください。

20170327サイクロン「デビー(Debbie)」
3月も終わりの頃、オーストラリア北東部に強いサイクロン「デビー(Debbie)」が上陸、猛威を振るいました。このサイクロンが発生・発達する様子は気象衛星ひまわりの画像で知っていたのですが、日本の台風を見慣れていたせいかあまり強いものとは感じていませんでした。でも想像以上に被害が出ており大規模な洪水も発生したようです。あらためて記録として書きとどめておきます。

左はNASA Earth Observatoryサイトからの引用で、3月27日に撮影されたDebbieの姿。この時点でカテゴリー3まで発達しており、勢力を維持したまま28日の12:00JST頃に上陸した模様です。

このサイクロンはもともとオーストラリア北東の洋上で発生したものでした。 US Naval Research Laboratoryなどに残っている記録を元に進路を地図に描くと下図のようになります。赤線が進路、進路上の丸印は6時間ごとの位置、毎0時UTと毎12時UTごとに中心気圧と最大風速を記しました。サイクロン/ハリケーンのカテゴリーは台風の強さと異なる測定基準ですが、大雑把には「非常に強い台風」並みの強さと思われます。

上陸前からこの地図の範囲はサイクロンの強風圏内にあり、特に中心近くを含む南側では多くの雨が降ったようです。南半球のサイクロンは日本での台風と回転が逆なので、進行方向の左側のほうがより強い風となるでしょう。海上の湿った空気が陸部へと運ばれて多雨が予想されます。上の衛星画像では見えませんが、サイクロンの東側海上に延々と雨雲が連なっています。

サイクロンDebbieの進路
今回あちこちの川が洪水に見舞われたようですが、特に多くニュースに取り上げられているフィッツロイ川(Fitzroy River)を見てみましょう。オーストラリアにも水系のデータをWeb閲覧できる体制があり、オーストラリア気象局(Bureau of Meteorology)のサイトから川の状況にアクセスできます。ただ、(日本もそうですが)一番奥の情報までたどり着くのに何階層も探してゆく必要があり、一考を要します。(※試しに皆さん前出の気象局トップサイトから何分で河川情報に辿り着けるか測ってみてください。)

今朝(3日6時)の時点でフィッツロイ川水系のなかで最も高い水位だった支流のひとつ、ドーソン川(Dawson River/Knebworthポイント)の一週間に渡る水位変化を下左図に引用しました。これを見る限りまだ数日は水が引きそうにありませんね。比較のため2015年に決壊した地元・鬼怒川の水位状況を下中図に引用しました。オーストラリアでは水位レベルを大きく「Minor/Moderate/Major」の三段階に分けており、それぞれの観測地点ごとに閾値を儲けて警戒しているようです。日本でも似たように「氾濫注意水位/避難判断水位/氾濫危険水位」の三段階にしていますが、それぞれの国で河川の地域特性や護岸対策は異なるため、言葉の重みも変わるでしょう。

フィッツロイ川下流の街、ロックハンプトン(Rockhampton)では洪水警戒レベルを「Minor=7.00m以上/Moderate=7.50m以上/Major=8.50m以上」と定めています。今回もしかしたらMajorに届くのでは?と心配されていますが、今朝の時点では6.5mでまだMinor未満でした。(※ただし現時点でまだ増水中です。下がる気配はありません。)一部のニュースで「一世紀ぶりの洪水」と報道されていますが、一世紀前というのは1918年1月の水位10.11mという記録で、サイクロン「Mackay」による被害です。Mackayは到達最低中心気圧932.6hPa(非公式記録)、最大風速54m/sという強烈さだったそうで、上陸位置も今回よりほんの50kmほど南側にすぎず状況が酷似していますね。しかしながらオーストラリア気象局による記録(下右図)を見ると、一世紀の間に数回はMajor越えクラスの洪水に見舞われているようで、一世紀ぶりでもなさそうです。

オーストラリア東海岸では昨年末から今年にかけて高温被害も多発していました(関連記事)。強大な気候の力は私たちの手に余ります。今回の水害も現地の土地勘が無いので平野部の標高状態や水捌けなど分かりませんが、日本では考えられないような被害、例えば家畜が流されたり、サメやワニが街中まで流れてきているとのこと。ともかく早く復興しますように。

  • 20170403Dawson River (Queensland)水位

    2017年4月3日Dawson River水位
    (オーストラリア気象局)
  • 20150910鬼怒川水位

    2015年9月10日
    鬼怒川水海道水位
    (国土交通省・河川事務所)
  • ロックハンプトンにおける高水位記録

    ロックハンプトンにおける高水位記録
    (オーストラリア気象局)


【追記】

  • オーストラリア東部標準時(AEST)と日本標準時(JST)の時差は1時間です。JST=AEST-1またはAEST=JST+1となります。夏時間(AEDT)の場合は時差が1時間増えます。
  • 4月3日18:00JST(19:00AEST)の観測では、ロックハンプトンにおけるフィッツロイ川の水位がMinor(7.0m)に達しました。また上記ドーソン川のポイントでは微減です。
  • 1918年のサイクロンMackayは、正しくは「Mackayに上陸したサイクロン」という意味のようです。(当時は現在のような命名規則はなかったと思います。)Mackayはクィーンズランド沿岸にある街の名(→GoogleMap位置)で、1918年1月20日頃この街の近くにサイクロン中心が上陸しました。日本はまだ大正時代ですね。

  • その後の水位経過は2017年4月5日の記事にまとめてあります。当記事と併せてご覧ください。


参考:
衰え知らずのハリケーン「MATTHEW」(2016/10/07)
迷走するサイクロン「WINSTON」(2016/02/21)

明け方、三つの彗星たちが明るい2017/04/04

20170404タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)
昨夕は一時的に雷雨となり、予報が出ていたとは言えビックリしました。数時間で雲が取れ、夜半前にはヒンヤリした星空がやってきました。湿気がひどかったのですが、夜半過ぎの月没を待って彗星を観察しました。

まず天頂を過ぎたばかりのタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)。少し薄雲の通過があったものの、32分の露出ができました。相変わらず緑のコマが大きく広がっていますが、右下に向かって鋭いV字型に伸びる尾がしっかり写りました。少しずつ見かけの移動距離と方向が変わってきましたね。

20170404ジョンソン彗星(C/2015 V2)
続いて南中直前のジョンソン彗星(C/2015 V2)。だいぶタットル・ジャコビニ・クレサーク彗星に近くなっています。こちらも32分の露出ですが、尾が立派ですね。緑のコマも少し大きくなりました。4月に入って北上が止まり、いよいよ移動方向が西向きに転じています。この後南下する動きも加わり、1ヶ月後にはかなりのスピードが出ているでしょう。

ラストは明け方東天低く見えているラブジョイ彗星(C/2017 E4)…と思ったけれど、3時頃から北天東天は雲に覆われてしまいました。やっと撮影できるまでに回復したのは航海薄明が始まる頃。かなり明るい空でしたが、なんとか10分の露出で画像を仕上げました。

20170404ラブジョイ彗星(C/2017 E4)
驚いたことに三彗星の中では一番集光が強くて明るく、また西向き(右向き)に長い尾が伸びています。しっかりと暗い背景で撮りたかった…コマが楕円になっていますがどうしてでしょうか。撮影のエラーでは無いようですし、彗星の移動方向とも違います。

夜半頃は透明感のない空でしたが、明け方が近づくと共に気温が1度まで下がって良い空となりました。案の定、作業が終わる頃には全てがビショビショでしたが彗星たちの元気な姿を楽しむことができました。なお画像は全て彗星位置基準でコンポジット、上方向が天の北方向、上下画角は約0.7°です。

参考:
タットル・ジャコビニ・クレサーク彗星(41P)に関係する記事(ブログ内)
ジョンソン彗星(C/2015V2)に関係する記事(ブログ内)
ラブジョイ彗星(C/2017 E4)に関係する記事(ブログ内)